11月 21, 2016 18:15 Asia/Tokyo
  • ギーラーン州に住む民族の文化(2)

今回も前回に続き、イラン北部ギーラーン州に住む民族の文化についてお話しすることにいたしましょう。

世界、そしてイランの各地の文化的特徴の一つに、民族衣装があります。民族衣装はその地域の気候にあわせて、様々な色や形をしています。ギーラーンの地元の衣装も、この地の先祖から代々受け継いできた美しさにより、イラン人の世界的な遺産となっています。

ギーラーンの女性が身に着けている民族衣装は、ビロードなどでできていて、東の山岳地帯やガーセムアーバードの女性たちが着ています。

シャリーテはひだの入った丈の短いスカートで、ゲルド・トマーンとも呼ばれています。またデラーズ・トマーンはひだの入った丈の長いスカートで、ギーラーンの中部や東部で使用されていました。ギーラーンの地元の衣装は、国際オリンピアードで選ばれた4つの民族衣装の一つとして知られています。

ギーラーンの大衆文学は非常に豊かなものとなっています。ギーラーンでは2つの対句が世代から世代へと今日まで引き継がれ、一部の若者の間でも広まっています。この対句は、愛情、別れ、不安、郷愁、行動や道徳、息子たちが兵役に就くなどの内容を反映しています。興味深いのは、大衆の対句がイランの詩よりも盛んに読まれていることです。

ギーラーンの大衆の対句には、過去の時代の人々の趣向や生活の様子が反映されています。ここで、大衆の対句の多くを記憶しているギーラーン女性による対句をお聞きください。

詩と音楽は、昔からギーラーンの文化において重要な地位を有してきました。結婚式や新年を迎える際、農業などでの多くの伝統儀式で、特別な歌が歌われてきました。ギーラーンの各地では、歌の多様性、メロディーやリズムの特徴など、様々なスタイルがあり、こうしたスタイルの違いは、特にターレシュと、デイラマーン、エスピーリー、その他のギーラーンの地域の音楽の間に見られます。

ターレシュには古いメロディー、ターレシュ・メロディー、新しいメロディーの三つのメロディーがあります。自然は、ギーラーンの音楽にインスピレーションを与えるものであり、このメロディーは独創的なものとして残っています。ギーラーンの歌は、複数の部分から成っています。愛の歌、悲しみの歌、喜びの歌、英雄を称える歌、追悼の歌などを挙げることができます。

ギーラーンの穏やかな気候風土、果物や野菜、穀物などの自然の食べ物などが多くの旅行者をこの州に引き付けています。とくに各種のピクルスやオリーブなどの付け合せの料理が、メインの料理を引き立ててくれます。

ギーラーンの料理にはいくつかの特徴があります。この地域では稲作が盛んで、米の消費がイランのどこよりも多くなっています。また多くの料理に緑のハーブ系の野菜が使用されることも、その料理がギーラーンのものであることを象徴しています。さらに野生のアヒルや魚、オリーブの使用も、この地元の料理を特別なものにしています。

イランの他の地域と同じように、ギーラーンの料理も長い時間と過程を要します。料理には多くの油を使い、酸味が好まれます。それは酢や熟していないブドウなどの実を使ったもので、非常に美味です。

キャテと呼ばれるご飯、そしてナスとニンニク、トマト、卵をペースト状にした料理・ミールザーガーセミー、白い空豆と香草のディル、卵から作った煮込み料理・バガラガトゥーグ。ギーラーンの人々は3食とも米を食べます。

ギーラーンの伝統産業には様々なものがあります。イランは自然、歴史、文化、など観光の魅力にあふれており、この中でギーラーンは色とりどりの伝統工芸など、珍しいお土産の宝庫となっています。

ギーラーンへの観光客の数は日ごとに増えており、彼らはこの州の見所を訪れることで、強い刺激を受けます。旅行者はこの地の土産を持ち帰ることで、イランの祖先の文化、そしてイスラムの偉人達の勧告を周囲の人に伝え、またその記憶を持ち続けます。

地元の伝統工芸として、ガーセムアーバードの絹、ラシュトの刺繍、植物を編んで作った敷物や籠、帽子、木工細工や陶器を挙げることができます。ギーラーンの平織りの布も有名で、ラシュトの刺繍は高く評価されています。

ターレシュの北部ではショール、州の南部ではジャージームと呼ばれる敷物が作られており、ターレシュの南部、スィアーヴォルード、ターロム、またガーセムアーバードではフェルト織りが盛んです。ござなどの植物を編んで作る伝統工芸は、セフィードルードの三角州とアンザリー湿原で行われています。