4月 04, 2018 18:22 Asia/Tokyo
  • ポジティブシンキング
    ポジティブシンキング

今回は、ポジティブシンキング、つまりプラス思考についてお話することにいたしましょう。

生きていくための重要な技術の1つは、物事を肯定的に捉えることです。この非常に好ましい性質と美徳を備えた人は、豊かな財産を持っていると言っても過言ではありません。もっとも、このことは、決して現実を無視したり、現実から逃避するという意味ではなく、神や世の中における良いことと悪いこと、そして他人の行動をプラスに捉えることを指します。人生や社会における平穏や喜び、希望が楽観的な考え方により生まれることから、私たちはこの技術を身につけるとともに、好ましくない出来事に直面した際に、それに対しどのように対処すべきかを知っておく必要があります。

 

物事を肯定的に捉えることで、健全な雰囲気が生まれると同時に、人々の精神衛生も保障されます。心理学者は、プラス思考や良い結果を伴う将来を信じることで、生活上のストレスから守られると考えています。このため、この10年から20年、プラス思考や喜び、賢明さ、自己認識といった、精神的によいとされる側面が注目され、学術的な形で、生活の様々な側面においてプラスの要素が見られるような努力が行われています。

ポジティブシンキング

 

人生は、紆余曲折を伴うものです。こうした中で、ポジティブシンキングを持つ人はそれらをよりうまく乗り越えていきます。また、何かに失敗した後にも体勢を立て直し、新しいスタートを切ります。

 

肯定的に考えられる人は、柔軟な適応力があることから、仕事や学業、勝負事においてより成功しやすく、そうでない人よりも健康に恵まれており、長寿を全うする可能性が高くなっています。これについて、アメリカ・ペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン心理学教授によれば、ポジティブシンキングが体の自己免疫システムを強化することは、実証されているということです。

 

イスラムの聖典コーランは神の唯一性を中心にして、常に物事をプラスに捉えるよう強調するとともに、このことが人々の成長に大きく関係していると述べています。コーランは、神や人間、創造世界、人生に対するプラスの捉え方を人類に提示しており、数多くの節において、創造世界での驚くべき物や美しさ、数多くの恩恵を思い起こし、それらに注目するよう呼びかけ、それによって神への信仰心に目覚め、本当の安心を実感するよう促しています。

ポジティブシンキング

 

コーランでは、生きるための技術として、プラス思考を持つことを奨励されています。また、周りの物事をプラスに受け止め、自らをマイナス思考へと引き込む邪推を回避するよう求めています。これについて、コーラン第49章、アル・ホジョラート章、「私室」第12節では次のように述べられています。

 

エ;“信仰心に目覚めた者よ、多くの邪推を払拭せよ。なぜなら、それらの一部は罪となるからである”

 

他人にプラスの視線を向け、彼らの疑問を呈するような行動を良い方向に解釈する人は、その最も重要な成果として心の安らぎが得られ、精神的な安定を乱すマイナス思考を遠ざけると思われます。物事を悪く考えることや邪推は、家族や友人、親戚同士の関係にも悪影響を及ぼし、問題が生じることもあります。これについて、コーラン第24章、アン・ヌール章、「み光り」第12節では、次のように述べられています。

 

エ;“彼らはその好ましくない事柄を耳にした時、なぜ信仰心ある人のいずれも、よい方に考えなかったのか”

「生きるための技術」は、IRIB国際放送ラジオ日本語がお送りしています。今夜は、プラス思考についてお話しています。

 

コーランは、生活の中で、不安や緊張、ストレスを生み出す出来事を論理的に捉えています。物事を肯定的に考える人は、この視点に立って一部の出来事を神から与えられた試練と見なし、また中には自分の好ましくない行いの結果だと考えます。このため、彼らは忍耐強くこれらの出来事を克服し、マイナス思考を回避するのです。

 

マイナス思考の人は、自分の周りの出来事を全て否定的に捉えることから、すぐに挫けてしまい、うつ状態に陥ります。そうした人は、たとえ物事がうまくいっているときでも悪い結果を懸念し、自分の人生に失望することで、それが他の事柄にまで及ぶのを許してしまうのです。重要なポイントは、マイナス思考を止めて、プラス思考の技術を身につけ、人生を常に改善、向上させることができることです。

 

人生や日ごろの出来事に対するプラス思考を持つようになるには、まず、その日の朝を迎えるにあたって、特に今自分に与えられている全ての恩恵について、神に感謝することから始めることです。今あることに感謝することで、人生における希望や喜びが生まれます。

 

人間は誰でも、自分の周りの人々の影響を受けています。ですから、自分の周りの人々を選ぶ際には、特に慎重になる必要があります。プラス思考の友人を見つけ、そうした人々を自分のプラス思考の基準とし、プラス思考を生み出すことについて話し合うことです。

 

また、就寝するときは、自分に喜びを与えてくれる全ての物事について考えてみましょう。その日に起こったごく小さな出来事に関しても、その原因となった神や周りの人々に感謝することです。神が自分のために希望に溢れた将来を約束してくれており、最終的に良い出来事や安全、平穏が得られるという吉報を与えてくれていることを、決して忘れてはなりません。これについて、コーラン第24章、アン・ヌール章、「み光り」第55節には次のように述べられています。

 

 “神は、あなたがたのうち、信仰を寄せ、ふさわしい行いをする人々に対し、必ず地上の後継者にすると約束している。あなた方以前の人々をも後継者にしたように。そして、彼らにとって好ましい宗教を、彼らのために揺るぎないものとし、彼らの恐怖や不安の絶えない生活を、安心や安寧に変えられる”