トルクメン人の風俗習慣
これまではイランに住むトルクメン人の結婚式の慣習についてお話しました。今回はそのほかのトルクメン人の風俗習慣についてお話しすることにいたしましょう。
「白い羊の祝祭」
トルクメン人が行う祝祭の一つに、「白い羊の祝祭」があります。トルクメン人の男性は、63歳になると、預言者ムハンマドの63年の生涯に敬意を表して祝祭を行い、羊をと殺します。この祝祭は、その人の経済状況に配慮して規模が大きくなったり小さくなったりします。
「白い羊の祝祭」では、財力のある人は格闘技や乗馬競技といった行事を催します。格闘技の競技には遠くの村の人も参加し、賞品を巡って争います。この賞品は、通常現金か布、衣装、また羊の場合もあります。賞品を用意するのは主催者やその親族です。この祝祭には親族や友人、隣人が参加し、イスラムの預言者を賛美する詩をうたい、その人生について語ります。
毎年、イスラムの預言者の生誕日になると、トルクメン人は盛大に祝祭を行い、様々な料理で客人をもてなします。
断食明けの祝祭
断食明けの祝祭も、トルクメンのイスラム教徒の人々の大きな祝祭の一つです。イスラム教徒は1か月の断食月を終えた後、次の月の1日を断食明けの祝祭として祝います。この日、断食をすることは禁じられており、人々は1か月間の禁欲後、神によって準備された宴に参加し、断食明けの集団礼拝を行います。トルクメン人も他のイラン人のイスラム教徒と同じように、この日の礼拝を集団で行います。ラマザーン月、トルクメン人は宗教的な義務に注目を寄せ、モスクで集団礼拝を行います。ラマザーン月が訪れる数日前に、羊をと殺し、近所の人や親せきを招いて、ラマザーン月の訪れを祝います。彼らはラマザーン月の27日の夜を、ガドルの夜とし、夜明けまで祈祷し、夜明け前の食事をしてから眠りにつきます。
トルクメン人は、ラマザーン月の間、フェトリーエと呼ばれる金品を支払います。ラマザーン月の15日目には、詩をうたい、人々の断食継続を励ます儀式が行われます。
犠牲祭
犠牲祭もトルクメン人の行う最大の祝祭です。イスラム暦ゼルハッジャ月の10日が犠牲祭に当たります。この日、メッカ巡礼儀式の一つとして、すべての巡礼者に動物を犠牲にすることが義務付けられています。犠牲の儀式は、預言者イブラヒームの物語と関係しています。犠牲祭は、神を前に愛する者を犠牲にするときを思い起こさせるものです。メッカ巡礼者は羊を犠牲にすることで高い目的を探し求め、物質や現世への帰属から離れて神に仕えるのです。
トルクメン人の間では、犠牲祭の3日前から準備が始められます。1日目は家を清掃する日です。2日目は油を使ったお菓子を作る日で、作ったお菓子を近所の人に配ります。祝祭の前の日の夜は特別なハンマームと呼ばれる浴場に行き、自らを清めます。そして祝祭の当日は礼拝に参加し、聖職者が彼らに勧善懲悪を呼びかけます。そしてみんなで祝辞を述べあい、それぞれの健康と神の恩寵を願うのです。
犠牲祭の日、トルクメン人は条件が整えば羊をと殺します。3日間、この祝祭を祝うお菓子や主に肉料理がトルクメン人の間で振舞われます。犠牲祭の日にはとくに若い男女が新しい服を着て特別な遊びに興じます。この日に生まれた新生児の多くは、犠牲祭にちなんだ名前が付けられます。
次回はトルクメン人の口承文学についてお話しすることにいたしましょう。
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