イランの芸術
ネガルギャリー(細密画)
今回は、イランの著名な細密画家、モハンマドバーゲル・アーガーミーリー氏のアトリエに来ています。アーガーミーリー氏は、絵画とグラフィックを専門に学び、イラン・イスラム式絵画の博士号の学位を有しています。
イラン式絵画ネガールギャリーは、対象を細やかに描いた絵画であり、イラン式細密画・ミニアチュールとも呼ばれています。この絵画は、過去にはほとんど書籍の装飾のために描かれていました。
ここにある細密画は、非常に繊細な画法で描かれています。今回は、イラン式細密画の特性にさらに踏み込んでみることにしましょう。
ペルシャ語の「ネガールギャリー」という言葉はどのような意味なのでしょうか
ネガルギャリーはイラン古来の言葉です。
ネガールとは、ペルシャ語で顔、肖像を意味し、
ネガーレとは、絵画を意味します。
つまり、ネガールギャルとは、特にフランスをはじめとする外国語でミニアチュールとして知られる画法です。
イラン式絵画であるミニアチュールは多くの場合、厚紙もしくは丈夫な硬い紙に描かれます。
色付けには、グワッシュもしくは水彩絵の具が使われます。
絵筆は、クロテンの毛でできたものを使っています。
細密画の製作に使う絵筆は、柔らかい毛で、しかも毛の量が多すぎてはなりません。
それは、細密画を描くには細やかさが非常に大切であり、それに使う絵筆も高品質のものが求められます。
細密画には、旧来から様々な画法が存在してきました。
それらの画法は、これまでのイランの様々な王朝時代によって異なっていました。
そうした流派にはテイムール派、タブリーズ派、シーラーズ派、ブハーラー派などがあり、それらは各時代ごとに色彩の組み合わせの点で各々異なっています。
こうした絵画はどのように利用されるのでしょうか?
その用途は様々です。
例えば、書籍の装飾です。
イランの英雄叙事詩「王書」のような英雄伝や、
詩人ネザーミーの五部作「ハムセ」
詩人サアディの名著「バラ園」や「果樹園」
詩人ハイヤームの四行詩「ルバイヤート」
インド起源の説話集「ケリレとディムネ」
さらにそのほかの文学書や歴史書にも、細密画が多用されています。
そして、それらの多くが今なお、世界の有名な美術館に収蔵されています。
イラン国外では、イラン式絵画に対する見方や評判はどうでしょうか?
私自身、これまで国外で65以上の個展を開催してきました。
欧米諸国やカナダ、アジア諸国、アフリカ諸国で様々な個展を開催しました。
これらの諸国で、イラン式絵画・ミニアチュールは非常に魅力的なものとされ、大好評でした。
海外でこのように絶賛を博したことから、私は益々、今後とも自分の創作活動を続けようと決意を新たにしたのです。
この種の絵画はイランのみならず、他国でも芸術の愛好家の間で絶賛されています。