8月 02, 2018 19:53 Asia/Tokyo

この時間も、この1週間のイランの経済的な出来事について見ていきましょう。

果物の売買

 

経済状況を整えるためのイランの政府と国会の取り組みについて見ていきます。

イランとASEAN東南アジア諸国連合が協力合意に調印します。

イラン産原油の輸出を停止させるためのアメリカの働きかけが失敗しています。

金貨

 

今年の初めから、イランの市場では、金と外貨が80%以上、不動産の価格がおよそ45%、株価が40%上昇しています。この時間はまず、この話題からお話ししましょう。

ヘンマティ新中央銀行総裁

 

イランの政府閣僚は、先週水曜の会議で、中央銀行のセイフ総裁の後任に、ヘンマティ氏を任命しました。イランのローハーニー大統領はこの会議で、ヘンマティ新中央銀行総裁の取り組みの優先事項として、金融システムと金政策の改革、世界との銀行関係の改善、二国間の金融協定の拡大、外貨備蓄の保護を挙げました。

イラン国会

 

国会の研究所は、先週、報告を発表し、通貨の暴落と市場の変動の理由を分析するとともに、関係各方面に対し、為替の現状を否定するのではなく、合意したレートによる外貨取引の下地を整え、経済管理の複雑化を防ぐよう勧告しました。

 

第二の為替市場を拡大する必要性に関して、国の様々な機関の間で協調が形作られています。国会の調査結果では、イラン経済を徐々に為替ショックへと導いている最大の要因は、次の事柄だとされています。

 

キャッシュフローの増加、高金利と金融システムの問題、一般の債務の大幅な増加、石油への依存、生産部門の投資と仲介を通した輸入への依存、国際的な経済関係と国の外交政策のバランスの欠如、汚職、法の支配の弱さなどです。

 

これらの要因により、不安定な状況の中で、こうした行動が拡大し、イランの通貨の暴落につながっています。国会の研究所は、関係者に対し、第二の為替市場の拡大により、この市場で本来のレートによる取り引き増加の下地を整えるよう勧告しています。

アーモリーラーリージャーニー

 

こうした中、イラン司法府のアーモリーラーリージャーニー長官は、最近の市場の変動に触れ、金や為替の市場で利益を得ようとする人々に対し、司法機関が彼らの容疑について早急に追及すると警告しました。アーモリーラーリージャーニー長官は次のように語っています。

 

「中央銀行の報告と、金や為替に関する国家の資産についての情報によれば、最近のこれらの市場の変動の源は実在していない。警察と司法機関は、一部の人々が市場に混乱を引き起こし、人々の資産で莫大な富を蓄えていれば、それに介入し、そのような行動を阻止するために全力を尽くすだろう」

 

イランとASEAN東南アジア諸国連合は、協力合意を調印します。アメリカの金融情報サービス大手・ブルームバーグは、イラン駐在のシンガポール大使の話として、次のように伝えました。

 

「イランのザリーフ外務大臣は、7月30日からシンガポールで開催されているASEANの会合で、この組織と協力合意に調印することになっている」

 

先週、イランのローハーニー大統領が、外務省への書簡の中で、東南アジア諸国における協定にイランが参加することを正式に伝えました。ここからは、この問題について見ていきましょう。

 

イランと地域機関との協力の強化は、外国との経済関係において、貿易を多様化し、経済開発計画を進める上で効果的な歩みのひとつです。ASEANは、アジアの政治的、経済的な関係において重要な地位を有するため、イランの東南アジア諸国の協定への加盟に関する法案が提出されました。

 

ローハーニー大統領も、これ以前に、「ASEAN諸国との政治、経済関係の拡大は、イランの外交政策に含まれる」と強調しています。ASEANのモハンマディ・イラン代表は、この組織との協力の強化、特に経済、産業、貿易、文化、学術、教育の分野における協力の強化は重要だとし、次のように語っています。

 

「イランは、地域協力を非常に重視しており、ASEANやECO経済協力機構との協力のさらなる拡大を追求している」

 

ASEANは、東南アジアの10か国による組織であり、加盟国の経済開発と政治の安定に向けて努力しています。この組織は、1967年8月に、タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシア、インドネシアによって結成され、その後、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ブルネイが加わりました。

ASEAN

 

ASEANは、加盟国の政治的、経済的な成長とともに、社会的な発展、文化・社会関係の向上、地域問題の解決に向けた戦略の決定も強調しています。ASEAN諸国は、現在、国際的な経済競争の場にもなっています。

 

イランとこの地域の協力の成長は、双方の利益にもつながります。イランは2013年、ASEANへの加盟を提案し、この組織の会合で、ASEANの協定へのイランの加盟が決定されました。

 

アメリカは核合意から離脱した後、同盟国に対し、イランからの原油の輸入を停止するよう圧力をかけています。イランは、OPEC石油輸出国機構の主要な3大産油国のひとつです。今年は日量270万バレルの原油を輸出しています。イランの原油の主な輸入国は、中国、インド、韓国、日本、トルコです。

 

アメリカのトランプ大統領は、およそ1か月前、ツイッターで、サウジアラビアのサルマン国王に対し、産油量を日量200万バレル増加するよう要請したことを明らかにしましたが、サウジアラビアはこれに正式に回答しませんでした。しかしのちに、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが、生産量を日量1000万バレルに増加しようと努めていると発表されました。

 

こうした中、イギリスのインディペンデントは、サウジアラビアの石油産業が、トランプ大統領の要請に従うことによる経済的な影響について分析し、次のように記しています。

 

「サウジアラビアは、原油価格を抑えるため、6月に3年ぶりの生産量を記録し、日量1080万バレルを生産することで、イランが石油市場から抜けた後の穴を埋めようとしている」

 

こうした中、サウジアラビアは、生産量を早期に増やすことに対して、それほど肯定的ではありません。なぜならそれは、原油価格の低下とサウジアラビアの損失につながっているからです。