6月 18, 2022 19:35 Asia/Tokyo

イランの広大な大地は、多くの自然や観光名所を有し、エコツーリズムの可能性という点で、世界のトップ5に名を連ねています。この番組では、イランの自然の恵みをご紹介して参りましょう。

イランは、その地理的条件と独特の地質から、美しく多様な自然現象が見られる土地であり、国土の54.5%を山岳地帯が占めています。こうした山々の存在は、様々な自然現象をもたらす要因となっています。そのひとつが、数多くの洞窟の存在です。中でも、湖や河川の洞窟、古代の洞窟や、人工的に作られた洞窟など、その種類は様々で、それぞれの場所において、美しい形の柱などを目にすることができます。イランで最も有名な洞窟は、アリーサドルです。アリーサドル洞窟は、世界でも風光明媚な鍾乳洞のひとつとして知られ、イラン西部・ハマダーンから北西に75キロのアリーサドル村にあります。アリーサドル洞窟は、それほど標高のない、黄色い岩を意味する「サーリーゴッペ」という名の山にあり、村の南に隣接しています。この山には、この他にも、「サラーブ」と「スーバーシー」という名の2つの洞窟があり、サラーブは、アリーサドル洞窟から7キロ、スーバーシーは、11キロ離れています。

 

アリーサドルの神秘的な洞窟の特徴については、専門家によれば、この洞窟ができたのは、1億9000万年から1億3600万年前のことで、洞窟内の通路や空間は、長年に渡る堆積や浸食、地殻変動によって生まれたということです。また、アリーサドル洞窟は、16世紀から18世紀にかけてのサファヴィー朝時代に発見されたと言われていますが、入り口を修復するために行われた調査や、発見された土器などから、11世紀から12世紀のセルジューク朝時代に、この洞窟の一角で人々が生活を営んでいたことが分かっています。アリーサドル洞窟は、1962年、ハマダーンの登山家グループによって発掘され、1967年に光を取り入れる工事が行われると、その後は一般に開放され、現在に至るまで、イランの景勝地、ハマダーン州の観光地のひとつとなっています。

 

アリーサドル洞窟の特徴としては、まず、入り口近くの壁や天井に、石灰岩の浸食が見られますが、この浸食は、その昔、この付近に水が存在したことを物語るものです。洞窟内の水の深さは、50センチから14メートルと、場所によって大きく異なります。また、アリーサドル洞窟には、多くの水路が存在しており、中には、まだ発見されていないものもあります。2005年の公式発表によりますと、この洞窟の長さは2100メートルで、高さは、1メートルから35メートル、幅は2メートルから15メートルだということです。

 

洞窟内を見学するには、ボートで少し進んだ後、さらにしばらく歩き、それからまた、ボートに乗らなければなりません。この洞窟には、数多くの通路に別れ、いくつものルートが存在しますが、これまでに発見されているルートの全長は、およそ14キロにのぼります。そのうち、光の差し込むおよそ4キロの通路が、一般の人々に開放されているものです。洞窟にある最も大きな中庭には、複雑に入り組んだ大小さまざまなホールがあり、網状に延びた通路でつながっていますが、中には、数百平方メートルを超える大きさのものもあります。時に、10メートルにも達する洞窟の天井は、石灰岩と化学物質が混ざり合った堆積物で覆われています。これらの堆積物は、様々な形の天井からつららのようにぶらさがり、神秘的な光景を作り出しています。また、洞窟の地面や水がない場所でも、地面から棒状に向かって伸びる、不思議な形の堆積物を目にすることができます。

 

アリーサドル洞窟を流れる水は、地下水と、壁や天井から内部に流れる水を源としています。この大きな洞窟は、石灰岩に細かい穴ができ、その穴が次第にくっついたり、侵食されたりすることによって、長い年月をかけて出来上がりました。洞窟内を流れる水は、およそ12度と、比較的低く、味も匂いもありません。また、色は水色で非常に澄んでおり、深さ5メートルに達する場所でも、特にライトなどを当てなくても、肉眼で底が見えるほどです。実験により、アリーサドル洞窟の水質は、水素イオン指数が中性に近く、石灰質が含まれていることから、生物の生息には適していません。

概して、洞窟の内部は非常に美しく、空気もきれいで静寂に包まれており、蝋燭を灯しても、炎が揺れることはありません。

 

ハマダーンにあるアリーサドル洞窟は、風光明媚という点で、世界最大の天然の洞窟だと言うことができるでしょう。この洞窟の神秘は尽きることがありません。毎年行なわれる研究者の発掘調査では、新たな通路が発見され、この調査は現在も継続されています。洞窟の中で最も美しい部分は、4000メートル四方の空間であり、「1000のランプ」を意味する「ヘザールゲンディールホール」と呼ばれています。この空間の壁や天井は、色とりどりの様々な形をした蒸留物で覆われています。現在、洞窟内をスムーズに見学できるように、小さなボートが用意されたり、電球が設置され、また、この地域を訪れる人々の便宜を図るため、各種の福祉施設や宿泊施設も整えられています。イランの国内外からアリーサドル洞窟を訪れる人々の数は、年間50万人を超えると言われています。この洞窟の自然の魅力について言えることは、創造の書を記した神が、この洞窟に、最大限の創造力を込めたということです。

 


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