コーラン国際見本市 (音声)
毎年、ラマザーン月になると、テヘランでコーラン見本市が開催されます。
この時間は、現在、テヘラン中心部にあるイマームホメイニー集団礼拝所で開催されている、聖典コーラン見本市についてお話ししましょう。
今年の聖典コーラン見本市は、5万平方メートルの敷地で、ラマザーン月の4日から19日までにあたる、5月20日から6月4日まで開催されています。
見本市の会場に入ると、コーランの節の芸術的な絵画や書道が目に飛び込んできます。
この見本市には、20のコーラン国際機関、32の市民団体、16の大学関連機関、15の神学関連機関などが参加しています。また、世界7か国の代表や、イラク、マレーシア、アゼルバイジャンのコーラン関係者の参加も見られました。
聖典コーランは、最後の天啓の書であり、人類を導くための最も完全な書物です。そのため、真のイスラム教徒は、道徳、政治、経済、社会関係、思想や行動について、コーランの教えの影響を受けています。
コーランでは、この天啓の書は導きの書であるとされており、第17章アルイスラー章夜の旅、第9節には次のようにあります。
「間違いなく、このコーランは、より確かな教えへと導く」
至高なる神は、導きの方向を明らかにし、それについて、コーラン第46章アルアフガーフ章砂丘、第30節で次のように語っています。
「聖典コーランは、真理と、正しい道へと導くものである」
コーランが導きの書であることから、今年のコーラン見本市は、「コーラン、導きの光」をテーマに活動を開始しました。この見本市では、50を超える専門的な会議、ドキュメンタリー映画や短編、アニメーション映画の上映、コーランをテーマにした芸術作品の展示なども行われました。
コーラン見本市の開幕にあたり、イランの宗教都市であるゴムの宗教権威、ソブハーニー師がメッセージを寄せました。ソブハーニー師は、聖典コーランは、人類にとっての唯一の永遠の奇跡であるとし、次のように語りました。
「聖典コーランは、自然と同じである。自然は無限の神秘を有しており、学者たちがそれについて多くの議論を行い、その法則を発見したとしても、それでもなお、未知の事柄が隠されており、人類はおそらく、そのほんの一部を発見しているに過ぎないだろう。その大部分はいまだに解明されていない。聖典コーランも、神の産物であり、神と同じように無限であるはずだ。そのため、コーランは自然と同じ特徴を持っている」
ソブハーニー師は、1400年に渡って、コーランから生まれた数々の作品は、その無限性を示しているとし、次のように語りました。
「ムハンマドよ、言え、もし人間とジン・精霊が集まり、コーランのようなものをもたらそうとしても、それは不可能である。彼らが互いに助け合ったとしても」
イランのサーレヒー・イスラム文化指導大臣は、聖典コーラン国際見本市の開幕式で、この天啓の書は、イスラム文明の復興と再生、さまざまな信条の形成の始まり方が記されているとしました。サーレヒー大臣は次のように語っています。
「イスラム革命の始まりに影響を及ぼした人々は、コーランの知識を確認することから、イスラム的な思想に入った人々だった。これらの偉人は、革命において大きな役割を果たした」
コーランや、コーランの歴史に関する研究資料の中で、最も重要で最も古いものは、イスラム期初期のもので、それらは世界各地の博物館や図書館などに保管されています。これらの資料に関する研究は、コーランの歴史に関する様々な問題についての報告や伝承の新たな側面を明らかにするものとなっています。
コーラン見本市の開幕式では、シーア派初代イマーム、アリーのコーランが公開されました。この式典では、トルコの著名なコーラン研究家が、次のように語りました。
「今日、ここには昔のコーランがある。これらを研究することは、我々にとって、コーランが本物であることを証明する上で重要である。我々が行った研究により、このコーランは、現在のイラクのナジャフにあたるクーファや現在のシリアにあたるシャームといった場所で書物にされたことが分かっている。また、イスラム暦10年ごろまでに記され、それを記した人々は互いに知り合いではなかった。これらのコーランは、一部の点では互いに異なっているが、違いがないのは、その言葉である。使われている言葉は、他の時代のものと同じであり、それは重要な点である」
イマームアリーの聖典コーランの公開
イランイスラム文化指導省のアブドルハーディ・フェグヒーザーデ・コーラン担当次官は、コーラン見本市の特徴に触れ、次のように語りました。
「この見本市は、イスラム世界最大の見本市ではなかったとしても、世界レベルの見本市の一つと見なされる。実際、この見本市の主な特徴は、単なる展示会ではなく、コーランに関する活動の最大の祭典であることだ。一年を通して、コーランに関して行われる活動の結果が、見本市で明らかにされる。コーランの朗誦や暗記に関する、文化、芸術、研究のさまざまな分野への人々の注目は、見本市の成果のひとつに数えられる。二つ目の成果は、学術、文化、芸術作品の創作にあたっての人々の能力を確認し、それを養うことである。そして三つ目の成果は、見本市の国際的な側面に関するもので、多くの努力や注目により、預言者一門の思想を世界にさらに広められるようにすることだ」
この見本市に訪れた大学生は、コーランの見本市は、コーランの文化を広め、若者たちを導く上で非常に効果的なものだとし、「とはいえ、コーランの影響は、特に、自分自身を清め、神の光を受け取る用意のある人々に及ぼされる。心が清らかで、真理を理解したいと強く望む人ほど、コーランとのつながりが深くなる」と語りました。
13世紀のイランの神秘主義詩人、モウラヴィーは、神と人間について、美しい詩をうたっています。モウラヴィーはこのように語っています。「太陽の光はすべてのものに降り注ぐが、その中でも、その内面の構造により、太陽の光から恩恵を得るのは、ルビーの石である。太陽の光により、非常に美しい赤い石に変わる。他の石にも、同じように太陽の光が降り注ぐが、内側にそのような力を持たないため、同じような石にとどまり、変化はない」
モウラヴィーは最後に、人類に次のように勧告しています。「導きの光を浴び、停滞や物質的な生活から抜け出し、貴重なルビーになるように努めなさい」
聖典コーラン見本市では、優れた朗誦師によってコーランの朗誦が行われ、見本市の空間が美しい響きで満たされました。この響きにより、コーランの内容を利用して、幸福へと手に入れる必要があることが、強く感じられるようになっています。