光の彼方への旅立ち、アル・アハザーブ章(13)
コーラン第33章アル・アハザーブ章部族同盟、第51節~第54節
慈悲深く、慈愛あまねき、アッラーの御名において
第51節
「[預言者よ、]妻たちのうち、誰でも汝が望む一人の順番を遅らせ、また汝が望む者を自分のもとに留めておくがよい。また、汝が離れた者のうち、[再び]求めるのであれば、汝に妨げはない。これは彼女たちを喜ばせ、悲しませないためである。そして汝が与えたものに彼女たち皆が満足することにより近い。神はあなた方の心にある事柄を知っておられる。神は忍耐強く、すべてを知る方であられる」33:51
(51) تُرْجِی مَنْ تَشَاءُ مِنْهُنَّ وَتُؤْوِی إِلَیْکَ مَنْ تَشَاءُ وَمَنِ ابْتَغَیْتَ مِمَّنْ عَزَلْتَ فَلا جُنَاحَ عَلَیْکَ ذَلِکَ أَدْنَى أَنْ تَقَرَّ أَعْیُنُهُنَّ وَلا یَحْزَنَّ وَیَرْضَیْنَ بِمَا آتَیْتَهُنَّ کُلُّهُنَّ وَاللَّهُ یَعْلَمُ مَا فِی قُلُوبِکُمْ وَکَانَ اللَّهُ عَلِیمًا حَلِیمًا
前回の番組でお話したように、偉大なる預言者ムハンマドは、妻のハディージャが53歳で亡くなった後、複数の女性と結婚しました。そのうちの一部の結婚は、部族から頼まれたものであり、この要請は、部族の人々が預言者との血縁関係という栄誉を求めてのことでした。また、一部の結婚は、未亡人を保護するためのものでした。預言者の妻たちは、一人を除いて皆、夫を亡くした未亡人でした。そのため預言者は、彼女たちとの間に多くの子供を設けることはありませんでした。
これらの結婚は預言者の望みによるものではなかったため、一部の女性たちは、預言者が自分の保護者となることだけで十分だとし、婚資金を受け取ることなく預言者の妻になることを受け入れていました。そのため神はこの節の中で、預言者に対し、それぞれの妻たちと過ごす時間の配分について、自分がよいと思う方法で、彼女たちの満足を得られるように行動することを許可しています。
とはいえ、当然のことながら、妻たちはそれぞれに、預言者の手には負えない期待を有していました。預言者は重大な使命を負っていたため、それらのすべてをかなえることはできなかったのです。しかし、預言者は可能な限り、自分がよいと思った範囲でそれらをかなえていました。なぜなら、妻を満足させることは、人間が穏やかな生活を送る上で重要な要素であるからです。
第51節の教え
- 宗教的、社会的に重大な責務を遂行することが、家族としての責務を捨てる原因となってはなりません。
- 家庭内において、男性が社会的に重大な責務を有するときには、その状況を家族、特に妻が理解し、協力する必要があります。
- 悲しみを遠ざけ、喜びやエネルギーをもたらすような、安全で平穏な環境を作ることは、家庭における男性の責務のひとつです。
第52節
「預言者よ、今後、汝にとってはいかなる女性も合法とはされず、汝の妻を別の妻たちと取り替えることはできない。たとえ彼女たちの華やかさに魅了されたとしても。ただし汝が所有者となる召使は別である。神はすべてのことを留意されている」33:52
(52) لا یَحِلُّ لَکَ النِّسَاءُ مِنْ بَعْدُ وَلا أَنْ تَبَدَّلَ بِهِنَّ مِنْ أَزْوَاجٍ وَلَوْ أَعْجَبَکَ حُسْنُهُنَّ إِلا مَا مَلَکَتْ یَمِینُکَ وَکَانَ اللَّهُ عَلَى کُلِّ شَیْءٍ رَقِیبًا
引き続き、預言者の妻たちに関して述べる中で、この節は預言者の妻になりたいとする女性たちの要請の停止について、次のように語っています。「預言者よ、今後はいかなる結婚の要請にも肯定的な返事をしてはならない。そして、新しい妻を迎えることを神から禁じられたと言いなさい。もしも今の妻のうちの誰かと離婚し、その代わりに新しい結婚をしてほしいという要請があったとしても、それを受け入れてはならない。たとえ美しくて若い女性が結婚を求めてきたとしても」
歴史的な言い伝えによれば、神の預言者ムハンマドは、未亡人だった妻たちのいずれとも離婚はせず、結婚を求めてきた若い女性たちを新しい妻として迎えることはなかったということです。
第52節の教え
- 預言者が本物であり、コーランが神の書であることを示す根拠のひとつは、預言者に制限を設けた節の内容です。もしコーランが預言者が作ったものであったら、そのような制限を設ける節は存在していなかったでしょう。
- 美しくて若い女性と結婚するために、現在の配偶者に配慮せずに彼女と離婚することは、神から否定されています。
第53節
「信仰を寄せた人々よ、あなた方に食事をする許可が出されるまでは、預言者の家に入ってはならない。また、食事の時間を待ち望んではならない。だが、招き入れられた際には入りなさい。食事が終わったらすみやかに立ち去り、話に夢中になってはならない。これは預言者を苦しめる。だが遠慮して[何かをあなた方に言ったりはしない]。神は真理を[述べることを]遠慮したりはしない。いつでも預言者の妻たちに何かを求めるときには、幕の後ろから求めなさい。それはあなた方の心にとっても、また彼女たちの心にとってもより清らかなことである。あなた方にとって、神の預言者を苦しめるのはふさわしくない。彼の後に彼の妻たちと結婚してはならない。これは神にとって大きなことである。」33:53
یَا أَیُّهَا الَّذِینَ آمَنُوا لا تَدْخُلُوا بُیُوتَ النَّبِیِّ إِلا أَنْ یُؤْذَنَ لَکُمْ إِلَى طَعَامٍ غَیْرَ نَاظِرِینَ إِنَاهُ وَلَکِنْ إِذَا دُعِیتُمْ فَادْخُلُوا فَإِذَا طَعِمْتُمْ فَانْتَشِرُوا وَلا مُسْتَأْنِسِینَ لِحَدِیثٍ إِنَّ ذَلِکُمْ کَانَ یُؤْذِی النَّبِیَّ فَیَسْتَحْیِی مِنْکُمْ وَاللَّهُ لا یَسْتَحْیِی مِنَ الْحَقِّ وَإِذَا سَأَلْتُمُوهُنَّ مَتَاعًا فَاسْأَلُوهُنَّ مِنْ وَرَاءِ حِجَابٍ ذَلِکُمْ أَطْهَرُ لِقُلُوبِکُمْ وَقُلُوبِهِنَّ وَمَا کَانَ لَکُمْ أَنْ تُؤْذُوا رَسُولَ اللَّهِ وَلا أَنْ تَنْکِحُوا أَزْوَاجَهُ مِنْ بَعْدِهِ أَبَدًا إِنَّ ذَلِکُمْ کَانَ عِنْدَ اللَّهِ عَظِیمًا
第54節
「あなた方が何かを明らかにしたり、あるいは隠したりしても、神はすべてのことを知っておられる」33:54
(54) إِنْ تُبْدُوا شَیْئًا أَوْ تُخْفُوهُ فَإِنَّ اللَّهَ کَانَ بِکُلِّ شَیْءٍ عَلِیمًا
この節は、社会的な慣習や客人を迎えたときの礼儀の一部について述べ、信仰を寄せた人々に対して次のように語っています。「まず、前もって知らせることなく、誰かの家に入ってはならない。次に、もしあなた方が誰かの家に招かれたならば、時間通りに訪れ、食事が終わった後には家を去るべきである。三つ目に、あなた方が招待されていなくても用事があり、その人の家に行かなければならないときには、扉の後ろから自分の要求を述べ、その家の女性たちのプライバシーを守る必要がある。敬虔さとは相容れないような行動を取ってはならない」
このような礼儀や指示、特に預言者の家や家族に関する礼儀は、最高の形で守られる必要があり、預言者を苦しめたり、悩ませたりするような行いは控えなければなりません。とはいえ、これらは家に招かれる際に守るべき事柄のほんの一部です。コーランの他の節でも、この問題に関してまた別の点が指摘されています。
第53節と54節の教え
- 信仰に必要なのは、社会的な慣習や道徳を守ることです。礼拝を行うだけでは十分ではありません。
- 家はプライベートな空間であり、家の持ち主の許可を得ずに、その空間を侵す権利は誰にもありません。
- 客を迎えてもてなすことは、イスラムや宗教の偉人たちによって勧められていますが、客人は、その家の人を苦しめたり、迷惑をかけたりしてはなりません。
- ヘジャーブを守り、男女の社会的な関係において境界を決定することは、清らかさを保ち弊害を遠ざけます。