ハメダーンのブーアリースィーナー大学
今週はイラン西部ハメダーンのブーアリースィーナー大学をご紹介してまいりましょう。
ハメダーンはイランの歴史の入り口、イランの歴史と文明の首都とみなされています。ハメダーンの文明、都市国家は2500年前に始まりました。アルヴァンド、ザグロス山脈の裾野はその特性により、他のどの地域よりも都市国家を形成する上で為政者たちの注目を集めました。
古い時代の遺跡は、ハメダーンにおける驚くべき出来事を物語っています。ハメダーンでの考古学的発掘は、この土地の歴史を物語っています。
ハメダーンという名は、古代ペルシャのヘグマターネに由来し、アケメネス朝のダリユーシュ王によって、ビーソトゥーンの碑文に刻まれました。この名はギリシャ語でエクバターンと呼ばれていました。フランス人の研究者によれば、この地域で唯一重要だった都市は間違いなく、メディア人の首都であったハメダーン、古代エクバターンだということです。
ハメダーンは3000年以上の歴史を有し、ギリシャの有名な歴史家、ヘロドトスはこの町の起源をメディア王国の初代の為政者デイオケスに関連付けています。その当時、ハメダーンは社会を意味するヘグマターネ、その後エクバターンと呼ばれていました。この町はアケメネス朝時代、クーロシュ王によって占拠され、アケメネス朝、アレクサンダー王の時代、パルティア帝国、サーサーン朝の各時代において、ハメダーンは夏の首都とされていました。7世紀以降はこの地域にはイスラムが広まりました。
イラン西部のハメダーンには、数多くの歴史、文化遺産、自然があります。
偉大な学者であったブーアリースィーナーや詩人のバーバーターヘルの墓、アケメネス朝のダリユーシュ1世の命により刻まれた碑文、アラヴィヤーンのドームなどがあります。
さらにハメダーンは昔から、先に述べたブーアリースィーナー、バーバーターヘルなど、偉大な学者を輩出してきた町でもあります。
ブーアリースィーナー大学は、ハメダーン市にあります。大学の名前はイランの偉大な学者で医師の、アブーアリースィーナーからとったものです。大学の建設は1973年、イランとフランスの政府間の共同声明に基づいて開始されました。その当時の高等教育普及評議会は、1974年、ハメダーンのブーアリー大学の建設を承認しました。大学は1975年に竣工し、1976年からおよそ200人の学生を受け入れ、農業、健康、環境、教育の4つの分野で活動を開始しました。
現在、ブーアリースィーナー大学の教育、福祉、文化施設や寮、スポーツ施設の面積はおよそ25万平方メートルで、これらの建物は122ヘクタール近い敷地の中に建設されています。
2015年、ブーアリースィーナー大学は、世界の大学・教育施設のウェブサイトのランキングにおいて、世界で1681位、アジアで470位、中東で85位、イランで21位となっています。さらにISC・イスラム世界引用文献データベースでは、イランの総合大学の中で、この大学は10位、イスラム世界の大学の中で75位となっています。またイラン国内では論文の引用回数の点で7位となっています。
ブーアリースィーナー大学の明らかな特徴のひとつが、知識生産の高い質です。さらにこの大学は、化学の分野、イランと世界の大学研究者の論文の引用回数の点で突出しています。この大学は世界の優れた大学の1%にも入っています。
ブーアリースィーナー大学には現在417人の教授陣、750人の職員、1万3000人の学生が在籍しています。この大学には現在、化学、工学、農学、理学、人文学など13の学部があります。
ブーアリースィーナー大学の自然史博物館は、科学、教育、研究の向上を目指し、イランやその他の地域の有史以前の自然を紹介する目的で、当時のハメダーンの農業高等学校の学長の尽力により、1973年に60平方メートルの敷地に建設されました。
この自然史博物館に展示されている唯一無二の所蔵物は、明らかに長年、イラン各地で発掘調査を行ってきた研究者たちの成果です。
自然史博物館には6つのサロンがあり、貝殻とさんご礁、蝶と昆虫、哺乳類と鳥類、水生動物、爬虫類、地質学のコーナーとなっています。
ブーアリースィーナー大学のキャンパスには美しい人口の湖があり、この大学の環境にみずみずしさを与えています。
現在、ブーアリースィーナー大学ではシリア、イエメン、パレスチナ、バーレーンからの13人の留学生が各課程で学んでいます。海外に分校が設置され、国際的な大学に変ることで、外国人留学生の数も増えると見られています。
ムハンマド・ネザームさんはブーアリースィーナー大学の留学生です。22歳の彼はシリアからイランに来て3年になり、コンピュータ工学を学んでいます。
ネザームさんがイランを選択した理由は、イランとシリア両国の近い外交関係にあるとし、両国の人々は共通の宗教を持ち、文化も近い、と述べています。さらには彼は前もって、イランの国と歴史について情報を集め、イランで勉強する機会が整えられると実行に移しました。
ネザームさんは続けて、イランは多くの利点を備えており、治安がよく、平穏で、ハメダーン市の気候も大変良好だとしています。ネザームさんは、イランは勉学を続ける上で、優れた教育設備を有しており、学術レベルも非常に高い、としています。彼はブーアリースィーナー大学の教育、レクリエーション施設について語り、彼が学んでいるコンピュータ工学部には、イラン国内外の優れた大学で学んだ数多くの教授陣がいるとしています。
ネザームさんは、大学の寮の質、大学の教育方法に非常に満足しています。彼はブーアリースィーナー大学を他の大学と比較して非常にレベルが高いとしています。