6月 30, 2018 15:30 Asia/Tokyo

金曜広場 2018年 6月29日    【山口・福本】

(山口)さて、福本さん、イランをはじめとするイスラム諸国ではつい1週間ほど前でしたか、ラマザーン月が明けまして、イランも断食明けの祝賀のムードに満ちていますよね。特に最近は、夏至をはさんで、日照時間が一番長い時期にラマザーンがめぐってくることから、断食をしようとしたら相当に強い意志が必要なのではないかと思いますが、今年のラマザーンをご覧になってどんな印象をもたれましたでしょうか。

(福本)今、おっしゃったように、今年のラマザーンは、一日の断食時間が平均して16時間を超える厳しいものでしたね。私事で恐縮なのですが、我が家では今年息子が、きちんと断食をやりとげた初めての記念すべき年となりました。彼はもう何年も前からラマザーン月に断食をやってはいたのですが、完璧ではなくて、途中で飲み物だけは取ったりなんてことをしていたんですね。ところが、今年は本人も心に期すところがあったのか、完璧に断食をやり遂げました。ですから、今年のラマザーン明けのエイデフェトルの日は、親子共々、感慨深いものがありましたね。 

(山口)それはすばらしいですね。おめでとうございます。これは本当に記念すべき断食明けで、うれしさも2倍ですね。とにかく、ただ単に飲食を控えるだけでなく、それによって自分の言動にも注意を払い、そして恵まれない人や、世界のほかの地域で戦争などのために飢餓に苦しむ人々などへの共感や同情心を持つという、奥深い目的がラマダンには込められています。こうした共感や同情は、宗教の違いを超えて、人間として持っていたいものではないかと思います。このような素晴らしい考え方を、今後もさらにイスラムから学び取りたいと思います。

●リスナーより

「私は日本語を勉強している中国人で、初めてIRIBの日本語放送を受信しましたので、ご報告いたします。IRIBの名誉証書がほしいです。IRIBの番組表もほしいです」とのことです。

●ラジオより

M・Fさん、初レポート有難うございます。とても上手な日本で、受信報告をお送りくださいました。是非今後も、続けてラジオ日本語の番組をお聞きいただき、日本語学習に役立てていただくとともに、イランやイスラムへのご理解を深めていただけますよう願っております。では、福本アナウンサーからも一言メッセージをお願いします。

(福本)M・Fさん、はじめまして。イランからの日本語放送に注目して下さったところに感銘を受けております。イランと中国、そして日本はシルクロードを介して古い結びつきを持っています。イランやイスラムの悠久の歴史、そして現在のイランを知っていただけたら嬉しく思います。

●リスナーより

「放送の中で、懐かしい桑の実のことが話されていました。少年時代、口を紫色にして、桑の実を友達と一緒に学校からの帰り道で、桑畑でほおばっていたのを懐かしく思い出しました。今はそんな桑畑もなくなり、すっかり市街地となってしまいました。ところで、イランでは養蚕業が行われていて、沢山の絹織物が生産、輸出されているのですか」とのことです。

●ラジオより

(山口)K・Nさん、お便り有難うございます。最近満82歳のお誕生日を迎えられたとのこと、おめでとうございます。今後もますますお元気で、引き続きラジオ日本語の番組をお聞きくださり、受信報告をお送りいただけますよう、スタッフ一同心よりお祈り申し上げます。さて、イランでは旬になると街中の果物屋さんで桑の実が沢山出回りますよね。そのまま生で食べてもおいしいですし、イランではドライフルーツとしてもよく登場しますが、桑の実でジャムを作ることもできるのでしょうか?

(福本)はい、市販のジャムとして見かけたことはありませんが、私も何度か作ったことがあります。こちらで出回っている桑の実にはほぼ2種類あって、淡い黄緑色で酸味のないものと、このリスナーさんが書いていらっしゃるような濃い紫色のもので酸味のある種類、ジャムにするのは、こちらの紫色の方ですね。英語ではブラックマルベリーと言われる種類でしょうか。でも、ジャムとしていただくより、やはり枝から直接摘み取って食べるのが一番なんですよね。止まらなくなります。

(山口)本当ですよね。私もイランで、ちょうどいい具合に熟している桑の実をもぎとって食べたことがありますが、これはもうやめられない止まらないといういう感じでしょうか(笑)。それから桑といえば何といってもカイコのエサになることでよく知られていますよね。ただ、イランでは食用としての桑の実、食べる方がかなりポピュラーなように感じます。もちろん、イランもシルクロード文化圏に入っていますが、イランでの養蚕業は見たことはありますか?

(福本)以前、ラジオ日本語の番組で少し触れていたようにも記憶しているのですが。もちろんシルクのペルシャ絨毯も有名ですし、テルメと呼ばれる絹織物も伝統工芸品としてあるわけですから、養蚕業も存在しているのでしょうが、日本と同じように現在は規模が縮小されてしまっているのかもしれませんね。

(山口)そうですよね。イランのシルクの絨毯は、そうでない絨毯よりもお値段がかなり高くなっていますし。私は、イランでは養蚕業を見た事がないのですが、やはり絹糸の生産は相当に手間がかかるときいていますし、大量生産できる合成繊維や木綿の糸に押され気味という事かもしれません。

●北川アナウンサーによるイラン音楽のコーナー

 

オナガ

 

●リスナーより

「最近、バードウォッチングを始めました。東京に出張していたときに、自分の本拠である東海地方や、かつて赴任していた関西地方ではまず見かけない、オナガという青くてきれいな鳥をよく見かけました。日本では当たり前でイランにはいない鳥、もしくはその逆でイランには当たり前で日本にはいない鳥はいますか」 

●ラジオより

(山口)「帰ってきた元BCL&元天文少年」さん、お便り有難うございます。イランは日本の4倍半もの広大な国土を誇り、また多種多様な動植物も生息していて、希少動物として国際自然保護連合に登録されているものも多く、そうした動植物については以前、「イランの稀少生物」でご紹介させていただいております。さて、イランで身近に見るけれど日本ではあまり見かけない鳥として、私の印象ではカチガラスのような白黒のツートンカラーのカラスと、ハトなのでしょうが、鳴き方も日本のハトとは違う、幾分小型のハトが思い浮かびますが、福本さんはいかがでしょうか?

(福本)はい、今おっしゃったカチガラスって、カササギのことですね。テヘランで見かけるカラスはグレーと黒のツートンカラーでおしゃれですよね。この種類は西アジアからヨーロッパまで広く生息しているようです。小型のハトっておっしゃるのはもしかしたら、キジバトでしょうか。こちらではヤーキャリームと呼ばれていて、愛らしい存在です。これが巣をかけるとその家に幸福をもたらしてくれるなんて話も聞いたことがあります。その他では、スズメより一回り、二回りほど大きな、綺麗な声でさえずる、ボルボル・サヨナキドリと呼ばれている鳥がいますね。事典で確認すると種類が違うようなのですが、声が綺麗なので俗称で呼ばれているようです。頭が黒、体はグレーでお腹の下半分が鮮やかな黄色なんです。オスとメスがよく啼き交わしていて、本当に澄んだ美しい声なんですよ。

(山口)そうそう。あの声は本当にきれいですよね。オスとメスが愛のやり取りを交わしているとでもいえるかもしれません。とにかく、イランには希少動物や稀少植物が多いですよね。世界でも有数の自然保護区がいくつもあると聞いています。イランの国内めぐりをするなら、歴史的な名所旧跡もさることながら、自然散策も是非今後は積極的に取り入れたいと思います。

 

イラン国立博物館

 

●リスナーより

「イランでは、展示会などの入場料は高いのですか?また、美術館や博物館などでは無料のところもあるのですか?」ということです

ラジオより

(山口)M・Sさん、ご質問有難うございます。イランの見本市といえば、例えば先月開催されていたテヘラン国際書籍見本市、あれは入場無料ですよね。何しろ入場者が多くて、その会場面積もとても大きいですし。全部見切れないくらいの大きさです。入場料が必要な史跡や博物館であっても、それほど高くないと思いますが、いかがでしょう?

(福本)はい、最近では国立博物館で開催されていた「ルーブル展」に足を運びましたが、入場料が5千トマンというのには驚きました。日本円に換算すると100円にも満たないくらいです。それから、テヘランでは現代美術館や絨毯博物館、そして世界遺産に登録されているゴレスターン宮殿にも行きました。いずれも、申し訳ないくらいの入場料だったことを覚えています。

(山口)そうですか。そのように低廉な価格で見学できるのであれば、これを利用しない手はないですよね。とにかく、イランは見所が沢山ありまして、私もまだ全部見切れていないんですよ。イランの世界遺産など、写真を見ているだけでわくわくしますよね。

 

イラン中部イスファーハーン

 

リスナーより

「イランの国民を一言で言うと、人情味が厚いとか、そんな話を伺い、なんだかイランに遊びに行きたくなりました。日本国内でニュースに聞くイランのイメージは、「怖い」というものでしたが、イランに行ったことのある人はたいてい、もう1度行きたいと言っていて、そのイメージのギャップを不思議に思っておりました。モスクのある風景、西アジアの市場や雑踏のにおいや雰囲気、わくわくします。いつかテヘランに行きたいな、今日の放送を聴いて、そんな気持ちになりました」

●ラジオより

(山口)H・Sさん、うれしいお便りをありがとうございます。こういうお便りを読ませていただくたびに、イラン冥利に尽きる、と申しますか、現在の道を選んでよかったという気持ちになります。これからも、是非こういう方が1人でも増えてほしいですよね。

(福本)はい、そのためには私たちも、番組を通じて様々なイランの横顔をご紹介していかなくてはなりませんね。

(山口)私どもも、イランやイスラムの魅力や本当の姿を、少しでも多くの皆様にご理解いただけるよう願って、日々の業務にさらに精進してまいりたいと思います。

 

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