3回目の対イスラエル攻撃に向けたイランの戦略とは?
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3回目の対イスラエル攻撃に向けたイランの戦略とは?
4月に実行されたイランによる1回目のイスラエル攻撃(真実の約束作戦1)は、イスラエル側の軍事能力を査定する意味合いがありました。イランはこの作戦で、ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルを組み合わせた攻撃を実施し、イスラエルの防空システムの能力を試しました。この時に得られた結果をもとに行われた10月の2回目の攻撃(真実の約束作戦2)では、イランが発射したミサイルのおよそ9割が命中しました。3回目の作戦は、さらに異なった計画が立てられる見通しです。
【ParsTodayイラン】イランのアラーグチー外相は以前、レバノンのアルマヤーディーン・テレビとのインタビューで「ここ数カ月、イスラエルはイランおよびその他の勢力を戦争に巻き込み、戦火を拡大させようと試みてきたが、我々は地域情勢を入念に注視し、イスラエルのこの罠に落ちぬよう賢明に行動した。最後に攻撃したのはイスラエル側であり、イランはこれに報復する権利を有する。そしてこの報復は国際法に則った形で、必ず実行されるだろう」と語りました。
もっともアラーグチー外相は、その実行時期、形態などについては条件が整ってからとし、「我々は賢明に行動する。作戦の実行は遅きに失することもなければ、性急に行うこともない。あくまでイランが約束したとおりに行われる」と語りました。
イランの軍事専門家メフディー・バフティヤーリー氏は、ハムシャフリー紙への寄稿で、次のイランによる対イスラエル攻撃がこれまで2回と異なる点について、以下のように解説しました。
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1回目のイスラエル攻撃(真実の約束作戦1)は、イスラエル側の軍事設備を査定する意味合いがあった。イランはこの作戦で、ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルを組み合わせた攻撃を実施し、イスラエルが2006年のレバノンとの33日間戦争の後に導入した防空システムの能力を試した。イランの複数階層状の攻撃に対し、欧米製の技術を導入した防空システムは十分に機能せず、多数のミサイルの通過を許した。
2回目の作戦では弾道ミサイルのみが使用された。特に極超音速ミサイル「ファッターフ」などが実戦投入され、計200発のうち180発が目標に命中した。この攻撃でも、イスラエルの対ミサイル防空システム「アロー」は機能せず、攻撃後イスラエルは米国からミサイル迎撃システム「THAAD」の導入を余儀なくされた。
次回の作戦は、大きく2つの変更点があるとみられている。過去2回の攻撃では、対象は軍事施設に限定され、インフラなどは攻撃対象から除外されていた。しかし、次回の攻撃ではイスラエル経済により深刻な打撃を与えるため、石油・ガスや水道施設などへの攻撃が予想されている。
イランはこれまでの攻撃で、ガドル、エマード、ファッターフなどの各種ミサイルを使用しているが、航続距離や破壊力のより大きなホラムシャフルやセッジールなどはまだ使われていない。仮にこれらのミサイルが次回も使われず、前回の真実の約束作戦2と同様の攻撃でも、攻撃対象を変えるだけで十分な被害を与えられるだろう。
このように、イランの実行する作戦は地域を危険に陥れるイスラエルに対して強力な力を示すものになる。次回の作戦についてはまだ明らかになっていないことが多いが、これまでとは異なる新たな戦略・兵器により実行され、イスラエルに対する断固とした回答となるだろう。