視点
イラン国内の暴動への干渉を自白したアメリカ
プライス米国務省報道官は、バイデン政権がイランでの騒乱に注力していると認め、合意の用意がないとしてイランを非難しました。
プライス報道官は、イランの騒乱および公安かく乱者を支持し、「現在の我々が注力するのは、彼らを支援し助けることだ」と主張しました。アメリカは、「核合意復活交渉におけるイランの要求は非現実的であり、合意の範疇を超えている」と主張しましたが、自らの過剰な要求には言及していません。
バイデン政権はさらに、12日水曜に発表された新しい国家安全保障戦略において、イランの平和的核計画に対する一連の主張を繰り返し、「我々は、イランが核兵器を決して獲得できないようにする外交を追求していく」と表明しています。さらに、「机上の全ての選択肢」という失敗した政策を繰り返すことにより、バイデン政権は、圧力と抱き合わせの外交や脅迫を続ける姿勢を示し、「外交が失敗した場合、他の手段に訴える準備ができている」と主張しました。
米国は、英独仏中ロも加わった対イラン核合意を重視しないという本音をさらけ出し、合意の準備がないとしてイランを非難することで、暴動が起きているイランの現状を、同国への介入およびイラン・イスラム体制の弱体化を狙う絶好の機会であると考えています。
アメリカは、イラン国民への同情を主張し、インターネットやSNSの制限を解除することでイランにいわゆる開かれた空間を作ると思い込んでいますが、そのアメリカこそがイラン国民の最大の敵であり、これまでに何度もイラン市民に対する根深い敵意を示してきたのです。アメリカのこの敵意の明確な例は、2018年のトランプ前政権時代の「最大限の圧力」政策の実施であり、これはバイデン現大統領によって精力的に継続されています。
こうした敵対行為の最近の例は、イラン国民と彼らの空の旅の安全を直接標的とした、イランの航空輸送産業に対する新たな制裁の行使です。イラン民間航空機関のモハンマディ・バフシュ長官は、「西側と話し合っているにもかかわらず、欧米諸国は旅客航空輸送部門で肯定的な行動をとっていないだけでなく、燃料、航空機、航空機部品に新たな制裁を課している」と語りました。
これは、アメリカを初めとした西側の、イラン国民に対する根深い敵意に基づく態度・姿勢の本質を示しています。
一方、アメリカ政府は、同国の新たな国家安全保障戦略文書に公式に反映されているように、イランを脅迫することで、イランを威嚇し、同国に核・ミサイル、地域政策の分野での不合理で違法な要求を呑ませることができると思い込んでいます。この関連し、アメリカ議会系列のメディア「ザ・ヒル」のサイトは最近、「西側諸国が交渉のテーブルを離れ、対イラン核合意の破棄を正式に発表し、対イラン制裁発動の発端となる引き金を引いてイランに最大限の圧力をかける時が到来している」と主張しました。こうした中、アメリカと世界の政治家は、イランに対する最大限圧力キャンペーンの失敗を繰り返し認めてきています。クリス・マーフィー米上院議員は、「イランに対するトランプ前大統領の悲惨な『最大限の圧力』政策の唯一の利点は、一方的な制裁が事態を悪化させるだけで、改善にはつながらないことを決定的に証明したことだ。我々が核合意から離脱した後、イランはより強くなっている」と語っています。
こうした中、米国側の主張とは反対に、オーストリア・ウィーンでの核合意復活交渉が最終合意に達するかどうかは、残りのいくつかの鍵となる重要な問題に関するアメリカの政治的決定にかかっています。プライス米国務省報道官の最近の立場表明に反映されているように、アメリカはウィーンでの交渉過程における現在の行き詰まりの責任を、イランに転嫁しようとしています。これに対しイランは、米国側が現実的に行動すれば合意成立は可能だと繰り返し述べています。
イランは、制裁解除の交渉における主要な要求として、制裁解除の検証確認、核合意の恒久的な継続の保証および、IAEA・原子力機関が保障措置関連の根拠のない主張をやめることを挙げており、いくつかの制限と引き換えにイラン国民に具体的な経済的利益をもたらす合意への復帰のみを正当なものとして受諾する旨を強調しています。