身体と精神の健康に対するイスラムの聖典コーランの効果
今回は、身体と精神の健康に対する、イスラムの聖典コーランの効果についてお話することにいたしましょう。
精神疾患を抱えた、あるいは外科手術を受けた患者に対する調査の結果、コーランが身体や精神の健康によい影響をもたらすことが分かっています。コーランの言葉のリズムは、感情に訴えかけ、人々の心を虜にします。コーランの美しい響きは、例えアラブ人でなくとも、聞く人を魅了します。
今日、精神科医の多くは特別な条件を整えることで、ストレスや緊張をかなり軽減できると考えています。彼らは、ストレスの緩和に大きな役割を果たす要素として、音楽を挙げています。
異なる種類の音楽を聴くことで、私たちは様々な感じ方をし、非常に強い影響を受けます。その一部は、心が乱れたり、精神を刺激したりするものです。過去の調査によれば、対象者全体の4分の3は、緊張を和らげるために音楽を聞き、またこれらの人々の80%がこのことを有益だと考えています。声や音、音楽は心臓の鼓動に大きな影響を与えることが可能です。それは、心臓が声や音のリズムに合わせるために、より緩やかに、或いは急速に鼓動しているからです。
それではここで、人身体と精神の健康に最もよいとされる音楽の種類についてお話することにいたしましょう。
アフマド・ガーズィー博士は、コーランが持つ学問的な奇跡に関する研究の中で、コーランやその朗誦が神経性の疾患を持つ患者にもたらす効果について述べており、研究結果について、以下に挙げたコーラン第17章、アル・イスラー章「夜の旅」、第82節の朗誦とともに説明しています。
"我らは、人々の心を癒し、哀れみをもたらすコーランの節を下した”
アフマド・ガーズィー博士は、さらに次のように述べています。
「私たちは、神経性の問題を持つ可能性があると思われるイスラム教徒のグループと、イスラム教徒でない人々のグループを選び出した。まず、イスラム教徒の患者の身体的、精神的な特徴に関する調査と測定を行い、それから彼らを全く物音のしない部屋に入れた。そして、精神安定剤と検査薬を彼らに渡した。この段階の後、再び彼らの診察を行い、予想の測定値と比較した。その結果、患者の精神的なプレッシャーが緩和されていないことが分かった。その後、これらの患者をコーランが朗誦され、コーランの節について語られている部屋に移した。この時、測定機器は、患者の精神的なプレッシャーが下がっていることを示した。私の研究仲間の一部は、この現象の主な原因が、独特の特徴を有するアラビア語にあると考えた。このことから、今度はこの被験者のグループを、アラビア語による最高の詩や散文が朗誦される部屋に移してみた、ところが、被験者の精神状態を計測する機器は全く変化を示さなかった。この段階において、一部の研究者は被験者がイスラム教徒であることからコーランの節の細かいニュアンスに精通しているために、コーランの朗誦が彼らの精神状態の回復の要因になったと考えた」
ガーズィー博士は、さらに次のように述べています。
「そこで、私たちはコーランやアラビア語に関する知識が全くない人々に対し、コーランが持つ音楽的な効果を試す必要があると考えた。そのため、イスラム教徒でない精神疾患の患者のグループに対する身体検査や診察を行った後、静かな部屋に彼らを移し、リラックスする手段与えた。だが、注目すべき結果は得られなかった。そこで、今度はこれらの患者を心地よい響きでコーランが朗誦される部屋に移してみた。すると、すぐさま計測器が変化を示し、心の乱れが50%緩和された。この数字は、非常に高い数字であり、さらにイスラム教徒の患者に対しては97%もの効果があった」
実際、コーランの神秘主義的な響きは、魅力的で心にしみる調べの1つです。神の言葉は、その大きな影響力により、心と体に影響を与えます。人間は、コーランの響きを聞いた後には、心が軽くなったように感じると共に、物質的な縛りからの解放感を覚え、不安や恐怖感が払拭され、安らぎを感じるのです。
そもそも、コーランに出てくる表現や文章構造は、流麗で大きな変化がなく、連携が取れていて馴染みやすいものです。言葉はそれぞれ適切に、調和した音によって組み合わさっています。コーランの節は、アラビア語に新たな様式をもたらすとともに、新しい体系やまとまりを提示しています。現代の文学者らは次のように考えています。
「コーランは、詩や歌よりも崇高なものであり、他のどの言葉よりも流麗で、他に類を見ないものであり、まさに神の言葉といえる」
また、コーランの内容だけでなく、コーランの言葉の響きも奇跡に等しいものです。コーランの節における文章構造や音の独特のつながりや魅力は、人間の力をはるかに超えています。コーランを朗誦すると、調和し、超越したメロディが響き渡ります。コーランは詩でないにもかかわらず、そこには一般の詩には見られない、ある種のリズムがあることが分かります。
詩は一般的に、イメージから生まれたもので、感情を表現するものです。一方で、コーランは美しさや魅力と同時に、完全に論理的で理にかなった内容や最高の生活規範が収められています。それではここで、エジプトの著名なコーランの朗誦家アブドル・バースィトによる、コーラン第91章、アッ・シャムス章、「太陽」の有名な朗誦をお聞きください。
コーランのメロディアスで心に響く朗誦とその驚くべき様式は、メッカの多神教徒たちをも、おるぴそ、一部の反対派はこっそりとイスラムの預言者ムハンマドの自宅の脇を通り、コーランに耳を傾けていました。著名なアラブ詩人の1人であるヴァリード・ブン・ムギーラは、次のように述べています。
「預言者ムハンマドの口からは、人間の言葉でも、精霊の言葉でもない言葉が聞こえてきた。それは、瑞々しく美しい味わいに満ちていた。その声のトーンが上がると果物が実り、トーンが下がると激しい雨が降るかのようである。それは、全てのものに勝る」
神はコーラン第10章、ユーヌス章、「ヨナ」、第57節において次のように述べています。
”おお、人々よ、あなた方の主から確かに勧告が下された。これは、胸の中にある病を癒すもの、また信者に対する導きであり慈悲である”