アミールキャビール工科大学
今回の番組では、イラン初の工科大学、アミールキャビール工科大学についてお話しすることにいたしましょう。
アミールキャビール工科大学は、工学技術の分野でイランで最も歴史のある高等教育機関の一つで、イランのスタンフォード大学と呼ばれています。
アミールキャビール工科大学の最初の核は、テヘランポリテクニックとして、道路・建物技術研究所、イラン高等工芸学校という二つの技術研究所の活動を拡大する目的で、半世紀以上前に形作られました。アメリカのエンジン分野での学歴を有し、アメリカの自動車技術協会のメンバーだったナフィースィー技師が1956年に、テヘランポリテクニックを開設しました。
1957年、この教育機関に試験に合格した第1期生が入学しました。1958年から、テヘランポリテクニックの教育活動は電気・電子、機械、織物、化学、道路・建物の5つの技術分野で正式に開始されました。1979年、イスラム革命勝利後、この教育機関は大学となり、近代イランの新たな科学と産業の基盤の拡大に貢献したアミールキャビールにちなんで、アミールキャビール工科大学と名づけられました。
アミールキャビール工科大学のメイン校舎はテヘラン市の中心部にあります。また分校が南部のバンダルアッバース、マーシャフル、東部のギャルムサールにあります。最新の統計によれば、2015年、1万4996人の学生が各学部で学び、学生数の多い学部順に、機械、ポリマー、産業、化学、航空宇宙、開発、医療、電気、造船が挙げられます。
2010年、アミールキャビール工科大学の正門をデザインするコンテストが開かれました。その中で選ばれたデザインに基づき、2012年に正門の建設が始まり、8か月かけて2013年に完成しました。この正門は50個の輪を持つ二つの歯車のデザインで、この大学の50年の歴史を象徴しています。
アミールキャビール工科大学は現在、4つの分校、16の学部、15の学術機関、6つのグループなどを有しています。この大学の学部の多くは学術の中心と見なされており、16学部のうち、8つの学部がイラン国内の学術の中心となっています。
インターネットサイトUSnewは、2014年、初めて世界の22の専門分野での上位大学のランキングを発表し、それぞれの分野で250の上位大学を紹介しています。このランキングによれば、工学、物質科学、化学、物理学、数学、農学、コンピュータ、動植物学の8つの分野で、イランは上位250大学に入っています。この中でアミールキャビール工科大学は、工学の分野で中東で4位となっています。さらにこの大学は2014年、3年連続イランの最も優れた大学として紹介されています。
アミールキャビール工科大学の名誉として次のような成果が挙げられます。それは、ハーラズミーフェスティバルでの20を超える受賞、国内外の大学生オリンピックやロボカップといった国際大会での上位入賞、国際的な学術機関・大学との交流、世界の権威ある大学との合意書の締結、企業との協力、国内の重要な計画の実施、近代的な実験所とプロジェクトの実施、人工衛星の製造と打ち上げ、各種のロボット・電気自動車の設計や製造、といったものです。
アミールキャビール工科大学の学術レベルの高さと重要性により、国外からの留学生がこの大学で学んでいます。2016年現在、200人の留学生が在籍しており、この大学の計画に注目すると、1,2年後にはこの数は1000人になる見込みです。これらの留学生の多くは、インドネシア、ナイジェリア、インド、レバノン、オマーン、イエメン、パキスタン、バーレーン、イラク、シリア、パレスチナ、アフガニスタンの出身者で、石油工学、電気工学、航空宇宙工学、コンピューターサイエンスの順に学生数が多くなっています。
イランの工科大学の母体とも言われるアミールキャビール工科大学の学術的権威は、優秀な教授陣、最新の研究設備、施設により、毎年多くの学生を誘致しています。これにより、外国人留学生も競争を勝ち抜いて入ってきた学生となっています。
アミールキャビール工科大学で応用数学の博士課程で学ぶナイジェリアの学生、アブーバクル・サラーティさんは、この大学の応用数学の様々な論文を利用しています。彼は、この大学の教授とその論文は、欧米の大学に匹敵するとし、「この大学は博士課程に在籍している学生に設備やソフトウエアを貸し出し、教授は常に、学生の問題解決に努めている。ナイジェリア出身の多くの学生がこの大学の研究の機会を利用したいと考えている」と述べています。サラーティさんは、イランの大学の地位は他の国の中でも非常に高いと評価しており、イラン人や外国人の学生に、この機会を利用し、その価値を知るよう提案しています。