視点;アギーギー解説員
イランのBRICS正式加盟、2024年1月1日より
BRICS新興経済国グループの南アフリカ大使が、「2024年1月1日をもってイラン、サウジアラビア、UAEアラブ首長国連邦、エジプト、エチオピアが正式に当グループに加わることになる」と表明しました。
南アフリカのアニル・スクラールBRICS大使は、「イラン、サウジ、アラブ首長国連邦、エジプト、エチオピアの加盟により、当グループの加盟国は2倍に増える」と語りました。BRICSの新加盟国の大使らは今月30日にロシア・モスクワで行われる次回会合に出席することになっています。
従来までのBRICS加盟国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5か国でした。今回新たに5か国が新規加盟したことで、世界最大のエネルギー生産国が最大のエネルギー消費国の一部と、BRICSという枠組みで合流することになります。
ロシアのラブロフ外相によれば、現在、世界30カ国がBRICSへの加盟を申請しています。
SCO上海協力機構、BRICS、ユーラシア連合という機関での多国間協力の拡大や関係発展は、ライースィー大統領率いる第13期イラン政権のアプローチの一つであり、これは通商・経済関係の発展を目指すとともに、アメリカの制裁への対抗方法と見なされています。
世界経済に影響を与える高い可能性を秘めたBRICSの重要性の主な理由の1つは、その急速な経済成長及び世界情勢への影響力です。これはこのグループが世界人口の半分および世界経済の可能性の25~28%、そして大きな人材資源や豊かな天然資源を有することによるものです。
BRICSの各加盟国はいずれも、自らが属する地域の政治または経済分野のいずれかで主要な勢力とみなされています。
イランが独特な地理的位置にあり、またエネルギー、交通、貿易の分野での潜在能力は、他の加盟国にとって注目の焦点となる可能性があります。
イランが他のBRICS加盟国との共同作業として計画している課題の一つは、通商・経済交流と金融協力からの米ドルの排除です。
現在、世界でも特に、イランやロシアなど制裁下にある国々による脱ドル化の問題が、そのほかの諸国からさらなる注目を集めています。このことの大きな要因のひとつは、過去数十年間にわたりアメリカが他の独立諸国に対する圧力行使の手段としてドルを利用したことであり、各国はドル依存なしでの金融・通商取引方法を模索せざるを得なくなりました。
南アフリカのルポール・マシャティル副大統領はこれについて、「BRICS加盟国は主にドルへの依存を減らすことに重点を置いている。今日、世界がBRICS に注目している。これは、BRICSがドル依存からの脱却の最前線にあるからだ」と語りました。
BRICSにとってもう1つの関心事は、各加盟国の通貨をベースとした外貨準備基金の創設です。BRICSはまた、新たな開発銀行の創設により、世界銀行やIMF国際通貨基金などの西側金融機関に対抗しようとしています。
言うまでもなく、西側諸国の政治・経済的覇権は衰退し、世界は多極化に向かって進んでいます。イラン、ロシア、中国などの制裁下にある国々は関係強化と、西側諸国への依存の削減の最中であるとともに、ドル支配から解放されつつあります。このことから、イランのBRICS加盟は新たな世界大国との政治的結びつきに加えて、同国の経済発展計画の推進、新たな貿易相手国の勧誘、そして地域・国際的な地位の向上につながることが期待できると言えるでしょう。