視点;エマ―ディ解説員
ガザをめぐるイランの外交、地域歴訪から米NY訪問まで
イランのアミール・アブドッラーヤーアン外相がパレスチナ・ガザ関連の外交を継続する中、国連総会の緊急会合に出席するため米ニューヨークを訪問し、シオニスト政権イスラエルの犯罪を非難する一方、ガザ戦争停止に向けた本格的な措置の必要性を強調しました。
アミールアブドッラーヒヤーン外相は、対ガザ戦争の停止を目指し最も積極的になっている政府高官の一人です。彼はイスラエルによるガザ攻撃開始後イラク、レバノン、シリア、カタールの4カ国を訪問してこれらの国の当局者と協議し、また、他国の当局とも電話会談を行っています。さらには、サウジアラビア・ジッダでのOICイスラム協力機構の臨時会合にも出席し、演説する一方、数カ国の外相とも協議しました。
今週、アミールアブドッラーヒヤーン外相は南アフリカとニジェールの外相に加え、コーカサス諸国およびロシアの4人の外相とも会談したほか、米ニューヨークでグテーレス国連事務総長およびヨルダンとインドネシアの外相とも協議しています。そして、特にグテーレス氏との会談では、「イランとしてガザでの大量虐殺の即時停止に向けたあらゆる政治的解決策を支持する」と強調しました。
さらに、「イランは、パレスチナ国民の人権の完全実現を外交政策の基本原則の一つとして、パレスチナ国民の解放闘争と抵抗を継続的に支援している。現在の状況とイスラエルの戦争犯罪が続けば、戦争範囲が拡大し、地域で新たに対イスラエル戦線が開かれる可能性が考えられる」としています。
国連安保理の今期議長国ブラジルの外相の招へいによりニューヨークを訪問しているアミールアブドッラーヒヤーン外相は、パレスチナ問題に関する国連総会の緊急会合にも出席しました。
同外相はこの緊急会合において「もはや事実上、暴力的な占領が残忍で根深いアパルトヘイトと化した。この『慢性的な占領』と『根深いアパルトヘイト』の恐るべき組み合わせこそが、シオニスト政権イスラエルに、占領下の人々を虐殺・大量殺戮する心理的許可を与えている。このため、今こそ、総会が1975年に決議第3379号を通じて『シオニズムは人種差別である』と断定したように、この政権の真の姿を検討し、それをありのままに認識する時が来している」と述べています。
イランは常に先頭に立ってパレスチナを擁護しており、パレスチナ問題をイスラムの問題とみなしています。アミールアブドッラーヒヤーン外相はイスラエルの犯罪阻止を目的に外交努力を続けていますが、残念ながら、いわゆる平和擁護を本業とする国際機関は消極姿勢を取り沈黙を決め込んでおり、シオニストの犯罪阻止に向け何ら努力していません。
うたがいなく、イスラエルがぬけぬけとガザ住民の虐殺を継続している主な理由の一つは、安保理が対イスラエル非難決議を採択できなかったことにあります。その一方、重大要素として、イスラエルは抵抗勢力の反応に恐怖を感じていることから、対ガザ地上戦の開始を渋っています。イランのような平和を愛するすべての国がイスラエルの犯罪を阻止し、この強奪政権に圧力をかけようとすれば、イスラエルはガザ市民を虐殺できなくなるでしょう。
そして、もう1つの重大な問題は、ガザに対するイスラエルの犯罪阻止を目指すイランの積極的外交により、イスラエルに対するパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスの行動の舞台裏にイランが絡んでいるとする主張や吹聴が無力化されていることだと言えます。