シーア派12代目イマーム・マハディの時代2
今回も前回の続きとして、現在はお隠れ中で、将来再び出現することが約束されている救世主の、シーア派12代目イマーム・マハディの時代についてお話することにいたしましょう。
イマーム・マハディーの統治政体の重要な指標の1つは、包括的な安全が幅広く普及し、確立することです。世界の全ての人々は、安全や治安を生活上の中軸とみなしており、安全の恩恵にあずかりたいと考えています。今日、国内外の治安の確立は、各国の政府の主な課題の1つに掲げられています。
イスラムは、人々の安全を経済や社会の分野、あるいはそれらに類似した分野に限られたものとは考えず、人々の暮らしの個人的、社会的な領域の全て、さらには心や魂の安全をも考慮しています。それは、安全の確立により有益な社会活動に必要な下地が整い、人々や社会の進歩発展のための条件が揃うからです。
イマーム・マハディは、世界において本当の安全を実現させます。この偉人が統治する領域では、安全が確立し、徹底されます。この偉人の統治は、経済、社会、文化など様々な領域における全面的な安全を写し出す鏡のようなものなのです。
経済面での安全においては、神から与えられた富や天然資源に加えて、人々の間におけるそれらの平等な分配、正義が重要な要素と見なされます。イマーム・マハディの治世には、平等の原則が実施されることで、特定のわずかな人々に富が集中するという事態が回避されます。経済的、社会的な安全のもと、人々の努力の結果が彼ら自身に還元され、何人も他人の努力の結果を横取りする事は許されません。
社会的な安全により、法律違反や混乱は秩序や法律の支配に取って代わられ、法律や文明、人間としての尊厳に基づく社会関係が成立します。
救世主イマーム・マハディの世界的な統治体制においては、政治的、社会的な分野の安全も際立って優れています。このため、特にそれまで抑圧され弱い立場にあった人々を初めとする全人類が、平和や安らぎ、安全の恩恵にあずかることになります。権力欲や排他主義は影を潜め、各国民や全ての民族の間では、同胞愛や友愛が敵愾心や怨恨、有害な競争に取って代わるのです。
そもそも、これまでの人類の歴史を通して、そして現代における戦争や流血の原因は、専横な植民地主義勢力が、各国の国民や諸民族を分裂させるために彼らを対立させ、戦争や敵対へと扇動していることにあります。しかし、イマーム・マハディによる万国共通の統治政権の成立により、偽りの政権は滅亡し、人類社会における不和分裂や戦争、流血の時代は終わりを告げます。
イスラムの視点から見て、社会の安全は特別な位置づけにあり、統治体制の結成の最も重要な目的は、社会における安全の確立であると言えます。統治者は、社会の安全を乱すあらゆる侵略行為に対抗する責務があります。
シーア派初代イマーム・アリーは、安全と平穏の実現を非常に重視しており、安全の確立のためなら、たとえ不当な政権であってもその存在は必要であるとし、次のように述べています。
“誠に、人民は善良な、あるいは醜悪な統治体制や統治者のいずれであれ、それに従うほかはない。信心深い人々はその統治のもとで自らの業務にいそしみ、また神を信じない人々もその統治による恩恵を受ける。とにかく、人民はその統治のもとで暮らすしかないのである。統治者により、国庫に収められる税金が徴収され、その助けにより敵と戦うことができるのである。また、交通安全が実現し、弱者の権利が強奪者から奪還される。善良な人々は、幸福に浸り、悪人から安全に守られる”
安全の確立は、確かに統治体制の重要な目標の1つです。しかし、本当の意味での恒久的な安全は、本当の信仰心を持ち、多神教信仰を回避する事により成立します。これについて、コーラン第6章、アル・アンアーム章、「家畜」第82節には、次のように述べられています。
“唯一神への信仰心を持ち、自らの信仰心を多神教信仰や不義により汚すことのない人々こそ、安全であり、正しく導かれる”
これこそは、イマーム・マハディ政権時代に実現するであろう、恒久的な安全にほかなりません。
イマーム・マハディが打ち立てる、正義を機軸として成立した新しい社会においては、物事の判断基準が大きく変化しており、人々の暮らしのあらゆる側面において安全が徹底されるとともに、恐れや懸念を招く要素が払拭されます。そのような社会では、他人の権利を侵害する元凶は存在せず、人々は安心して生活できます。このような安全のもと、人通りの少ない荒涼とした地域を通る、危険の多い経路も安全なものとなります。イマーム・アリーは、交通安全について次のように述べています。
我らに約束された救世主が立ち上がる時、神の僕たちの心からは怨恨が拭い去られ、家畜と野獣までもが仲良く暮らすようになる。地上の環境は極めて安全なものとなり、女性が1人でイラクからシリアの間を徒歩で往来でき、どこに足を踏み入れても緑豊かで植物に覆われている。また、貴重品を携帯して旅をしても、何の危険に遭遇する事もない”
コーランにおいても、世界に安全が確立し、恐れや不安が払拭されるという神の約束について、第24章、アン・ヌール章、「み光」第55節において、次のように述べられています。
“神はあなた方のうち、信仰心に目覚め、よい行いをする者には、あなた方以前の人々に継承させたように、確実にこの大地を継がせることを約束なされた。そして、彼らのためによしとした宗教を、彼らにとって揺るぎないものとされ、彼らの恐怖を安全へと転換なされる”
そして、最後の重要な点として、イマーム・マハディが全世界にもたらす安全が、世界のどこにも例を見ないものであることが挙げられます。この偉人による繁栄した政権において、人類は互いに皆平等であり、兄弟となります。彼らはあたかも1つの家族のように互いに優しくふるまい、誠実、そして快活に暮らし、平和的に共存します。そのような暁にこそ、世界の様相は極めて美しい、また好まれるべきものになると言えるでしょう。
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