ルーヤーン研究所
この時間は、イランの科学の発展に貢献している研究所のひとつ、ルーヤーン研究所についてお話ししましょう。
前回の番組では、世界のナノテクノロジーにおけるイランの地位についてお話ししました。この10年、さまざまな計画と政策により、イランの学者は、この分野で、イランの世界ランキングを60位から6位に、地域のランキングでは4位から1位に引き上げました。また、このテクノロジーの商業化により、ナノ分野のイランの科学的な発展は、経済的な発展に変わり、イランは国内の製品の質を向上させるだけでなく、自国のナノテクノロジーや製品の他国におけるシェアを広げています。
今夜のこの時間は、イランの研究所のひとつで、知識を生産するだけでなく、イランや他国の人々にも大きく貢献し、知識と信仰と努力を融合させ、科学分野の成功モデルとなっているルーヤーン研究所をご紹介しましょう。この研究所の名前は、世界の細胞学や不妊治療の研究者にとってはよく知られた名前です。
ルーヤーン研究所は、1991年、妊娠学や不妊の分野の研究を行う機関として、カーゼミー・アーシュティヤーニー博士のもと、イラン医科大学の研究所として設立されました。
ルーヤーン研究所は、2008年から20009年の間に、イラン保健医療教育省の医科大学評議会から、細胞学研究所、生殖医療研究所として活動する許可を得ました。2009年、医科大学評議会は、ルーヤーン研究部を研究所に昇格させることに同意しました。
ルーヤーン研究所は、3つの研究部と2つの細胞治療、不妊治療の専門センターにより、研究、医療教育活動を行っています。この研究所は、イランの技術や研究の重要な中心地のひとつです。
ルーヤーン研究所は、生物学、生殖医療、ES細胞、バイオテクノロジーの分野で、イランの専門学のニーズを満たし、研究結果を応用した病気や不妊の治療に貢献するために活動を行っています。
この研究所の活動の一つは、ES細胞の研究とそれを心臓病などの病気の治療に応用することです。バイオテクノロジーや生殖医療の分野では、クローン羊の生産を挙げることができます。また、イランや世界の他の国の人々にも不妊治療を行っています。
ルーヤーン研究所は、不妊治療、EU細胞、バイオテクノロジーの分野で、世界で多くの成功を収めてきました。中東で初めてのクローン動物の生産、初のさい帯血バンクの設置、心筋梗塞の治療のためのES細胞の利用などが、この研究所の活動例となっています。
ルーヤーン研究所は、活動から26年がたち、細胞を使った治療方法を提供し、放射線治療を行っている患者が妊娠するための下地を整えてきました。
がんにかかっていたり、放射線治療を行っていたりする女性は、その治療方法により、妊娠する機会を失ってしまいます。しかし、ルーヤーン研究所の関係者は、卵巣組織の凍結により、こうした女性も将来、妊娠できるような可能性を作ってきました。
卵巣組織の凍結は、世界で以前から実験が行われ、イランでも、ルーヤーン研究所で15人以上の女性が妊娠しました。
胎児のさい帯血は、幹細胞という、体の様々な種類の細胞のもとになる細胞が豊富に含まれています。このさい帯血の保存は、新生児やその家族、あるいは他の人々が将来、難病にかかったとき、それを治すのに役立ちます。なぜなら、これらの病気はさい帯血の幹細胞によって治療することができるからです。
現在、多くの先進国にはさい帯血バンクが存在します。このバンクは、新生児のさい帯血を保存し、将来、白血病や再生不良性貧血などの難病を治療するのに役立てることができます。
このバンクには、子供が生まれる前に登録することが可能です。そして子供が生まれたらすぐに、さい帯血を採取します。幹細胞が豊富に含まれるこのさい帯血は、すぐに凍結され、バンクに保管されます。この新生児が将来、成長したとき、白血病などにかかれば、このさい帯血はその治療に使われます。
さい帯血移植手術が最初に行われたのは、1988年のフランスでした。このときから、数百件の移植手術が行われ、成功しています。また、各国でさい帯血を保存する大きな機関が設置されています。
ルーヤーン研究所も、臍帯血の保存のため、2008年に臍帯血バンクを設置しました。この間、患者の治療に好ましい貢献が行われてきました。このバンクの設置以来、これまでに5000件以上の臍帯血がこのバンクで凍結、保存されています。2012年には、13歳の白血病の男の子のために、シャリーアティ病院の骨髄移植センターに最初の臍帯血が送られ、移植手術が行われました。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、常に、ルーヤーン研究所を、イランの科学の発展を象徴する存在として挙げており、人類への貢献と知識の境界の打破、発展における信仰と科学の融合のモデルだとしています。ハーメネイー師は、およそ10年前、ルーヤーン研究所の各部門を視察し、この研究所の研究者による業績を実際に見学しました。
ハーメネイー師は、この訪問の際にまず、イランで始まった科学的な運動について語り、ルーヤーン研究所を訪れた目的は、イランの大きな科学面での運動を称賛し、すべての研究者、特にルーヤーン研究所の研究者たちに感謝を述べることだとしています。
ハーメネイー師は、ルーヤーン研究所は、科学、信仰、努力が融合した輝かしい結果であるとし、「ルーヤーン研究所は、さらなる発展のために多くの可能性を秘めており、この研究所は実際、イランの科学の運動の幹細胞である。すべての研究者が、信仰と知識の組み合わせには、そのような可能性があると信じている」と強調しました。
ハーメネイー師が10年前に予想したように、ルーヤーン研究所の活動は、イランの科学の発展における幹細胞のような役割を果たし、イランは現在、科学技術や知識の点で、世界をリードする国のひとつとなっています。