ペルシャ語ことわざ散歩(200)「七面鳥気質」
皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「七面鳥気質」という慣用句をご紹介してまいりましょう。
この慣用句は、ペルシャ語では Buuqalamuun sefat と読まれます。
七面鳥は北アメリカ原産の大型の鳥類で、食用とされることもあり、家禽として飼育されることも多くなっています。七面鳥という名称の由来は、頭部の首のところに裸出した皮膚が、興奮すると赤、青、紫などに変化するため、七つの顔(面)を持つ様に見えることに由来します。
このことから、ペルシャ語でいう「七面鳥の気質」とは、定まった言動や人格がなく、その時の状態によってくるくる変化する人、さらにはそうしたことから信頼できない人を意味するようになりました。
また、自分の保身や利益のために二枚舌を使ったり、二心を抱く、二重人格的な人、さらにはそのために状況に応じてくるくる変わる多重人格者、という意味合いもあります。
日本語でも、八方美人という表現がありますが、これも男女を問わず悪い意味で使われており、「誰にも嫌われたくない、皆から好かれたい」というある種の承認欲求により、誰にでもいい顔をしてしまう、愛想よくふるまってしまうことを意味しています。今回ご紹介したペルシャ語の表現も、これに近い意味を持っていると思われます。
しかし、人間は誰しもが自分なりの意見や考えを持っているものであり、それを正直に述べればある一定数の人から嫌われてしまうのはやむを得ないことです。むしろ、誰にでも調子を合わせていれば、結局自分を押し殺し、自分の本音が分からなくなってしまうのではないでしょうか。
映画やドラマにも必ず悪役を演じる人が必要であり、私たちも長い一生の間に必ずしもすべての人にとっていい役ではなく、時には悪役を演じなければならないこともあります。
七面鳥のように表面だけを器用に変化させて誰にもいい顔をするのではなく、自分の本音や考えを正直に述べ、それに賛成してくれた人と本当の意味での人間関係が築けるのではないでしょうか。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。