8月 23, 2018 20:27 Asia/Tokyo

この時間も、この1週間の経済的な出来事について見ていきましょう。

イランのザリーフ外務大臣が、ヨーロッパによる核合意支持のための措置は十分ではないと批判しました。

イランの外交官が、OPEC石油輸出国機構は政治化すべきではないと強調しました。

イランとアルメニアの経済関係について見ていきます。

 

 

イランのザリーフ外務大臣

 

イランのザリーフ外務大臣が、核合意を維持するためのヨーロッパ諸国の措置は十分ではないとし、「ヨーロッパは今も、核合意のために負担を負う用意がないようだ」と語りました。

 

ここからは、ザリーフ外相がなぜ、ヨーロッパの核合意支持における措置を十分ではないと批判したかについて見ていきましょう。

 

アメリカのトランプ大統領が核合意から離脱してから3ヵ月後の8月7日、アメリカの対イラン制裁の第一弾が始まりました。しかし、イランに関するヨーロッパの提案は、まだ曖昧な状態です。11月4日からは、石油・エネルギー部門とイラン中央銀行の取り引きに対するアメリカの第二弾の制裁が始まります。

 

ザリーフ外相は、記者会見で、ヨーロッパは新たな点を提起し、石油と銀行の分野でさまざまな措置を講じているが、それは十分ではないとし、「これらは効果的な措置というよりも、立場の表明である」と語りました。

 

トランプ大統領は、5月8日、アメリカを核合意から離脱させました。

 

 

トランプ大統領

 

このアメリカの措置は、ドイツ、イギリス、フランスなどの核合意に署名した残りの国々の反対に直面しました。ヨーロッパは、この合意を維持しようと努めており、EUは、ヨーロッパの企業に対し、イランにおける活動の継続を奨励することになります。

 

ヨーロッパはこれまで、核合意を維持するための政治的な意志を、言動において示してきました。

 

こうした中、ザリーフ外相は次のように語っています。

 

「ヨーロッパの政治的な意志は、実際の行動が伴ったときに、イランからの回答を得ることが可能になる。ヨーロッパは、核合意は彼らにとって安全保障上の成果があると語っている。当然のことながら、どの国も、自国の安全保障のために投資を行う必要があり、この費用の負担を、今後の数ヶ月で見ていく必要がある。ヨーロッパは、ブロッキング規制や欧州投資銀行の許可といった具体的な措置を講じているが、専門家によれば、ヨーロッパの措置は、効果的なものというよりもむしろ、立場の表明である」

 

ヨーロッパのこれまでの取り組みを見てみると、EUは、アメリカの制裁に対抗するために真剣な措置を講じてこなかったばかりか、アメリカに同調する部分もあることが分かります。7月、ドイツはアメリカの圧力を受け、イラン・ヨーロッパ貿易銀行のイランの資産3億ユーロの移動を延期しました。ドイツ経済省の報道官は、「この送金は、資金洗浄やテロへの資金援助に関して、ドイツ市場監視機関とドイツ関税局の金融情報部の調査を受ける」と語りました。

 

テヘラン大学の経済学の教授であるラッザーギー氏は、イランへの技術と資金の流入という観点から、核合意の経済的な影響について分析する中で、次のように語っています。

 

「ヨーロッパの企業が投資のためにイランにやって来るのは、売却市場を得るためである。もしこの問題を巡ってアメリカからの脅迫に直面すれば、イランの市場に参入し、アメリカの制裁の対象となるリスクを負うことはなくなるだろう」

 

ウィーンにある国際機関イラン政府代表部のガリーブアーバーディ大使は、先週、OPECのバルキンド事務局長とウィーンにあるOPEC本部で会談し、一部の国は、OPECを悪用し、政治的な目的を果たそうとしているとし、この国際機関は政治化すべきではないと強調しました。

 

 

ガリーブアーバーディ大使

 

ガリーブアーバーディ大使は、核合意離脱後のアメリカの違法な措置に触れ、「いかなる国も、いかなる状況にあっても、OPECの別の加盟国の生産と輸出のシェアを奪うことはできない」と強調しました。

 

イランのザンゲネ石油大臣が、先月、OPECの議長国を務めるアラブ首長国連邦のマズルーイ・エネルギー大臣に書簡を送り、アメリカのイランに対する一方的で違法な制裁に触れ、OPECの一国、あるいはすべての加盟国の利益を保護するOPECの規定の適用を訴えました。

 

イランは、OPECの創設国のひとつとして、常に、その戦略において重要かつ建設的な役割を果たし、この機関における重要な決定に影響を及ぼしてきました。そのため、国際関係やエネルギー市場における現在の混乱した状況の中で、OPECが独立を保ち、非政治的な組織として留まり、一部の加盟国がOPECを悪用して、政治的な目的を果たすのを阻止するよう努めることが重要です。

 

イランのOPEC問題元局長のヤールジャーニー氏は、「産油国は、イランの石油の輸出量減少の可能性に基づき、生産枠の拡大が決定するのを防ぐべきだ」と語っています。

 

先週、アルメニアで、農業機械の共同生産に関するイランの企業との協力合意が調印されました。ここからは、イランとアルメニアの関係についてお話しましょう。

 

アルメニア駐在のラヒーミー・イラン商務参事官は、「この協力合意により、イランの企業は、さまざまな種類のイラン製の農業機械をアルメニアに輸出し、この国で最終的な組み立てを行うことになる」と語っています。この合意により、イランの企業が目指す市場は、まず、アルメニアの農業部門であり、その後、ユーラシア経済連合の他の加盟国となります。

 

イランとアルメニアは、両国の経済・文化協力の拡大のために、さまざまな目標や計画に取り組んできました。両国の電力の移送も、こうした計画のひとつです。

 

イランとアルメニアの大学や学術の分野の協力は、この3年、目覚しい発展を遂げてきました。イランとアルメニアは、ナノテクノロジーなどの一部の分野で協力を行うことを決意しています。これについて、イラン科学技術省とアルメニア教育省の間で、覚書が調印されました。

 

アルメニア駐在のサッジャーディ・イラン大使は、アルメニアの教育大臣との会談で、イランとアルメニアの協力の分野は幅広く多様だとし、「イランとアルメニアは、近い将来、学術や大学の分野の協力において、大きな発展を遂げると予想されている」と述べました。

 

イランとアルメニアは、運輸、エネルギー、観光、製品の輸送、自由貿易区への投資など、経済や文化の分野で、協力のための多くの下地を有しています。これらの分野の活動が活発になることは、地域のすべての国にとって利益になります。