6月 29, 2023 16:51 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回ご紹介するのは、「スープに100ディナールを出せ、それを考えておれ」です。

ペルシャ語での読み方は、Sannaar bedeh aash,be hamiin khiyaal baashとなります。

既に皆様もお気づきのように、この慣用句は文の中ほどと文末で韻を踏んでいます。そして、全体的な意味内容としては、「現実を直視せず、自分の置かれた現状や条件からして到底達成不可能な願望を抱き、妄想する人」のことをさしています。

サンナールというのは、イランがガージャール朝国王ナーセロッディーンシャーの時代にあったころに流通していた貨幣で、1サンナールは100ディナールに相当し、当時のイランでは、1サンナールで小麦粉の麺の入った野菜と豆のスープ1杯が食べられる値段であったことから、サンナールという言葉は「はした金」、「非常に値段が低いこと」を現す表現でもあります。なお、1サンナールは現在イランで使われている通貨単位・トマンの100分の1ほどとされています。

こうしたことから、空想だけにとどまり、自分の現状からして実現不可能な願望に思いをめぐらせる人に対し、「まあせいぜい夢でも見てれば?」のような意味で使われるようになったということです。

ちなみに、100ディナールはペルシャ語でサド・ディナールと発音し、これが短縮されてサンナールになったということです。

そして、次第に実際の会話ではこのことわざの前半部分が省略されて、「スープ、それだけを考えておれ」ということも多いようです。

日本語でも、「1銭を笑う者は1銭に泣く」、「千両役者」、「銭湯」、また大相撲に出てくる階級としての「十両」など、昔の通貨単位が使われている表現が多いことは、皆様もご存知かと思います。

以上、今回はイランの昔の通貨単位にまつわることわざをご紹介しました。それではまた。

 

 


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