10月 29, 2016 20:23 Asia/Tokyo
  • サフラン
    サフラン

今回のこの時間は、イランの赤い金と呼ばれるサフランをご紹介しましょう。

多様な気候、肥沃な大地、勤勉な人々、こうした条件により、イランは豊かな恩恵に恵まれた国となっています。イランの大地には様々な植物が生えており、その一部は世界的な名声を博しています。そうした植物のひとつが、今夜ご紹介するサフランです。

 

 
サフランが誕生したのは、紀元前で、今から2000年以上前のことです。イラン人は、この貴重な植物を発見し、栽培した最初の民族だと言われています。イラン西部ケルマーンシャー州やハメダーン州のアルボルズ山脈のすそ野が、紀元前728年から549年のメディア王国時代、サフランの栽培の中心地でした。その後、サフランの栽培は、次第にイランの他の町に広がっていっただけでなく、貿易が行われ、他の土地の人々にも知られるようになりました。

 

歴史家たちは、紀元前334年のマケドニアのアレキサンダー大王によるイラン攻撃も、サフランがギリシャ人やローマ人、その後、中国人に知られるようになった要因だとしています。こうした中、世界の貿易市場では、今もなお、サフランと言えば、イランという名前が連想されています。

サフラン

 

イランは、常に、世界で最も良質なサフランの産地として知られてきました。サフランは、栽培の際にほとんど水を必要としない農産品のひとつです。そのため、イランの各地で、その栽培の条件が整っています。今日、イランのさまざまな地域、特に東部と北東部で、サフランの栽培がおこなわれています。特に世界的に知られているのは、東部の南ホラーサーン州で作られるサフランです。

 

サフランは、スパイスの王様、赤い金として知られています。植物学の点から、サフランは多くの特徴を有しています。サフランが花をつけるのは秋で、葉が成長し、緑になるのは冬、春になると葉が落ちて枯れてゆきます。秋の早朝に、サフランの花摘みが始まります。この植物が栽培されている農村には、サフランの花摘みを見ようと各地から多くの人がやって来ます。

 

サフランは美しい薄紫色の花をつけ、赤い色のめしべがあります。このめしべは、一つの花に3本ずつあり、よい香りを放ちます。この部分がスパイスとして使われるサフランです。サフランは畑からすばやく集められなければなりません。その後、特別な条件の中でめしべが花びらから分けられ、サフランの特徴や質を失わないよう、注意深く乾燥させなければなりません。

サフラン

 

サフランの消費について語られている最も古い資料は、紀元前550年から330年のアケメネス朝時代のものです。この時代から残っている碑文には、イランの宮廷で消費されるサフランの量は、およそ1キログラムと記されています。

 

乾燥したサフラン1キロを用意するのに、10万個から20万個のサフランの花が必要です。15万個のサフランの花を摘むのには、1人で40時間かかります。年間平均200トンから300トンのサフランが世界で生産されていますが、そのうちの90%以上をイランが占めています。250トンのサフランを生産するためには、2500万トンのサフランの花が必要になります。

 

サフランは貴重な植物であり、産業、食、医学の分野で利用されています。その昔、ザキャリヤー・ラーズィー、アブーアリー・スィーナー、アブーレイハーン・ビールーニーといったイランの著名な医学者たちは、さまざまな病院でサフランの医学的な効能を利用していました。

 

医学的な観点から、サフランには各種のカロテノイドが含まれており、抗がん作用があります。サフランは、アルツハイマーやパーキンソン病の予防にも効果があり、風邪、消化不良、糖尿病などの治療にも効果的です。

 

この他、サフランは、肝臓や腎臓を浄化するのにも役立ちます。血圧や血中コレステロールを低下させたり、痛みを抑えたりします。サフランにはこの他、神経を和らげたり、睡眠を促したりする効果もあり、記憶力を強化する働きもあります。さらに、身体に必要なビタミンB1、B2、B6、ビタミンCも含まれています。

 

サフランには、昔から鬱を防ぐ効果があることが知られてきました。サフランを煮出したお茶をカップ1杯飲むだけで、気分が高まります。サフランも、他の食品と同じように、適度な量を守る必要があります。1ヶ月に3グラムが適量とされ、5グラムを超えるととりすぎとなります。

 

サフランは、食品産業においても、幅広く利用されています。FDAアメリカ食品医薬品局など、各国で行われた研究により、サフランは、天然の染料として使用することが許可されており、食品の香料としても使用できます。サフランは昔から食品として消費されてきました。その昔、イランの人々は、さまざまな祝祭の中で、美しい色とよい香りを持つサフランを、お菓子の装飾に使ったり、アイスクリームやさまざまな料理を作るのに用いていました。

サフラン

サフランは、芸術や工業の分野でも使用されていました。イランの人々は、きれいな色の出る天然の染料として、サフランを、書道や本の装飾、じゅうたんなどの芸術作品にも用いてきました。サフランの重要性により、芸術家たちは、コーランの装飾などに、この植物の色を使用してきました。

 

イランのサフランは、品質が高いことから、スペインをはじめとする世界数十カ国に輸出されています。スペインは、最近まで、世界第二位のサフラン生産国として知られていました。この国は、自国で取れたサフランの質について宣伝してきましたが、イラン産サフランの主な輸入国でもありました。

 

イラン産サフランの品質の高さにより、スペインをはじめとする多くの国が、それを大量に購入し、自分たちの生産品として国際市場に輸出しています。中国、インド、シンガポール、マレーシア、日本、台湾、フランス、イタリア、ドイツが、サフランの生産国として名を連ねています。

 

近年、イランでは、ナレッジベースの企業の研究者たちによって、自国の生産品の開発や利用に関する研究が行われてきました。

 

サフランに関しても、こうした企業は、新たな方法を見出すことにより、この貴重な生産物の生産者、輸出業者が、サフランを最大限に利用できるよう支援を行い、それが無駄にならないように努めています。例えば、サフランの花の部分は、幾世紀もの間、使用されずに処分されてきましたが、近年の研究により、抗酸化作用があるため、医学的に利用されるようになりました。

 

 


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