最終回の今回は、学生数の点で世界第3位の大学、イスラムアーザード大学をご紹介することにいたしましょう。

イスラムアーザード大学は、イラン最大の大学であり、面積や学生数の点で世界有数の大学のひとつです。1979年のイランイスラム革命勝利直後、国立大学の学生受入数の少なさが最高レベルでの教育の道に横たわる問題と見なされていました。こうした問題を解決するために、高等教育の正式なシステムの制限を越えて、学生のニーズに応える施設が創設されました。

イスラム自由大学の創設計画は、最初、1982年のテヘラン金曜礼拝で、ラフサンジャーニー師によって提起されました。イスラム革命の指導者であったホメイニー師もこの提案に同意しました。

その年の秋には大学の規約が記され、それによれば、この大学は収入のすべてが大学関連の事柄に使用される公益施設とされました。イスラムアーザード大学の最初の資金援助、資本金は、ホメイニー師によるものでした。

イスラムアーザード大学は、イランのほかの高等教育機関と同じように、文化革命最高評議会の管理下におかれ、この大学の卒業証書は、大学の分校側から独自に授与されています。

イスラムアーザード大学は、首都テヘランをはじめ、イラン全国にある多くの分校から構成されています。現在この大学には505の分校と教育センターがあります。テヘラン校は、イスラムアーザード大学の最初の分校であり、1982年に創設されました。さらに最初の地方分校であるタブリーズ校も同じ年に設立されました。

2015年から16年度、イスラムアーザード大学で教えた教授や講師は6万8303人に達しました。

イスラムアーザード大学の傘下には、85の開発センター、712の知識基盤の企業があり、これまで2111の発明や革新を行ってきました。さらに掲載された学術論文の数も論文データベースのウェブ・オブ・サイエンスで4万1855件、スコーパスでは6万3605件、ＥＳＩでは3万4500件となっています。

イスラムアーザード大学は、国際的に多くの評価を受けています。ＥＳＩによる最新の統計によれば、2016年5月30日付けで、この大学の知識生産は22ランク上昇し、165位となっています。イラン国内での知識生産の順位も1ランク上がり、21位となっています。

2016年2月のトムソンロイターの報告では、イスラム自由大学は世界187位、イランでは22位となっていました。さらにこの大学の最新の論文数は3万1990本と報告されています。

この他、トムソンロイターの最新の統計では、発表会で提示された論文を除くイスラム自由大学の論文の本数は2015年、例年に比べて増加し、これにより大学の科学論文の質が向上していることが示されています。

イスラム自由大学の顕著な特徴に注目し、イラン人以外の学生もこの大学で学んでおり、現在5364人の外国人の学生が在籍しています。彼らの出身国は、オーストリア、フィリピン、シリア、パキスタン、バーレーン、トルコ、アフガニスタン、イラクとなっています。開発工学や建築に関心を持つ学生が多く、助産学、看護、会計、法律も人気があります。さらにこの大学のマシュハド校でも多くの留学生が学んでいます。

オーストリア出身のライトナーさんはイスラムアーザード大学の建築工学で学ぶ留学生です。25歳の彼は、イランを選んだ理由として、母方の家系がイラン系であることを挙げています。イランの建築への関心も理由の一つであり、彼はイランの建築はイラン国内で見て学ぶべきだと考えています。ライトナーさんは、今後さらに上の課程で学ぶためにオーストリアに戻るつもりであり、「イランで実り多き教育を受けた」と述べています。