2月 01, 2020 14:28 Asia/Tokyo
  • モウラーナー・ホセイン・ヴァーエズ・カーシェフィーの墓
    モウラーナー・ホセイン・ヴァーエズ・カーシェフィーの墓

今回も引き続き、15世紀のイランの優れた学者、ヴァーエズ・カーシェフィーについてお話ししましょう。

カーシェフィーはさまざまな分野で価値ある貢献を果たしました。

ヴァーエズ・カーシェフィーことキャマーロッディーン・ホセイン・サブゼヴァーリーは、精力的な著述家であり、また宗教学者、天文学者、コーラン解釈者、数学者で、ティムール朝時代の優れた影響力ある説教師でした。彼は長年、宣教や説教を行い、ティムール朝の王、ホセイン・バイカラが即位し、アミール・アリーシール・ナヴァーイーが大臣だった時代、当時イスラム法学の大家が就いていたヘラートの説教師の地位を与えられました。今夜も彼の作品についてお話しましょう。

『秘められた宝石』は、実践論、政治論におけるカーシェフィーの最も重要な作品です。この著作はおよそ1495年ごろに記されました。カーシェフィーと同時代の歴史家のハンダミールは、この作品はカーシェフィーの重要な作品の7つのうちのひとつだとしています。20世紀のチェコのペルシャ語文学研究家ヤン・リプカは、この作品をペルシャ語の道徳書において、3本の指に入る作品だとしてます。彼はこれ以外に、ハージェ・ナスィーロッディーン・トゥースィーとジャラーロッディーン・ダヴァーニーの作品を挙げています。しかし。カーシェフィーの著作は哲学的ではないという点で、ほかの2つとは異なっています。

カーシェフィーは自身のほかの著作でも、政治倫理について扱っており、これらの章では大臣や為政者のあり方や義務について語っています。彼の統治や政治倫理への関心の理由は、カーシェフィーがティムール朝時代の為政者、特にホセイン・バイカラとつながりがあったためなのです。

ペルシャ語の政治的な倫理書は、政治に関する書とイスラム法に関する書の2つに分けられます。政治に関する書はまさに政治そのものについてで、政治的な導きを提示する中で全体的な礼儀について記しています。

この2つの種類の書物の中にはこの2つの、内容が混合しているものもありま。カーシェフィーの『秘められた宝石』は、こういった書籍の筆頭に上げられます。この種の書籍を記す著述家は道徳と政治を結びつけるために、イラン古代から現在のことまでを記しています。

『秘められた宝石』は、イスラム法よりも政治に関する書に非常に近い作品です。この作品では、そのほかすべての行動学に関する書と同じように、人間の文明化への傾向、集団生活や社会の必要性、それに伴う社会における法律の必要性などが語られています。この倫理書では、イスラム期におけるペルシャ語によるイスラム法の書の多くと同じように、法律とはイスラム法だとしており、王も預言者ムハンマドの代理、イスラム法の守護者とみなされるとされています。カーシェフィーはこの本の序文で、王を預言者の立場だとして、王はイスラム法を守るために、誰よりもイスラム法を実施しなければならないとしています。

カーシェフィーはティムール朝時代にこの作品を書いていましたが、トルコ系のティムール朝は14世紀からイランを支配するようになり、モンゴル時代の法律を採用していました。

実際、ティムール朝の創設者ティムールはチンギス・ハーンの一族と結婚することで関係を構築し、チンギス・ハーンの子孫の為政者の代理として統治を行いました。そして彼の後継者も、ほかのモンゴルの集団との関係を築く方針に従っていました。ティムールが残した政権はモンゴル・トルコ的な軍事体制と、さまざまなイスラム文化が混ざり合ったもので、モンゴルのイラン支配地域を引き継いでいました。

カーシェフィーはこの本の中で、為政者には40の性質が必要だとしています。この性質については4章にわたって説明しています。彼はそれぞれの章の中で、この性質に関するコーランや預言者の伝承を説明し、その後、歴史的な説話に触れ、数行の詩を詠み締めくくっています。一部の章では、歴史的な説話や詩の分量が多くなっています。この本における多くの詩は、カーシェフィー自身が詠んだもので、一部の詩はほかのペルシャ語詩人の詩集からとっています。崇拝や忍耐、神に頼ること、措置、勇気、名誉などは、カーシェフィーが王として必要だとしている40の性質の一部です。

この『秘められた宝石』の説話は、彼以前の倫理書から引用されたものです。彼の説明の中には、それ以前の書にはなかった、適切かつさまざまな内容が見られます。古代のイランの支配者やマケドニアのアレクサンダー大王、ターヘル朝やサーマーン朝、アッバース朝のカリフ・マームーン、ガズナ朝やセルジューク朝の為政者がその中で語られており、それはほとんど歴史的な誤りが見られません。

ホセイン・バイカラの宮廷人の指示により作成された、この『秘められた宝石』は、政治と権力を道徳と関連付けた書だとされています。為政者の行動が危機を生み出した時代、カーシェフィーは軽く考えたり、考えすぎる人物に対して、道徳的な政治を薦めており、統治の合法性と永続性は公正さや敬虔さによるとしています。『秘められた宝石』では、この原則は、さまざまな時代や場所に見られるとしています。また、共通の道徳について語っており、カーシェフィーの時代の公正と繁栄の必要性に宗教的、そして部族的な偏りから離れた形で応えているのです。

 

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