9月 04, 2018 20:41 Asia/Tokyo
  • 結婚すること
    結婚すること

現代においては、私たちの誰もが家庭や家族について語り、また家庭内の問題について語ります。社会学者の間では、家庭は社会を形成する第一の基盤とされ、また心理学者は人間の心理状態の根源を探る上で家庭について研究します。学者たちは、家庭を教育の源とみなしており、社会改革の運動家は、改革への変化は家庭にかかっている、と考えています。

実際に、家庭はどれほど重要なもので、また社会でどのような役割を果たしているのでしょうか。これについて、イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、次のように述べています。

「ある社会における文化や文明の継承、そしてそれらの原則や要素の維持、さらには次世代に対するそうした文明や文化の継承は、家庭によるものである。結婚の基本や、結婚による最も重要な利益は、家庭の形成などにある。その理由は、社会に健全な家庭が存在すれは、その社会も健全なものになり、その社会の文化遺産も正しく継承されるからである。そのような社会においては、子供の教育も最高の形で行われる。このため、家庭が混乱に巻き込まれているような社会や国では大抵、文化やモラルの面での混乱が生じてくる。それぞれの世代が、自らの思考面での結実をその後の世代に伝承したいと望み、また社会が過去の社会から利益を得ようとするなら、それは家庭によってのみ可能となる。人格やアイデンティティのすべてが、初めてその社会の文化に基づいて形成されるのは、家庭環境においてである。また、思考や行動、知識、信条、聖なる存在といったものをごく自然な形で次世代に伝承するのは父親と母親である」

 

ハーメネイー師

 

 

それでは、ここからはイラン人家庭を別の視点からみていくことにしましょう。

すでにお話したように、イランでは集団生活や家庭生活は独自の路線を進んでおり、現代社会において家庭の崩壊や個人主義という傾向が広まっているにもかかわらず、イラン人家庭には今なお強い結びつきが見られます。この番組では、イラン人家庭の持続性や絆の強さを確証するため、イラン人家庭の一部の特徴についてお話しました。これらの特徴は主に、イラン人の国民的なアイデンティティや宗教信仰に起因しています。

イラン文学には、イラン人としてのアイデンティティの多くの例が存在しており、その例として叙事詩人フェルドウスィの名作『王書』に出てくる、ロスタムとソフラーブの物語があげられます。また、信条面でも、イスラムの預言者ムハンマドとその一門の生涯は、イラン人のイスラム教徒の家庭の模範とされています。預言者ムハンマドとその娘のファーティマ、娘婿のシーア派初代イマーム・アリー、その2人の息子のシーア派2代目イマーム・ハサン、3代目イマーム・ホサインの伝承は、家庭内での教育やモラルの重要なポイントが数多く含まれています。配偶者をはじめ、両親や子供に対する振舞い方、家族のメンバーの尊重といった事柄はすべて、宗教の偉人たちの間で家族中心主義が貫かれている事のしるしであり、こうした行動がイラン人家庭の品格を形成しています。

 

預言者ムハンマドの娘ファーティマは、次のように述べています。

ある日、私が父である神の預言者のもとに赴いたとき、父は私に挨拶をしました。私がそれに挨拶を返すと、父はあまり具合が良くないのだが、と告げました。そこで私は、「お父さん、私のところに来てください。あなたの具合をよくしてあげます」と申しました。すると、父は「ファーティマよ、私の上着を持ってきて、私に着せてくれ」と告げました。そこで、私は言われたとおりに父の上着を持ってきて、父に着せました。その時ふと、父の顔に視線を向けると、父の顔は満月のごとく輝いていました。それからしばらくして、息子のハサンがやってきて挨拶をしたので、私も挨拶を返しました。すると、ハサンは次のように申しました。「お母さん、あなたの周りにはいい匂いがしますね、それはなんだか、神の預言者の匂いのようですが」 そこで、私は「親愛なる息子よ、お前のご先祖様は、丈の長い服の下にいるのですよ」と告げました。すると、ハサンは預言者に対し、自分もその服の中に入りたいとして許可を求めました。預言者は許可を与えました。その後、まったく同じようにホサインが預言者に許可を求めて許しを得、次はアリーが、そして最後には私自身が預言者に願い出て許可され、最終的には私たち5人が服の下に集まりました。預言者は、2つの方向から上着をつかみ、右手で空を示し、次のように述べました。「おお、神よ、これらの人々は特別な、しかも親密なる神の預言者一門である」

 

前にお話した預言者一門の伝承においては、預言者の家族が互いに挨拶を交わし、預言者自身も最高の方法でそれに挨拶を返していることが述べられています。この伝承においてはまた、子供たちも両親と話をする際に、最もよい言葉を使っています。

こうした伝承において最も重要な点は、親子間の親近感により礼儀や尊敬の念が失われることなく、親子の双方が自らの立場をわきまえているということです。

さらに、この伝承において明白に現れている、もう1つの注目すべき点は、許可を求めることです。それは、先の伝承に出てくる預言者一門のメンバーは、預言者のいる場所に足を踏み入れるに当たって、預言者から許可を得ており、娘のファーティマまでもが父親に許可を求めています。そして、ファーティマはそのときの父親の表情を、満月のように輝くという最も美しい言葉で表現しています。

ここで、一家の祖父でもある預言者ムハンマドも、やさしく子供たちを迎え、そばに来るよう求めています。また、自分の娘であるファーティマに対しても、心に響く言葉で呼びかけ、彼女を自分の体の一部だとしています。こうした事はは、父親と娘の間の最高レベルの愛情を示しています。

この家族には、宗教家が5人います。その内訳は、預言者ムハンマドを筆頭に、その後継者となる3人のイマーム、そして預言者の娘でイマーム・アリーの妻で、2人のイマームの母親でもある1人の女性です。彼女は、政治や社会活動にも参加するとともに、家庭運営でも中心的な役割を果たしています。そして、それぞれのメンバーがイスラムやイスラム世界の歴史、さらにはシーア派の運命に非常に大きな影響を及ぼしています。

預言者の家族は、緊張や軋轢など全くなく、集団生活に共同参加しています。このような家庭は、子供の養育に愛情や優しさ、親密感を伴っています。また、家庭内の責務と社会的な責務、さらには個人的、社会的な使命の間に違いは存在しません。イランの社会学者アルマキー博士によれば、こうした家族はまとまりのある核家族とみなされており、社会の形成に大きな役割を果たしています。

敬虔な信仰心に基づき、こうした家庭はイラン国内に広まり、存続しています。このような家庭が、イスラム教徒の人々の信条の中心となっていることから、家庭はイランにおいて重要であり、また社会的な使命も家庭を中心としたものとなっています。このような家庭においては、忠誠心や愛情、尊敬や献身という現象の一方で、家族それぞれが1つの大きな概念となり、シーア派、そしてイラン人の文化に浸透しています。子供が生まれた際の名づけに当たっても、ムハンマド、アリー、ファーティマ、ハサン、ホサインといった、宗教の偉人の名前が好まれて選ばれています。

 

それでは、今夜の番組の最後の話題として、夫婦関係の維持に効果的なスキルについてお話することにいたしましょう。今日、家庭問題の専門家は注目すべき点として、次のような事柄を指摘しています。

第1の点として、生活を共にするパートナーとの愛情関係を阻害する言動を慎む事です。そうした言動としてパートナーである異性を侮辱し、行過ぎた利己主義を正当化するような内容の発言に耳を傾けたり、そうした内容の番組や映像を見たり、書籍を読むことが挙げられます。

第2に、自分のパートナーに対する愛情を、日々強くするよう努力することです。そのためには、このことについて勉強するとともに、定期的に新婚当時の写真やビデオなどを、パートナーと一緒に眺めることがよいと思われます。

また、折に触れて何かの口実を設けて、パートナーに対する自分の愛や優しさを表現してみましょう。

自分とパートナーとの関係を、親密なもので十分として済ませるのではなく、相手に対する敬意を払うようにしたいものです。

自分の家族の前でパートナーを立て、他の人々にも自分のパートナーが大切な存在であることをアピールしましょう。これについて、預言者ムハンマドは、「ほかのイスラム教徒を大切にする人は、神を大切にしていることになる」と語っています。

パートナーに贈り物をしましょう。そして、仮に相手と自分の仲が気まずくなったり、意見が対立しているさなかでも、一度相手に渡した贈り物を返させるようなことをしてはなりません。

そして最後に、家庭内の秘密を守る事に努めましょう。さらに、パートナーの欠点ではなく、長所に目を向けるようにしたいものです。

次回もどうぞ、お楽しみに。

 

 

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