新番組;セルフケア
セルフケア、すなわち自己管理とは、健康に向けた第一歩であり、それは自分で自分の世話やケアするという術を身につけ、規則正しい身体的活動や精神的な心構えにより、自分の生活の質を向上させることを意味します。
実際に、健康のための自己管理は日常生活の一部であり、これに代わる専門的な措置はなく、それはあくまでも補助的なものに過ぎません。食後の歯磨きや体を動かすこと、風邪を引いた際に薬を飲むことなどはすべて、こうした自己管理の一部といえます。
自己管理において最も重要なポイントは、保険衛生面でのケアに際して正しい決断を下し、自分に対するケアの方法を適切に選択し、それを独立した形で実行する事です。ここで言う独立した形とは、他力本願ではなく、自分で自分に関する決断を下すことを意味します。もっとも、こうした決断を下すことは、専門家を含めた他の人々に相談し、助けを得ることも含まれています。
セルフケアとは、単に自分のことを気にかける、という意味ではなく、自分の子供や近隣の人々、さらには自分と同じ地域の住民や同郷人、職場の同僚、友人、そして自分の周りの環境をもケアすることをさします。
ここで、セルフケアについてよりよく理解するため、頭の中にピラミッドを思い浮かべてください。そして、ピラミッドの頂点には、病気にかかったときに利用する応急措置としてのセルフケアが存在し、さらにピラミッドの底辺の一方に、家族による看護や世話、もう一方に医師などの専門家や病院などの専門機関が存在していることをイメージしてみてください。このピラミッドは、自己管理としてのセルフケアに加えて家族や医療機関の主要な役割を見事に示しています。
セルフケアに関する包括的な計画をもつことは、私たちにとってストレスの解消や生活の質の向上に向けた小さな一歩であったとしても、大きな助けとなります。セルフケアは、私たちにとって好ましい事柄の実施による活動の継続を意味しうるものです。そうした好ましい行動とは、例えば草花を育てる事、友人や親戚に会いに行く事、職につく事です。
言い換えれば、セルフケアとは自分にできない事ではなく、自分にできる事や自分がしたい事に注目する事です。セルフケアにより、私たちは、若さやエネルギーを維持し、強化する活動のために、自分の時間を自由かつ積極的に使うことを考えます。
実際に、健康につながるケアや管理の割合が高いことは、セルフケアの成果だといえます。即ち、それらの活動は、健康の維持や増進、さらには病気の予防や治療、そして病気の悪影響を緩和するために行うものです。既によく知られているように、多くの病気はセルフケアにより短期間で治療できる事が明らかになっています。
私たちは、健康的な生活様式を心がけることで、病気を予防し、軽い病気を治療する際に医師の処方箋なしで入手できる薬を正しく服用し、慢性病の治療の際には適切な看護を行い、また健康の維持のために努力しています。
先進国の多くにおいては、医師の診断を受け、医療機関にかかる人々のおよそ20%を、こうしたごく軽い病気の人々が占めています。一方で、これらの患者の多くは、彼ら自身で容易に治せるのです。
各国の医療ネットワークの統計によれば、医薬品の処方免許を持っている一般医に寄せられる診断のケースのおよそ3分の2は、医薬品あるいは、医者の処方箋なしで入手可能な薬により、完全に治癒できるとされています。このような場合にセルフケアを奨励する事で、人々は適切な方法により自らの問題解決能力を身につけられるのです。
すべての人々に健康維持のための教育を施し、ごく軽い病気の際のセルフケアに関する、信頼できる情報源を提供することで、ちょっとした病気で医者にかかるというケースのうち、少なくとも5分の1は減らす事ができるのです。また慢性的な重病に関しても、意味のあるセルフケアの教育は大きなメリットがあることが証明されています。
今日、薬草や伝統的な方法によるセルフケアも広く一般に普及しています。ここで興味深い点として、WHO・世界保健機関が2014年から2023年までの期間に、一般的な医学に加えて、伝統医学やサプリメントの可能性の活用という戦略を打ち出したことがあげられます。WHOが出した結論によれば、全世界で伝統医学やサプリメントの需要が増え、これらを求める傾向が高まっており、さらに薬草や漢方薬などの伝統的な薬品が、セルフケアの大きな助けとなる事に加えて、慢性病への対処にも活用できるとされています。
セルフケアは、健康的な生活を送るために欠かせないものです。また、それとは逆に、セルフメディケーション・自己治療という方法も存在しますが、これは決して奨励できるものではないため、ここでお話しているセルフケアと混同しないよう注意する必要があります。
セルフメディケーションは、病気の症状に対する十分な情報がないまま治療を施したり、医学的な基準に基づかないで利己的に診断を下す事を意味しています。
近年では、テレビ番組のほか、特にインターネット上でも医学や健康に関する情報が広く開示されていることから、全ての人々が容易に医学的な情報を入手でき、また些細な症状を感じた際でも、簡単にインターネットで調べ、症状を突き止められるようになっています。この事から、セルフメディケーションという現象が広まっています。
WHOの最近の統計によれば、世界で年間510万人が誤ったセルフメディケーションにより、病院の救急外来を受診しており、そのうちのおよそ10万人が命を落としていることが判明しています。このため、セルフケアに当たっては十分な注意を払い、セルフメディケーションと混同しないよう注意しなければなりません。
次回もどうぞ、お楽しみに。