3月 09, 2016 23:30 Asia/Tokyo
  • 欧米諸国の若者たちに向けて

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、2015年11月29日、欧米の若者たちに向け、二通目の重要な書簡を公開しました。

最高指導者は、書簡の冒頭で、欧米の若者たちに宛てた二通目の書簡を公開した理由についてこのように語っています。

「愛情や人間性を有している人々なら、こうした光景を見て心を痛ませない人はいない。それはフランスで起こることでも、パレスチナ、イラク、レバノン、シリアで起こることでも同様だ。15億人のイスラム教徒は確実にこうした感情を抱き、こうした悲劇を引き起こした要因に嫌悪を感じる。しかし問題は、今日感じている苦しみが、より安全でよりよい明日を作る源にならなければ、ただ苦いだけの意味のない記憶として沈むことになるだろう、ということだ。私はあなた方若者たちが現在の混乱から学び、未来を作るための新たな道を探り、西側を現在の地点に至らしめたわき道の防壁になることを信じている」

最高指導者はこの書簡の中で、イスラム世界と西側の共通の問題としてテロの問題を挙げ、アルカイダやタリバンといったテログループの養成や武装化におけるアメリカの矛盾した政策を批判するとともに、テロ対策やシオニスト政権へ支持における西側のダブルスタンダード政策を非難しています。ハーメネイー師は書簡の一部で、テロとの戦いと中東の平和を口実にした西側の大規模かつ継続的な軍隊の派遣について触れ、地域諸国のインフラの消滅と、根深い対立、不平等、人権侵害を生じさせる以外の結果を生み出さなかったとしています。

さらに最高指導者は、地域での過激派の形成における植民地主義政策の影響と他の文化に対する西洋文化の静かな攻撃、その損害について触れ、テログループが形成された要因を探り、西側の若者たちが彼らに加わろうとする傾向に言及しています。また、テロ対策における性急な反応、イスラム恐怖症や西側のイスラム教徒に対する差別の拡大は、イスラム社会における現在の亀裂の拡大や孤立、恐怖、動揺の原因であり、彼らから基本的権利を奪う要因になっているとし、それは将来、危機を引き起こすだろうとしています。最高指導者は西側の若者たちに対し、これらの出来事の要因をより深く探り、西側のメディアや政治家の言うことを簡単に信じないよう求めています。

最高指導者の二通目の書簡もまた、2015年1月21日に公開された最初の書簡と同様、メディアや世界から幅広い反響を呼びました。その書簡は世界の多くのエリートたちが称賛しました。カナダ・オタワ大学の物理学の元教授で、学術団体のメンバーであるデニス・ランコート氏は最高指導者に宛てた書簡の中で、このように述べています。

「私は年齢的には若者ではないが、2015年11月29日、あなたが欧米の若者たちに送った書簡を私は非常に関心をもって読んだ。この書簡は私の心を刺激した。イランは実際、あなたのような指導者を有して幸運である。カナダには、ただ二面性のある、利己的な政治家しかおらず、彼らは大企業の利益とアメリカの要求のために競争しており、国のメディアで、型通りのスローガンを叫んでいる。私は実際、国際的なテロの根源についてのあなたの心理的、地政学的に深みのある分析を評価する。私はあなたの解釈が基本的に正しいと信じ、あなたがこうした事実によって確立した関係に驚いている。私は欧米の若者たちがあなたの書簡を研究し、奥深い見方を有することを期待する。そしてこの書簡が欧米人の目覚めを加速することを望んでいる」

バチカンの司法長官も、「最高指導者の書簡は、各国の国民の間の対話の雰囲気を作り出す上で効果的だ」と強調し、「彼はこの書簡の中で西洋の若者に歴史的な出来事を見直し、現在の世界の出来事に真っ向から向き合うことで、独立した判断を行い、事実を新しい視点から見るよう呼びかけた」と述べています。

アルマヤディーンオンラインの編集長で、アルモニターの編集主幹であるアリー・ハーシェム氏は、この二つのサイトで、最高指導者の二通目の書簡を検討しています。彼は「ハーメネイー師から欧米への書簡、大悪魔のための処方箋」というタイトルで、「この書簡は、もし大悪魔の拠点から出たいと思うなら、過去に行ったことを検討し、それを改めるべきだと言っている。このためこの書簡は一つの処方箋である」と書いています。

アメリカのイスラム学者で政治アナリスト、テロとの戦いの有名な批評家であるコーエン・バート氏は、この書簡について次のように述べています。

「イランの指導者は、欧米の若者たちとの誠実な対話を、世界のイスラム教徒と欧米の若者たちの共通点に触れることで始めている。というのも、テロリズムはすべての人間性に対する犯罪であり、それは犠牲者がパレスチナ人であろうとシリア人であろうとイラク人であろうとフランス人であろうと変わらない。最高指導者が二通目の書簡で指摘しているように、世界のすべての国の人々は、どこかの国の一人の人間が政治的な理由で殺されるとそれを悲しむ。彼はこうした共通の痛みについて触れ、どのような人々が実際こうした苦しみや痛みの背後にいるのかを示そうとしている。若者たちに語りかけているのは、欧米の前の世代は大抵、新たな情報に直面しているにもかかわらず、自分たちの考えを変えようとしていないためだ」

人権、平和、自由、テロ対策は、意味深い言葉であり、残念ながらここ数年、西側諸国に悪用されています。西側の大国は、良いテロリズムと呼んでいるものを、自らの外交政策の目的を実現し、利益を得るための道具として利用しています。実際、西側の政府関係者は、世界平和の実現と人類の理念に向けた自らの主張にもかかわらず、戦争をあおり、過激派を支持し、インフラの破壊につながるような行動をとり、それは、中東やイスラム諸国の大部分の人々の公正や人権擁護の下地を失わせる要因になっています。

一方で、より幅広い見方においては、こうした行動は世界の平和や治安、人間の平和主義的な生活、次世代を消滅させる方向にあるものです。というのも、暴力や過激主義は差別や不平等がある中で形作られるからです。こうした現象は、現在、イスラム諸国のみならず、西側の世界において出現しており、これらの国におけるテロの形成と情勢不安につながっています。

他方、西側は今も植民地主義的な政策をやめようとしておらず、西洋文化の押し付けによって、文化的植民地化と静かな攻撃を推し進めています。欧米の世界は、最新の手段を用いて、世界の文化的同一化を進めています。西側に反対する豊かな文化の軽視、これらの文化の最も敬意を示すべき部分への侮辱が行われている一方で、西側の文化は決してそれにとって代わることはできません。例えば、西側の文化の代表ともいえる「暴力主義」や「道徳的堕落」という二つの要素は、西側においてですら受け入れられなくなっています。こうした中、西側は今もイスラム世界など様々な国に自らの文化を押し付けようとしています。そうした文化的結合は、これらの国に多くの社会的損害をもたらしています。

最高指導者の一通目の書簡は、昨年の1月に公開されました。この書簡は最高指導者がフランスの週刊紙シャルリーエブドによるイスラムを冒涜するような風刺画の提示とその後に起きた襲撃事件、西側の政府やメディアによるイスラム恐怖症の拡大を受けて欧米の若者たちに向けて書いたものです。一通目の書簡では、西側の若者たちがイスラムやイスラム教徒に対して独立した見方をし、世界の歴史や出来事に対して個人的な調査を開始することが求められていました。

重要な点は、このメッセージが西側の若者たちすべてに向けられたものだということです。実際、西側のマスメディアは常に自らと政治的な利益に反するメッセージを改ざんし、真実を捻じ曲げて伝え、気高い指導者たちのイメージを壊そうとしています。この中ですべての若者、市民、平和や人権を支持する団体は、世界的な使命を有しています。つまり欧米諸国で、このメッセージを聞いている彼らは、それに対して道徳的人間的な責務を有しています。ソーシャルネットワークといったメディアや会議の開催、対話や議論を通じてこの書簡の重要な内容に関して有効な分析を提示することは、真実を求める気高い人間の基本的な責務の一つとなっているのです。