11月 29, 2016 15:01 Asia/Tokyo
  • 家庭内における相互尊重

今回は、家族同士の相互尊重についてお話することにいたしましょう。

今日、多くの社会においては家族の絆が脅かされており、離婚件数が増加しています。家族社会学の専門家によりますと、家庭を揺るがす経済的、社会的な問題に加えて、家族のモラルや行動上の問題も、家庭の内部を少しずつ脅かしています。その結果、家族の関係が薄れ、苦痛や不満が日ごとに高まります。そして、最終的には対等なパートナーとしての夫婦が、互いを疎ましく感じることになります。

健全な夫婦関係を脅かす要因の1つは、互いに尊重されなくなることです。それまでは全くの他人だった男性と女性が、結婚することで、精神や愛情の面で互いに最も近い存在となるのです。夫婦間において、ほかの誰よりも相手に対する愛情を育むことが期待されるのは、言うまでもありません。

残念ながら、最近の若い夫婦の間で見られる一部の行動は、夫婦間の相互尊重が揺らいでいることを示しています。彼らは、結婚して共同生活を始めて間もなく、表目上は親密さや友愛を示しながらも、不適切な言葉により、互いに相手を侮辱するようになります。しかし、彼らはこうした言動が相手の心や精神にどれほど悪影響を及ぼすかということには、全く気づいていません。こうした言動の結果は、一体どのようなものでしょうか?

 

パートナーに対し誠実で丁寧な言葉遣いをすることで、愛情や安心が高まり、夫と妻は生活への愛着を抱くようになります。夫婦が互いを尊重し合う方法の1つは、気持ちのよい話し方をすることです。これは、話し合う際に、良い言葉を使うことを意味します。

夫婦は、心情や考え方の面でも互いに最も良い聞き手である必要があります。また、互いに対等なパートナーであり、あらゆる物事に関して最もよい言葉で語り合うべきなのです。夫婦のいずれかが、相手に一方的に命令したり、相手を否定することは、親密な夫婦関係に弊害をもたらします。

家庭内では、家族の誰かがそのほかの家族の召使いであることはなく、夫婦は対等に語り合う存在です。相手の過ちを赦すこと、相手の長所をほめること、相手の感情に注目すること、さらには家庭の内外でパートナーの面目を守ることも、非常に重要とされています。

夫婦は決して、他人の前で互いを叱責したり、あるいは相手のいないところで他人に配偶者の悪口を言うべきではないのです。パートナーの尊厳を簡単に壊す、最もよく見られる行動はあら捜しであり、このような行動が続いた場合、夫婦間の愛情に支障をきたします。人間は誰でも、何かしらの欠点を持っているものであり、他人の欠点をさらし、大きく見せることは互いに対する嫌悪感を引き起こします。

夫婦は、色々な義務を果たし協力してくれていることに関して、相手に感謝の気持ちを示す必要があります。相手の優しさに対する感謝の気持ちを表すこと、相手に協力することは、相手への感謝や誠実さを示すものであり、愛情や優しさを大きくする行動です。

相手の精神性や性格、特徴を十分に認識することにより、日常生活の中や他人のいる前で、互いの行動、思考、宗教、家庭に関する信条を尊重することになります。これらの点に留意することで、問題や対立が生じた場合にも、夫婦で話し合い、問題を指摘する機会が生まれることになります。これにより、誤解を解き、対立が解消されますが、これはまさに相互尊重を示すものです。イスラムの預言者ムハンマドは、これについて次のように述べています。

”配偶者を有する者は誰でも、敬意を払う必要がある”