ペルシャ語ことわざ散歩(211)「怠け者は大臣40人分の知恵を持っている」
皆様こんにちは。イランで実際に使われている生きたことわざや慣用表現などをご紹介する「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「怠け者は大臣40人分の知恵を持っている」ということわざをご紹介しましょう。
ペルシャ語での読み方は、Aadam-e tanbal aql-e chehel vaziir raa daarad となります。
現在の政治形態でいうところの大臣や閣僚は、国王や首相、大統領など、行政のトップである国家元首に対し、取るべき措置や行動、政策などについて色々考えを巡らせ、アドバイスをします、しかし、それを実際に行動や実行に移すかどうかは国王などの国家元首が決めることになります。
このことから、この表現はこのような大臣閣僚になぞらえ、あれこれ方策や措置、アドバイスはしてくるものの、怠惰で実際に自分では何も行動しない人を指しています。
また、あれこれ言い訳や口実を作り、怠ける方向に走り実際に行動を起こすことから逃げる人に対しても使われます。
恐らく皆様もこれまでに、他人の生活やすることにあれこれ口出し、色々指図してくる一方で自分は何もせず、何かにつけて自分では実際の行動や責任から逃げている、という人を見たことがあるかと思います。この表現はまさに、そういう人にふさわしい表現だといえます。
ちなみに、調べてみましたところ、特に他人の人生に口出しする人は一般的に、時間を持て余している暇人で、自分の人生よりも他人の人生に時間や思考を使っているとされています。そもそも夢中になれる趣味や仕事があったり、自分の目標を追いかけて日々行動している人は、他人に口出しする事に時間を使わず、自分のやるべきことや自分を高めること、即ち行動に時間を使うのではないでしょうか。
つまり、他人の人生に口出しする人は、自分の人生をおろそかにし、また自分の人生に不満があってその現実から逃げようとしている、非常に哀れな人だということになるのではないでしょうか。ほかのものにたとえるなら、自分の車を運転せずに他人の車の運転にとやかく口を出し、あるいは遠隔操作しているような状態でしょうか。いずれにせよ、はたから見ていると非常に滑稽で気の毒というよりほかにないと思われます。このようなことにならないよう、まずは自分のことに集中し、目の前の現実や責務から逃げずにきちんと向き合いたいですね。それではまた。
この番組は、IRIB国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。