8月 27, 2016 17:20 Asia/Tokyo
  • 素晴らしい家庭を築くための宗教の教えの必須事項

全ての人間社会において、家族関係と結婚は、宗教や倫理、社会的な慣習儀礼、人間的な感情や愛情、その社会で定められている法律の影響を受けています。

実際に、法は、家族の互いに対する最低限の権利と義務を決定付け、調整するものであり、対立をある程度解消し、双方が期待する水準を定めることが可能です。言い換えれば、法律は倫理や宗教の教え、そして社会的な慣習の影響を受けていることになります。しかし、法律が義務としての強制力を持つ一方で、モラル、宗教、社会的な規範の全てを含むものではないことを忘れてはなりません。このため、法律は家族の幸せのために必要な決まりの全てを含んではいないのです。ですから、素晴らしい家庭を築くには、宗教の教えや倫理的な必須事項も考慮する必要があります。

明らかに、家庭の存続と発展には、法的な保証を知っておく必要があります。特に法的な決まりごとを知ることで、夫婦の互いに対する期待のレベルが理にかなったものになります。法律を教えることは、あくまで生活を始める上での必要最小限の基準に過ぎない、ということを忘れてはなりません。

そこで、イスラムの法体系制度は公正の原則にのっとっており、イスラムが夫と妻の間の法的なバランスを追求していることに留意する必要があります。イスラムの思想では、夫と妻は完全に同じでもなく、互いから完全に独立してもおらず、互いに補い合うものとされています。もっとも、ここで注目すべきことは、権利と義務は互いに分離しておらず、権利を持つ人には逆に義務もあり、その逆もまた然りということです。家族のメンバーも、互いに対する権利と義務を持っており、イスラムでは家庭に関する法律に基づき、法律は何かを守るものであり、家族を守るという論理は、家庭の決まりごと全体に徹底されています。

イスラムの法制度では、家庭の経済や生計を維持する責任は男性にあるとされています。夫は、自分の妻と子供に対して経済、モラル、精神や思想の全てに関する責任を負っており、この責務を回避したり、それに無関心でいることは家庭生活にとって大きな問題とみなしています。

イランの民法によれば、妻の状況により常識的な範囲で、住居や衣服、食物、家具、医療費などの全てのニーズを満たすことは、夫の義務とされています。イスラムでは、これらの支払いを少しでも怠れば法的に訴追されます。とにかく、家庭に関する様々な責務を知ることに努めなければ、後で大きな弊害をこうむることになります。この点から、私たちは常に家庭に対する責任について考え、それらの完全な履行に関して認識を深める必要があります。

男性なら誰でも、結婚することで妻に対する責任を負うことになります。夫は行動することで、家庭を最高の形で運営し、自分や配偶者の幸せのための手段を整えることができます。神も、夫を家庭の監督者と見なし、夫に家族の重大な責務を課しています。このことは、コーラン第4章、アン・ニサーア章「婦人」、第34節において強調されています。一方、妻は子供を産み育てるといった、そのほかの義務を遂行できるよう、十分な安らぎのある安全な環境を必要としています。

このため、家族のニーズを満たすことや家庭の運営における、監督としての夫の責務とそのための努力は、宗教的な事柄であるのみならず、創造世界の体系に沿った現実的なものでもあります。さらに、生活費や婚姻の際に定める婚資金の支払い、世間で肩身の狭い思いをしないような生活の確保などを、夫が妻と子供に約束することから、夫は家庭の監督者としての責任を負うことになります。これについて、イスラムの預言者ムハンマドは、次のように述べています。“夫は家庭の監督者であり、これに従う者たちを保護監督する全ての責務を負う”

イスラム法によれば、法的かつ正式に結婚した後、妻には夫に対する経済的な権利が生じます。即ち、夫は婚姻により自分の所有する資産や金銭、あるいは金銭的な可能性の一部を妻に渡すことに合意することになります。これは、婚資金に相当しますが、当然、これは男性の経済能力に合わせて決められます。神はコーラン第4章、アン・ニサーア章、「婦人」第4節において、男性にこの婚資金の支払いを義務付けており、次のように述べています。 “結婚にさいしては、女性に婚資金を贈り物として完全に与えなさい。だが、彼女らが自らその一部を戻したいならば、これを合法的かつ、心地よい方法で使うがよい”

家庭における夫のもう1つの義務は、くつろげる環境を作ること、そして家族のニーズに注目することです。既に皆様もご存知のように、生活には満たされるべき経済的なニーズが存在します。このニーズが満たされなければ、不満の原因となり、配偶者との間に多くの問題が生じます。最も重要な夫の義務の1つは、生活費の負担です。言い換えれば、夫は自分の能力の範囲で、家族の物的、精神的なニーズを満たすよう努力しなければなりません。

夫は、家庭内における妻と子供のニーズに注目し、自分の仕事の合間に家庭内の様々な雑事も行うよう計画しなければなりません。預言者ムハンマドは、食物や衣類の確保を夫に対する妻の権利であるとしています。妻や子供の側から出てくると思われる要求やニーズなど、家庭の雑事に注目することは、夫が家庭のことを考えていることを示す指標の1つです。これにより、妻は夫に対する信頼を強め、経済的に苦しい場合にも、夫の状態を気遣うようになります。

夫は、こうした責務を担うことで、家族が安らぎの中で生活できるよう、苦労することになります。夫が家族のために努力するほど、家庭内での夫の位置づけや価値が高まります。イスラムの視点からも、妻や子供の安らぎのために努力する男性は、来世で高い地位を与えられると見なされています。それでは最後に、これに関する預言者ムハンマドのエピソードをご紹介し、今夜の番組を締めくくることにいたしましょう。ある日、預言者ムハンマドは市場に出かけ、家族のために必要な品物を買い求めました。これについて、ある人物が預言者ムハンマドに質問しました。それに対し、預言者ムハンマドは次のように述べています。“天使ジブリールは私に対し、次のように告げた。『家族のために働き、彼らがほかの人の助けを必要としなくて済むように努力する全ての人は、神の道を進んでいる』”