4月 27, 2019 04:30 Asia/Tokyo
  • ピスタチオ
    ピスタチオ

この番組では、農業、科学、産業の分野のイランの生産物をご紹介してまいります。この番組では、ラジオの放送だけでなく、パールストゥデイのサイトの中で、画像や映像を加えて、番組の内容を詳しくお伝えしてまいります。

イランは、広大な大地とその特別な地理的状況により、昔から、多くの経済的な可能性に恵まれてきました。農業や工業におけるイランの多様な生産物の多くは、古い歴史と世界的な地位を誇っています。適した気候や地理とともに、ナレッジベース企業の設立により、発明や革新によって、近年、イランには有能な人材が存在することを示してきました。この番組では、イラン人の努力と様々な経済分野における生産品についてご紹介します。

ピスタチオ

 

農耕の歴史は、人類文明と同じ古さを有しています。イランは、農耕が始まった世界で最初の土地だと言われています。専門家は、イランを農耕の発祥地、中心地だとしています。

 

イラン南西部のイーラーム州のメフラーン平原、中部カーシャーンのシアルクの丘、南西部シューシュなど、イラン各地で行われた考古学調査は、イラン人が長年にわたり、カナートをはじめとする様々な灌漑方法によって、発展した農耕システムを築いてきたことを示しています。ロシアの中東学者、ペトラシェフスキーは、224年から651年のサーサーン朝時代に、イランで果樹や野菜、花の栽培がおこなわれていたことを指摘しています。その中に、ピスタチオの木があります。

 

ピスタチオ

はるか昔から、人々はピスタチオの実を、栄養価の高いおいしい食べ物として利用していました。一部の宗教的な古い文書にも、ピスタチオのことが書かれています。9世紀の歴史家、タバリーは、ピスタチオの出現を、預言者アーダムが地上に降りたことに関連付け、次のように記しています。「アーダムが地上に降りる際に神が与えた果物には30種類あるようだ。そのうち10種類は皮や殻のある果物、10種類は種のある果物、そして10種類は皮も殻も種もない果物。皮や殻のある食べ物には、クルミ、アーモンド、ピスタチオが含まれる」

ピスタチオの木

 

 

ユダヤ教の聖典にも、ピスタチオのことが記されています。「ヤアグーブは、息子たちをユーソフのいる宮廷に遣わす際、自分の土地の生産物を贈り物として持っていくよう勧めている。その中には、はちみつ、トラがカント、ピスタチオがある」

ピスタチオ

 

 

ピスタチオの木が見つかった場所については、さまざまな見解があります。それはおそらく、研究者たちが、ピスタチオの種類を特定しておらず、さまざまな種類に注目しているためでしょう。そのため、ピスタチオが育った場所について、いろいろな土地が挙げられています。ブリタニカ百科事典は、イランと小アジア・アナトリア半島を、またアメリカ大百科事典は、西アジアを、ピスタチオが初めて生まれた土地だとしています。「イランのピスタチオ」という本の著者である、モハンマド・ハサン・アブリ―シャミーは、ピスタチオが生まれた場所について、次のように記しています。

ピスタチオ

 

「パールス、その後ホラーサーンと呼ばれた土地が、ピスタチオの最初の生育地である。その生育地域は、西はネイシャーブール、東はバルフにまで広がっていた。ピスタチオはアケメネス朝時代には自生しており、先ほど挙げた場所以外には存在しなかった。そのため、古代から、イランのピスタチオは、これらの場所からのみ、輸出されていた」

ピスタチオ

 

アメリカのイラン学者は、1926年、イランの一部の果物に関する研究を発表し、ピスタチオについて次のように語っています。「ピスタチオは古代から、イランの人々の生活において非常に重視されてきた。ピスタチオという名前は、ギリシャ語やラテン語の他、アラビア語、トルコ語、ロシア語、日本語でも、イランの呼び名から取られ、様々な時代に別の民族の間に広まっていった。この木の名前は、古代ペルシャ語ではピスタカ、中世ペルシャ語では、ピスターク、そして現代ペルシャ語では、ぺステと発音されている」

 

イランの言語学者、ナーテル・ハーンラリーは、ピスタチオの木はイランで生まれ、その名前は、わずかな変化を伴って他の国の人々の言語に取り入れられ、広まっていったとしています。彼によれば、ピスタチオは、ソグド地方やホラーサーンの北部のみに見られ、現在もこれらの地方で主な生産品とされています。今日、ピスタチオは、アメリカ、トルコ、シリア、チュイジア、その他一部のヨーロッパ諸国で生産されていますが、イランのピスタチオは、他の国のものに比べて高い質を誇っています。

イランのピスタチオの主な種類

 

 

イランでは、およそ90種類のピスタチオが確認されており、その形に合わせてさまざまな呼び名がつけられています。

 

今日、ピスタチオは、ケルマーン、ヤズド、南ホラーサーン、ホラーサーンラザヴィー、ファールス、セムナーン、スィースターン・バルーチェスターン、イスファハーン、ガズヴィーン、テヘランなど、イランの多くの地域で栽培され、イランの主な輸出品となっています。

ピスタチオ

 

ピスタチオは、栄養価が高く、これを食べることによって、数多くの効果が期待できます。ピスタチオには豊富な鉄分が含まれているため、貧血や鉄分の不足を補うことができます。また、銅、ポタシウム、カルシウム、リン、ビタミンB群が含まれているため、体の免疫力を高めてくれます。

 

記憶力の強化、神経の緩和、胃腸の強化、悪玉コレステロールの抑制、心臓機能の調整、視力の回復、消化器官の調整、これらが、ピスタチオを食べることで得られる効果です。さまざまな研究により、ピスタチオを食べることで、糖尿病によるストレスを管理できることがわかっています。

ピスタチオ

 

肌の健康を保ちたければ、毎日ピスタチオを食べるのを忘れてはいけません。ピスタチオにはビタミンEが含まれているため、肌を紫外線によるダメージから守ってくれます。イランの古代医学では、ピスタチオを適量食べることにより、身体を健康に保つことができるとされていました。

 

イランのピスタチオは、世界数十カ国に輸出されています。ドイツ、スペイン、イタリア、スウェーデン、スイス、日本、ロシア、アラブ首長国連邦、トルコ、カザフスタン、チュニジア、カナダ、チリ、ブラジルが、イランのピスタチオの輸出先となっています。

 

イラン産ピスタチオの品質の高さにより、他のピスタチオの生産国は、自分たちの国のピスタチオとイランのピスタチオを混ぜ、それを自国のものとして他国に輸出しています。またアメリカは、イランのピスタチオに高い関税を課し、それがアメリカに輸入されるのを阻止しています。ブルームバーグによれば、これによって、アメリカのピスタチオ生産者の懸念を和らげようとしているのです。

 

世界の主なピスタチオ生産国

 

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