イランの名声、世界的な栄誉
アリー・ブン・ホジュヴィーリー(4)
今回も前回までの続きとして、11世紀のイランの神秘主義思想家、ホジュヴィーリーについてお話しましょう。
ホジュヴィーリーはイランとインドで多くの支持者を持つ神秘主義思想家です。彼の廟はラホールにあり、巡礼地となっています。
前回までの番組では、ホジュヴィーリーの生涯についてお話しました。ホジュヴィーリーは10世紀後半から、11世紀にかけて生きた人物で、現在のアフガニスタン・ガズナ近郊に生まれました。彼は当時の多くの学問と提起されていた問題について勉強し、それらに精通していました。
ホジュヴィーリーは、コーラン、ハディース、コーラン解釈、法学をガズナで学び、学問を求める長い旅を始め、多くの師に弟子入りしました。ホジュヴィーリーの旅の終着点は、現在のパキスタン・ラホールとなりました。この町はイラン東部から中央アジアに広がるホラーサーン地方とインド世界の境に位置しており、ホジュヴィーリーはここで著作『隠されたるものの開示』を完成させる機会を見出しました。
ホジュヴィーリーはラホールで多くの功績があり、また多くの弟子を取りました。インドの宗教的歴史家も、ホジュヴィーリーが特にイスラムを広める上で貢献したことを認めています。『隠されたるものの開示』によれば、ホジュヴィーリーはそのほか9の著作を記していたということです。
ホジュヴィーリーの『隠されたるものの開示』は、神秘主義思想に関するペルシャ語の初期の散文作品で、神秘主義思想に関する数多くの情報が含まれています。この本は様々な内容について書かれていますが、その構造はまとまりがあります。
ホジュヴィーリーの『隠されたるものの開示』は、様々な角度から検討することができます。たとえば、この本の構造や特別な形式が角度の一部として挙げられ、ホジュヴィーリーは内容を説明し、思想を拡大する中で、読者に影響力を及ぼすような形式をとっています。
すべての散文形式の作品を見てみると、書き手は内容を伝える中で、言葉やそれを広める能力を使って、大きな文学的なメッセージを伝えようとしているという結論に達します。これは、『隠されたるものの開示』の中にも見られます。
『隠されたるものの開示』の内容は多様ですが、2つの中心的な内容があり、それは人間と神の特別な関係、そして人間と自身の欲望と内面との関係です。この本の主要な部分はすべて、この基本的な内容を説明する目的で記され、各部分はそれぞれ独立性があるものの、そのほかの部分とつながっています。このつながりを考えることによってのみ、広い内容の、そして一見するとばらばらなこの本のまとまりが伺え、その内容を正しく理解することができるのです。
イランの名声、世界的な栄誉はIRIB国際放送ラジオ日本語からお届けしています。この番組では、11世紀のイランの神秘主義思想家ホジュヴィーリーについてお話しています。
ホジュヴィーリーの『隠されたるものの開示』の文章構造を検討する前に、はじめに主要な部分について明らかにする必要があります。『隠されたるものの開示』は、そのほかの学術的な本と同じように、様々な部分で構成され、その最も重要なものは、イランの研究者ゴラームレザーイー博士の分類によれば、5つだということです。
この分類によれば、最初は序の部分で、2つ目は序の後の神秘主義たちの偉人の紹介の前文にあたり、また専門用語について説明しています。3つめは宗教や神秘主義の偉人の紹介が含まれています。4つ目は神秘主義の宗派についての紹介で、5つ目で隠されたものを開示しているということです。
先ほども述べたとおり、この本のそれぞれの部分は独立しているものの、そのほかの部分とつながっており、それはこの『隠されたるものの開示』の全体を構成しているとみなされています。内容のつながりは、この『隠されたるものの開示』の重要な要素です。
序文では、特に同郷の友人であるアブーサイード・ホジュヴィーリーの質問と、著者の言葉によるもので、この序文の終わりでは、中心的な部分と同じように、もっとも詳細な部分と共に、本のすべての部分をつないでいます。ホジュヴィーリーは序の部分で、このアブーサイードの質問に触れます。その後、神秘主義的な真理について何も知らない当時の人々を批判し、この質問に答える中で、神秘主義の偉人の言葉をもとに語り、神秘主義思想の道について説明しています。
実際、この『隠されたるものの開示』のすべての部分は、アブーサイードの質問の後に、その質問に答えるというような形で、すべてそのほかの部分と内容的につながっています。序の部分と終わりの部分、あるいは内容すべてにおいて、各部分をつなぐ上で重要な役割を果たしているポイントが出てきます。ホジュヴィーリーがこのポイントを提示することにより、読者が前後の部分のつながりを理解できるようにしています。このようなつながりが、内容をまとめています。
『隠されたるものの開示』の特徴のひとつは、本のいたるところに著者の存在が感じられることで、明確に、直接的に自身を紹介し、自身の見解について述べています。序章など、著書の一部では、様々な個人や宗派の思想が提示、検討されており、著者の存在がより色濃く感じられます。
また、序章でも、著者の存在は強く感じられます。序章から終わりまで、その中心となるものは、著者の神秘主義的思想です。これは『隠されたるものの開示』の全体に広がっています。ホジュヴィーリーの存在は、この本の主な部分に共通する特性のひとつです。
また、内容のはじめ方から結論までの形式も、『隠されたるものの開示』の注目に値する特徴のひとつです。ホジュヴィーリーがこの著作を記す上での全体的な形式は、はじめに短く、全体的な事柄を語り、その後、それを説明していくというものです。
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