3月 17, 2016 00:35 Asia/Tokyo
  • イラン各地のノウルーズの音楽

ノウルーズ間近になると、以前は春の訪れを告げる一団が、ノウルーズハーニーと呼ばれる春にちなんだ歌が歌われます。

このノウルーズハーニーは、通常チャルメラと似た楽器、ソルナ、あるいはズルナと、両面太鼓のドホルの2つの楽器を伴って行われます。現在では、このノウルーズハーニーは、都市部ではあまり行われていませんが、今でもイランの一部地域では、根強く行われています。

これまでこの番組では、イラン音楽の体系についてみてきました。その中で、チャハールガー旋法という体系が、ノウルーズの雰囲気を表すのによく使用されるとお伝えしてきました。チャハールガー旋法はイランの代表的な旋法体系で、イラン各地にこの旋法体系による歌や曲が残っています。

第23回、第24回でお話した南東部スィースターン・バルーチェスターンにも、春が到来する日に関して歌が歌われます。北西部のアーザルバイジャーン地方でも、当然のことながら、ノウルーズ・バイラム、つまりノウルーズの祝祭として、新たな年を祝います。この地域にはアーシュグと呼ばれる吟遊詩人が現在でも活動しており、弦楽器のゴプーズを抱えてかき鳴らし、うたいます。彼らもノウルーズの祝祭に際して、詩を詠み、歌い、新たな春の訪れを告げています。

イラン中部・ロレスターンの少数民族、ロル族の歌も、春の訪れを歌った歌は非常に多く見られます。以前は伝統的な楽器を用いたと思われますが、現在はシンセサイザーなどの電子楽器も使用されるようです。

このように、それぞれ独特の音楽文化を持つイランの各地方は、それぞれの独特の音楽や歌、詩を用いて、春の喜びを表してきました。