光の彼方への旅立ち、ルーム章(5)
コーラン 第30章 ルーム章 ローマ 第23節~第26節
慈悲深く、慈愛あまねき、アッラーの御名において
第23節
「また、彼の[英知の]しるしのひとつは、昼と夜のあなた方の眠りであり、[日々の糧]を探すのは、
彼の恩恵のひとつである。まことにその中には、聞く人々にとってのしるしがある。」(30:23)
(23)وَمِنْ آيَاتِهِ مَنَامُكُمْ بِاللَّيْلِ وَالنَّهَارِ وَابْتِغَاؤُكُمْ مِنْ فَضْلِهِ إِنَّ فِي ذَلِكَ لَآيَاتٍ لِقَوْمٍ يَسْمَعُونَ
第24節
「また、彼の[力の]しるしのひとつは、恐怖と希望の源である[天の]稲妻をあなた方に示し、天から雨を降らせ、それによって死んだ大地をよみがえらせることにある。明らかに、その中には、考える人々にとってのしるしがある」(30:24)
(24)وَمِنْ آيَاتِهِ يُرِيكُمُ الْبَرْقَ خَوْفًا وَطَمَعًا وَيُنَزِّلُ مِنَ السَّمَاءِ مَاءً فَيُحْيِي بِهِ الْأَرْضَ بَعْدَ مَوْتِهَا إِنَّ فِي ذَلِكَ لَآيَاتٍ لِقَوْمٍ يَعْقِلُونَ
前回の番組でお話したように、コーランは、ルーム章の中で、人間や世界の創造における神のしるしを挙げています。この2つの節は、人間の生活における2つのしるしに触れ、次のように語っています。「恐らく、あなた方にとって、睡眠は簡単なことのように思われるだろう。だが、昼と夜に交互に訪れる覚醒と睡眠は、神のしるしのひとつである。神はそれによって、人間が、元気に商業活動に出かけたり、疲れたときには休んだりできるようにした。もし睡眠がなかったら、人間はいつも疲れを感じ、生活を続けるのに必要なエネルギーを失っていただろう。時に人々の心に恐怖を植えつける天の稲妻は、人間や動植物の生命にとって重要な雨を降らせるきっかけとなる。もし長い間、雨が降らなければ、その地域の住民は、この重要な生命の源の価値を、よりよく理解するようになるでしょう」
今日、石油や天然ガスを精製所から都市や農村に移送するためには、掘削、パイプラインの敷設、施設の管理などに何十億ドルもの費用が必要です。しかし神は、自然の秩序の中で、風や雲の動き、雨により、何の見返りも求めることなく、地球の住民に水を提供しています。そのため、このような神の無限の恩恵について考え、感謝するようにしましょう。
第23節と24節の教え
● 神の恩恵を簡単に見過ごしてはなりません。覚醒と睡眠のシステムは、神の大きな恩恵のひとつです。
● 合法とされる日々の糧を手にし、生活のニーズを満たすための努力、労働は、好ましい行いとされ、宗教で推奨されています。
● 天の稲妻、雨、大地における植物の生育は、偶然の出来事ではありません。これらの自然の出来事は皆、世界の創造主である神の計算しつくされた計画によるものです。
第25節
「また、天と地が神の命によって打ち立てられたのは、彼のしるしのひとつである。その後、彼がひとつの招きによってあなた方を地上から呼ばれれば、突然、あなた方は[墓場から]出る」(30:25)
(25)وَمِنْ آيَاتِهِ أَنْ تَقُومَ السَّمَاءُ وَالْأَرْضُ بِأَمْرِهِ ثُمَّ إِذَا دَعَاكُمْ دَعْوَةً مِنَ الْأَرْضِ إِذَا أَنْتُمْ تَخْرُجُونَ
前の節では、天と地の創造について触れられていました。この節は、天と地の安定と存続に触れ、次のように語っています。「大きな天体は、人間もまだ、その深さを突き止めてることができていないが、それでもなお、何十億の星や惑星が確認されている。それらは一定の秩序に従って動いており、ほんのわずかでも軌道を逸れれば、地球とその住民を含む天体が消滅するだろう。だが、神は、そのような無数の惑星を回転させ、世界に秩序を与えられた」
とはいえ、神が望めば、この秩序は崩れ、世界は終わり、新たな秩序が打ち立てられます。この新たな態勢では、人間が母親から生まれるこの世界とは異なり、彼らは植物と同じように土から生まれます。そして、両親や兄弟、親類とは何の関係も持たず、一人ひとりの人間が新たな世界に孤独に現れ、現世でも自分の行いの責任を持つことになります。
第25節の教え
● 創造の秩序が一定であるのは偶然のものではありません。神の意志のみによるものであり、そこに神以外の関与は一切ありません。
● 創造だけでなく、世界の管理もまた、神の手の中にあります。神は世界を創造し、そのまま放置しているわけではありません。それどころか、庭師のように、種をまき、それを育てて収穫する段階にも、さまざまな措置を講じています。
● 人間が土から出るとしているのは、復活が肉体的なものであることを証明しています。なぜなら、死によって、土に入るのは人間の肉体であって、魂ではないからです。
第26節
「また、天と地にあるすべてのものは、彼に属する。[創造世界における]すべてのものは、神の命に従う」(30:26)
(26)وَلَهُ مَنْ فِي السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضِ كُلٌّ لَهُ قَانِتُونَ
人間が現世から別の世界へと移動することについて述べた前の節に続き、この節は次のように語っています。「神は人間と、天使やジェン・精霊の所有者である。そのため、彼らをお望みの通りに扱う権利がある。誰も、神に反対する力はない。とはいえ、これらが神の宗教的な教えに反対する可能性はあっても、その本質、存在は、創造の秩序に対しては、完全に服従している。そしてそれらの自由な意志でさえ、神の意志によるものである」
第26節の教え
● 植物や無生物、動物だけでなく、人間や天使、精霊など、理性を持つ存在物も、神の支配を逃れることはできません。
● 人間の本質、存在は、創造の秩序において神に従っていることから、肉体的な成長を遂げます。それと同じように、宗教的な秩序においても神の命に従えば、精神的な成長と幸福に至ります。