イラン最高指導者「西アジアは脱米国・反米国覇権に」
イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、現在西アジアで進みつつある状況について「脱対米依存つまり地域における米国の覇権主義の否定」を第一の特徴に挙げました。
ハーメネイー師は29日、イランの民兵組織・バスィージの隊員らとの面会で、レバノンやイラク、シリア、パレスチナなどにおける米国による勢力変動の試みが失敗に終わったことに言及しました。
ハーメネイー師はこの中で、「脱米国とは、各国が米国との関係を断絶するということではなく、米国の国力が低下しているという意味である。これまで米国に100%追従してきた国でも距離をとる動きが広がっている」と述べました。
そして、米国が歴史上行ってきた地域における覇権拡大の試みが、シオニスト政権イスラエルの強化と各国の対イスラエル関係構築のためであったとし、「脱米国の明白な兆候のひとつに、(10月7日にハマスが実行した)アクサーの嵐作戦がある。作戦自体はイスラエルに対するものだったが、これによりアメリカが計画していた地域政策が混乱し、これが続けばそうした計画は雲散霧消することになるからだ」と述べました。
ハーメネイー師はまた、西アジアにおける「押し付けられた二項対立」が崩壊しつつあることも新しい西アジアの特徴として挙げました。これについてハーメネイー師は、「アラブと非アラブ」「シーア派とスンニ派」「シーア派三日月地帯」といった西側が提唱してきた概念が、現在のパレスチナ情勢で通用しないものであることが明白になったとし、その理由について「アクサーの嵐作戦前後からパレスチナを最も支援してきたのは、アラブ・非アラブのシーア派勢力だったからだ」としました。
そして、こうした旧来の二項対立に代わる「抵抗か降伏か」という概念が地域を席巻しているとし、アメリカによる強権主義・介入主義に対して降伏しないという抵抗の動きが広がっているとしました。
ハーメネイー師はその上で、「パレスチナ問題の解決」が現実のものになりつつあるとの見方を示し、「パレスチナ問題は解決に向かっている。それはつまり、パレスチナのすべての領土をパレスチナ人が統治するというものである」と述べました。
ハーメネイー師はこれに関し、イランがパレスチナ問題についてとる立場を「全パレスチナ人が参加した国民投票」だとし、「シオニスト占領者以外、つまりすべてのパレスチナ人が、被占領地に住もうが周辺諸国の難民キャンプに住もうが、パレスチナ統治に関して意見を表明することができなければならない。イスラエルはこの計画に同意しないとする意見もあるが、パレスチナ人による意思表明が重要なのであり、それを追求すれば必ず実現する」と述べました。
また、イランに対して「パレスチナ問題の解決のために、ユダヤ人やシオニストを地中海に投げ落とそうとしている」などといった嘘の主張がなされていることについて、「イランは誰かを海に落とそうなどとは考えていない。そうした者の処遇についても、パレスチナ人による統治機構の判断に委ねられるべきだというのがイランの考えだ」としました。
ハーメネイー師はまた、初代最高指導者のホメイニー師が「世界に抵抗の種をまく」ことを目標に掲げていたことを挙げ、そのことが今日の地域において実現していることに触れ、「抵抗の種が地域の運命を変えようとしている。その例がアクサーの嵐作戦だ」とし、「アクサーの嵐作戦は消えることはない。神の思し召しで、現状は変わっていくだろう」と述べました。