9月 12, 2023 20:03 Asia/Tokyo

今回は伝統工芸の1つで、表面に様々なデザインの模様がプリントされた布地・更紗の制作技術である、ガラムカーリーをご紹介してまいります。

私たちは今、イラン中部イスファハーンにある伝統的バザールに来ています。

ここは、リネンの生地の表面に様々な模様をプリントする、更紗の制作工房です。この技術は、ペルシア語ガラムカーリーと呼ばれています。

 

ー 何をしていらっしゃるのですか?

ここでは、布地の表面に様々な模様をプリントする作業が行われます。

ー ここで使われる生地は、決まった素材ですか?

ほとんどはリネンですが、木綿の生地を使うこともあります。

ー どのくらいの期間、このお仕事をされていますか?

かれこれ40年ほどになります。私の父は建築家でしたが、私は個人的な興味から、この業界に入りました。バザールでこの仕事がどのように行われるかを目にして、そのとりこになりました。

ー ガラムカーリーの仕事について説明していただけますか?

プリントされるデザインは、非常に多岐にわたります。また、色調も様々です。

図柄や配色は、その時々に合わせて選びます。

例えば、バザールに来るお客が好む色柄の傾向を見て、それに合わせたものを取り入れたりします。

バザールの状況や需要に従って生産していくのです。

ー 図柄は、型を使ってプリントするのですか?

はい。色彩や模様は様々なので、型も多岐にわたります。

様々な型のうち、いくつかをお見せしましょう。

例えばこれは、「パテ」と呼ばれる型で、布地の角もしくは中央部に使います。

この型による模様の全体図は、こちらの布地のようになります。

模様は非常に沢山あります。

さらに模様には、様々な色が使われます。

これは第1の色の型。

第2の色は赤系です。

こちらが第3の色、こちらは第4の色です。

ー 色を番号で分けているのはなぜですか?

それは、色を抜けなく構成させるためです。

ー この模様は、女性用の上着に使えばきれいになりそうですね。

そうですね。これは、イラン風の衣装によく使われる模様です。

 

この手工芸は、今から400~500年前のサファヴィー朝時代に広がりました。

その模様の多くは、草花や樹木をモチーフとしていました。

しかし次第に、「ライラとマジュヌーン」「シーリーンとファルハード」のような、イランの恋愛物語をモチーフとしたデザインも加わっていきました。

 

ガラムカーリーではまず、布地の端に決まった模様がプリントされます。

それから、布地の中央部に他の模様がプリントされます。

様々な模様が彫り込まれたプリント型は、西洋梨の木などを使って作られます。

ガラムカーリーの原形は、13世紀のモンゴル軍の侵攻によって伝わりました。しかし、芸術の民であるイスファハーンの人々はその技術を改良して、創意工夫により様々な模様を加えていき、現在のようなガラムカーリーの形としたのです。

 


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