健全な家庭の食物の供給源の安全と安定
この番組では栄養や、スポーツ、家族関係といった、身体的、精神的、社会的な健康面でのニーズを満たす上で、最も重要な家庭についてお話します。 食物へのニーズは、生命を維持する上で最も重要で、一生、付随することになります。成長の度合いや寿命,健康,精神や神経の安定、行動や性格、体力やそのほかの能力、子供を生み育てることなどは全て、何らかの形で健全な食生活に関係しています。
健康的な食生活も十分な食料の確保を必要としており、これはある社会の全ての人々が、一生を通して十分な量の安全な食を得られることを意味します。もっとも、これが実現されるのは、家庭に必要な食材が正しく選択、調達され、栄養素が身体の各部分や細胞に行き届いたときです。
十分な食料の確保に加えて、食の安全性の問題も重視されています。これは、食品が一切汚染されておらず安心して食べられることを意味します。食品の汚染源には、ばい菌や寄生虫、或いは化学物質などが挙げられます。学術的な調査からは、この数十年間で技術革新の拡大とともに、食品生産において農薬や抗生物質、ホルモン剤などが大量に使用されるようになったことで、健康に明らかな悪影響が及んでいることが分かっています。これらの物質により、特に子供の間に先天性の障害や小児がんが発生しています。
健康的な食生活は、体の健康に最も重要な要素の1つとされ、しかも精神面での健康にも無関係ではないとされています。食物栄養学の専門家は常に、健康的な食生活を送ることで、病気を引き起こす要素から最大限に守られる、と勧告しています。
WHO・世界保健機関も常に、健康的な食生活と食の安全を強調しています。安全な食品とは、安全な食材で生産され、有害物質の含まれていない食物を意味します。もっとも、食物が最終的に健全であるためには、食物の生産加工から分配、消費に至る全ての段階において衛生基準が守られる必要があります。これらのいずれかの段階において不足や問題が生じた場合、その後の段階に影響を及ぼすことが考えられます。また、安全な食品のもう1つの特徴として、最大限に自然な状態にあり、完全に限りなく近いものであることが挙げられます。
栄養学の専門家の見解では、安全でない食物は下痢やウイルス性の疾病、子供の成長不良や生殖面での問題、ガンなど衛生面での一連の問題につながる可能性があるとされています。安全でない食物は、病気や栄養不良といった問題のあるサイクルを生み出し、特に乳幼児や高齢者、病気や怪我の治療を受けている人々を問題に巻き込みます。このため、WHOは「畑から食卓まで」というスローガンを掲げ、食品の安全性の向上と改善を強調しています。
栄養学の専門家は、食品の安全性を見極める上での重要な点として、次の5つの点を指摘しています。第1に、特に寄生虫などから食物や調理環境を守ること、そして食品の扱いや調理の際に手を良く洗うことを初めとした衛生管理を徹底させることです。第2の点は、生の食材と調理された食材を個別に保存することです。食品の安全を維持するためには、生肉、鳥肉、海産物などはそのほかの食品とは別にし、個別の容器などを使用する必要があります。さらに、注目されるべき事柄として、食品を完全に調理して適切な温度の元に保管することが挙げられます。調理された食材は、2時間以上にわたって常温の室内に保管してはなりません。2時間以上常温の下に置かれた食物は、食べる際に再度温める必要があります。そして最後に、調理の際には常に清潔で安全な食材と水を使用することが指摘できます。
家庭における身体的、精神的、そして社会的な健康を保証する要素には、どのようなものがあり、健康的な食物のうち、最も有益なものはどの食品群でしょうか。家族関係を、相互尊重に基づいたものにするには、どうしたらよいと考えられるでしょうか。また、家族の精神面での安全にとって最も重要な問題には、どのようなものがあるでしょうか。この番組では今後、こうした疑問の全てにお答えしていきます。
食生活の適切な計画は、様々な病気の予防や健康の増進の基本です。現代において、食品や栄養のモデルに関する見識のレベルが高まっていることは確かですが、多くの場合において必要な知識を有していることは、必ずしもその正しい実践にはつながっていないのが現実です。また、消費者がその有害性を認識していながら摂取している食品も数多く存在します。
最新の調査からは、現在15歳から64歳までの45%が、標準体重をオーバーした状態にあり、さらには年少者の多くが肥満であることが分かっています。現代の生活様式では体を動かすことが少なく、現代人は過去の時代の人々に比べて様々な病気にかかりやすくなっています。油で炒めたり、塩分の多い食品、冷凍食品、缶詰、糖分の多い食品や加工食品、炭酸飲料、天然果汁分の少ないジュース、脂肪分の多い肉類を使った食品などの消費は、体重オーバーや様々な病気を助長します。
私たちは誰もが、十分な量の炭水化物や脂肪分、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、水分、食物繊維を含む多様性に富んだ食生活を送る必要があります。これらの食品は、身体が成長し、正しく機能する上で欠かせないものです。私たちの体が必要とするこれらの全ての栄養分が、適切に存在していれば、バランスの取れた食生活を送ることができているといえます。
もっとも、身体と精神の健康の維持には、どのように、またどのくらいの分量で食物を摂取するかにも影響されることに注目する必要があります。その例として、栄養学の専門家は、肉類の加工食品を摂りすぎることでガンのリスクを高め、またビタミンBを豊富に含む穀類の摂取が少なすぎると、精神病の発症を進めると考えています。
多くの人々は、高血圧や肥満、心臓病といった一部の病気の発症は遺伝に関係があると考えています。確かに、これらの病気の発症には遺伝的な要素が重要ではありますが、専門家の見解では、摂取する栄養の種類により、ある病気が遺伝する家系にあってもその病気を予防したり、或いは発病を遅らせることが出来ると考えられています。様々な調査結果からは、高血圧や脳卒中、骨格系の病気や骨粗しょう症、各種のガンなどは食生活の改善により予防できることが分かっています。
このため、食生活のバランスを正確に認知し、全ての栄養素をカバーする多様な食品を摂取すること、1日に摂取する食品の品目を増やすこと、適度の運動や身体を使う活動は、人間の能力を高め、老齢期の健康につながるとともに、様々な病気を予防し、或いは発病を遅らせ、最終的には全ての家庭や社会の経済的な利益にもつながるといえるでしょう。