8月 13, 2018 19:31 Asia/Tokyo

今日、ドルが世界経済を支配している問題は、各国の経済的な独立における大きな障害となっています。この近年、経済や貿易に関係する学会の多くでは、ドルの信用低下と、他の外貨による代替についての話が聞かれます。

一部の人は、ドルが、以前ほどの信用はないと考えています。資産をドルで備蓄することの危険性はこの数年高まっており、トランプ大統領がアメリカ大統領に就任したこと、そして彼の貿易政策により、その危険性はさらに高まっています。

ご存知の通り、ドルはこの数十年、国際的な通貨単位として、国際貿易を支配しています。ユーロが通貨として成立し、人民元が強い外貨となる前も、およそ世界のすべての貿易決済はドルで行われていました。

ドルが世界経済において強い通貨となったのは、1944年の第2次世界大戦の終戦の1年前にさかのぼります。

この年、40カ国以上が、戦後における世界の経済体制を決めるため、アメリカ・ニューハンプシャーのブレトン・ウッズで会合を行いました。

ブレトン・ウッズ協定で知られる、この会合の結論のひとつは、金本位制によるドルを国際通貨とすることです。これは、アメリカ政府が、この会合で、金1オンスを35ドルに設定することを決定しました。この協定は、1971年、ベトナム戦争などによるさまざまな理由で、アメリカによって一方的に破棄されました。その後、ドルは、金などの後ろ盾のない通貨となったのです。

 

 

一方で、アメリカの協定破棄の中で、なぜドルは数十年にわたりその価値を維持していたのでしょうか。それに影響を及ぼした要因のひとつは、ドルと石油の交換でした。1970年代、すべての石油取引はアメリカドルで行われていました。アメリカが各国間の取引に影響を持っていなかった時期においても、多くの投資家にとってアメリカドルは、世界で安全な資本となっていました。

マクロ経済において、通貨は3つの重要な使用法があるとされています。その3つとは、価格の査定、決済手段、資本の備蓄です。1944年以降、アメリカドルは国際通貨とされ、何よりも世界の決済手段としての役割を果たしてきました。それ以前、各国は貿易において、商品の価値を合意する上で問題に直面していたのです。ドルの存在は、国際通貨として、この問題を解決することができました。

各国のドルの備蓄量が増加するとともに、外貨準備としての有用性も、ドルの価値を示しました。このような有用性により、各国はドルの備蓄を投資としてみなしました。ここで、現状から、ドルはこれまで同様、投資に関して備蓄する上での価値を維持しているか、という疑問がわいてきます。

この疑問に答える上で、ドルによる投資が減少し、一部の国がドルの備蓄を別の形での投資に変えていることから、ドルの価値が下がっているという兆候が現れている、というべきでしょう。

2017年の上半期、ベルギー国立銀行は、2億ユーロの人民元を購入し、1億ユーロの韓国ウォンを購入し、外国投資を行いました。また、この時期、欧州中央銀行も、50億ユーロ分の外貨備蓄を人民元に変えたとしました。これは、ドルの価値が低下していることを物語っています。

香港の経済専門家は、ヨーロッパ諸国がドルを他の地域の通貨に変えていることを分析する中で、次のように語りました。

「欧州中央銀行による人民元の備蓄増加は、人民元の更なる利用に向けた国際的な努力と各国の注目をより大きなものにすることになる。このことは、長期的に、人民元の国際的な地位と国際化に影響を及ぼす」

 

 

1945年から2018年におけるこの70年以上の間で、金1オンスの国際価格は480ドルから1350ドルに達しました。

ドルの価値が下がっている理由のひとつとして、アメリカの債務の膨張が指摘できます。アメリカ財務省の発表によれば、アメリカ政府の債務は、オバマ政権時代の終わりまでに、20兆ドル近くにまで達しました。多くの専門家は、この債務が5000億ドル増えることで、世界経済にとっての危機が生じることになると考えています。IMF国際通貨基金の声明によれば、アメリカの対外債務は2015年終わりにGDP比で108%だったということも指摘すべきでしょう。

ドルはこの数十年間、政治の世界でも、その高い需要から、アメリカの対外政策の道具とされてきました。ある意味で、現在、アメリカはドルを他の国に対する武器として利用しています。ドルの帝国主義に関する著作を記したミシェル・ブランド氏は、次のように語っています。

「ドルの価値を決めるものとは、ドルの流通の度合いではなく、その需要だ。この需要は、国際通貨としてのドルの地位にのために、大変高い。このドルの地位は、たとえアメリカの経済と金融政策が弱くなっても、アメリカの軍事的支配によって守られる」

ブランド氏はまた、次のように述べています。

「ドルだけがアメリカの帝国主義を可能にしているのではなく、むしろドルの地位を守ることは、アメリカの帝国主義的な戦争の基本的な理由のひとつとなっている。アメリカの軍事力や金融力は、ドルが外貨準備の通貨であり、国際貿易における通貨とされている状況に頼っている。このことは、世界におけるドルの需要を作り出している。この世界的な需要により、アメリカは好きなだけドルを発行することができる」

 

 

アメリカが他の国に制裁や圧力を行使するために、ドルによって世界貿易を悪用していること、そしてその覇権主義により、多くの国の政府は、石油取引や貿易において、ドルを排除する政策を取り、二国間、あるいは多国間の通貨協定を活用し、アメリカのドル支配から脱却しようと努力しています。

 

BRICSの首脳

 

ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの経済新興国5カ国によるBRICSは、この4年間、自国の通貨が二国間貿易で使用される割合を高めるプロセスを早めています。

締結された合意や提案されたアプローチから、これらの国の間の貿易は、毎年およそ世界貿易全体の17%を占めるようになると見積もられています。これが実現すれば、世界貿易に使われるドルの17%が排除されることになります。また、一方で、これらの国の通貨を利用することで、その価値と信用が国際市場で増すことになり、通貨協定の枠内で、二国間、あるいは多国間貿易がより盛んに行われるようになるのです。

アメリカ政府がドルを発行できること、金利を操作できることにより、アメリカは、ドルに依存した世界経済を操作することができるのです。この状況から脱却するために、一部の国はドルを排除し、国際的な取引の中でドルの役割を縮小しようとしています。

地域の通貨による投資や、ドル以外の通貨による契約や協定の締結は、国際貿易におけるドルの影響力を弱めることができます。

世界的な経済取引における、必須の基準に注目すると、新たな世界的な備蓄のための通貨の存在が必要だと考えられます。この強力な通貨は、どの国にも属さず、そしてアメリカのドル支配の影響力を排除し、その代替となることができます。そしてこの通貨は国際的な組織によって管理されることが必要なのです。この組織は、現存の機関よりも信頼ができ、また、中立でなければならないのです。

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