4月 24, 2018 15:54 Asia/Tokyo
  • 社会的な暴力
    社会的な暴力

今回は、フェミニズムがもたらした結果の1つである、西側諸国での女性に対する社会的な暴力の増加について考えることにいたしましょう。

女性に対する暴力は、現代の世界において最も普通に見られる人権侵害の1つであり、数多くの個人的、社会的な問題を引き起こすとともに、社会の発展を阻んでいます。国際人権団体・アムネスティインターナショナルは、報告の中で、女性に対する暴力を世界規模で見られる最も一般的な人権侵害の代表例である、としています。

もっとも、西側のメディアの大規模な報道とは違い、暴力に苦しんでいるのは伝統的な発展途上国の女性のみならず、西側諸国の女性たちも、身の危険を感じています。西側諸国の社会では、女性に対する暴力や彼女たちが被害を受ける危険性が高まっていることから、西側の人権機関の多くは懸念を募らせています。

 

WHO・世界保健機関によれば、女性に対する暴力は次のように定義されています。

「女性の身体的、精神的な苦痛につながるあらゆる暴力行為や性的な行動は、女性に対する暴力と見なされる。このような行為は、脅迫や強制、公的或いは私的な場における各種の権利や自由の完全な剥奪により発生しうる」

あらゆる暴力行為は、身体的、精神的に様々な問題をもたらす可能性があります。精神的には、ストレス、うつ病、恐怖感、自信の喪失、摂食障害、自己嫌悪、人間関係のトラブルなどがあります。また、暴力により、身体的、致命的な被害を受けることもあります。世界保健機関は、女性に対する暴力への対策を優先事項に掲げていますが、これは暴力が女性の身体と精神の健康に深刻な問題をもたらすことが理由です。

 

暴力にも様々な種類があり、その1つは、女性に対し行使されます。資料によれば、西洋社会においては女性が必要な身の安全を確保できていないことがわかっています。

アメリカの性的暴行に反対する団体の統計によれば、アメリカでは1年間に平均して29万3000人に上る12歳以上の女性に対する暴行事件が報告されているということです。この報告ではまた、暴行事件の68%は警察に届けられておらず、加害者の98%はまったく身柄を拘束されていません。この衝撃的な統計は、アメリカ社会の治安システムが正しく機能していないことを示しています。

これについては、注目すべきデータが発表されています。複数の統計によれば、スウェーデンでは女性の4人に1人が、また、イギリス人女性の5人に1人が16歳になる前に性的暴行を受けた経験を持っているということです。

また、イギリスの出版物によれば、同国の大学における性的暴力の実例はごく一部しか明らかにされておらず、それらは実際の数字ではないということです。イギリスの女性に対する暴力への対策を検討する研究所の発表によれば、イギリスの女子大生の3分の1が、夜に大学構内を歩くときに恐怖を感じているとされています。

ある統計によれば、カナダでもここ数年、暴行事件が非常に増加しており、ジャーナリストの報告ではカナダでは1年間に46万件の暴行事件が発生しているということです。

フランスでは近年、高齢者の女性が放置され、移民の女性がひどい対応を受けるという事例が増加していますが、これについて現在までに然るべき対策は講じられていません。また、ヨーロッパ諸国の調査によれば、ヨーロッパ人女性の55%が一生のうちにセクハラを受けているとされています。

 

西洋の社会で、幅広いレベルでの女性に対する暴行が続いている中、西側諸国の政府は女性の権利擁護を主張し、理想的な社会の見本であると自称しています。しかし、実際には、西洋の社会において性的暴行の犠牲となった女性たちは、加害者を公に訴える勇気すらなく、警察や司法体制も加害者に対して然るべき処罰を科していません。しかも、女性たちは警察官による脅迫や性的暴行にもさらされているのです。それではここで、女性の権利の分野で活動するイラン人の専門家、アーホンダーン博士の話をお聞きください。

「西側諸国は、女性への支援をアピールし、またこれらの国のメディアは女性にとっての救世主だと自称している。だが、欧米諸国での女性を取り巻く現状を少々調べてみれば、そうした博愛主義的な自己主張に隠れた真実が明らかになる。女性に対する暴力については、西側諸国では女性は、女性あるというだけの理由で暴行を受けている。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの広報担当によれば、女性に対する暴力を禁止する計画においてさえ、女性にはそれほど大きな選択権がない。即ち、彼女たちには夫或いは生活のパートナーとの決別という、苦渋の選択しか残されておらず、また安全な住居も数少ない。

「一方で、現在の西側諸国で見られる問題には、売春業のほか、女性を性的な道具と見なす捉え方、女性の人身売買があげられる。女性の人身売買は、武器や麻薬の密輸に次いで3番目に利益が多い、違法な組織犯罪とされている。また、現代の西側世界の問題の1つでもあり、この問題の根源は西洋社会における貧困の拡大や戦争、失業、女性自身の見識の低さ、家庭の基盤の弱体化、精神性や倫理の弱さにある。西側における女性の人身売買の主な原因の1つはマフィアである。彼らは、特に貧困の拡大や失業、戦争がもたらす破壊的な悪影響といった、社会の混乱を悪用して女性の人身売買に手を出し、莫大な利益を獲得している」

 

西洋社会において女性を脅かすもう1つの問題は、女性の人身売買です。複数の統計から、ヨーロッパでは性的な商業活動は危険やリスクが少なく、しかも莫大な利益が得られ、また各国の政府もこの問題にほとんど予算を当てておらず、この商業活動に携わる犯罪者の処罰もごく軽いものです。

ヨーロッパ諸国の警察でさえ、多くは性的暴行の被害者を発見しても、彼女たちを保護し、祖国に帰国させるのではなく、逆に悪用しています。アメリカの公式な機関の調査によれば、同国では性の奴隷として売買される法定年齢未満の少女の数は、毎年10万人以上に上るとされています。アメリカ・ワシントンにおいても、13歳という低年齢層を含む若い少女たちが、性的な商品として売買されています。

専門家の見解では、男女の間に見られる本質的、生物学的な違いを無視して、男女の自由な関係やその拡大にこだわる社会では、男女の関係が不適切なものとなり、性的暴行が発生するのは当然だとされています。男女の自由な関係において、相互の合意であれば、その関係は正当な関係、或いは不倫関係のいずれかになりますが、いずれかによる一方的なものの場合、性的暴力、場合によっては性的虐待となります。

最近数十年間において、西側諸国ではこうした現象が常に増加しています。被害者学の専門家によれば、これらの国の女性の社会には、恐怖感や不安、緊張で満たされているということです。このため、今日、特にアメリカを初めとする西側の産業は、公共の場所での女性に対する身体面での自由と平等、という基本的なスローガンが揺らぎ始めています。このことから、女性を保護し、守るために「女性に対する義務と禁止事項」というリストを提示することで、性的暴行の危険を減らそうとしています。

 

アメリカやスペインといった西側諸国の一部からの報告によれば、性的産業に関わる女性の体の表面には、彼女たちの密売者の名前の刺青が入れられているということです。

現存する資料や統計に注目すると、今日、西側諸国の女性は危機的な状態に置かれており、女性にとって安らぎと安心の場であるはずの家庭の基盤が揺らいでいることがわかります。また、こうした現状にかんがみ、西側諸国の女性は男性と同等の権利を持たないのみならず、アイデンティティさえ喪失してしまっているといえます。

西側諸国において、フェミニズムが広まってから100年以上が経過した現在、こうした思想が女性にとっての理想を実現できなかったばかりか、女性の基本的な人権や安全までもが度外視されているのが現実