古代イランから続く冬至の行事「シャベ・ヤルダー」とは?
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古代イランから続く冬至の行事「シャベ・ヤルダー」とは?
イランには「シャベ・ヤルダー」(ヤルダーの夜)と呼ばれる、日本の冬至にあたる行事があります。
【ParsTodayイラン】ヤルダーの夜は、秋の最後の日であるアーザル月30日(今年は西暦12月21日)の夕暮れから始まり、デイ月1日(冬の最初の日)の夜明けまで続きます。
新年のノウルーズやその前のチャハールシャンベ・スーリーと同様に、イランの古代の歴史と文化に深く根ざしています。この夜は一年で最も長い夜であり、イランの人々は古くから、喜びと特別な儀式をもってこの日を祝ってきました。
「ヤルダー」という言葉はシリア語に由来し、「誕生」または「生まれること」を意味します。この祝祭の起源は数千年前にさかのぼります。一部の考古学者は、イラン国内で発掘された土器に描かれた模様から、ヤルダーの歴史は約7000年前にまで及ぶと推定しています。
古代イランの人々は、神話や天体現象への理解に基づいてヤルダーを祝っていました。この夜が祝われる理由については、主に2つの説があります。
・光が闇に勝利すること…古代の人々の生活は農業や牧畜に依存しており、昼と夜の変化は非常に重要でした。彼らは光と太陽を善と創造の象徴とし、闇と寒さを悪の象徴と考えていました。そのため、一年で最も長い夜を祝いました。この夜の後、日照時間が徐々に長くなり、光が闇に勝利すると信じられていたからです。
・ミトラ(メフル)の誕生…ミトラ信仰の人々は、ヤルダーの夜をミトラ神の誕生の夜と考えていました。ミトラは小さな洞窟に現れ、太陽を世界にもたらす神です。また、別の伝承では、この夜にミトラが戻り、日を長くすると語られています。
ヤルダーの儀式と風習
・物語やことわざ…この夜、イランの各家庭では、家族どうしで集まり、年長者が物語やことわざを語ります。地域ごとに独自の民話が伝えられています。
・ハーフェズ占い…ヤルダーの夜の代表的な風習の一つが、イランの著名な詩人ハーフェズの詩集を用いた占いです。家長が詩集を開き、選ばれたガザル(抒情詩)を朗読し、その意味を解釈します。ハーフェズの詩の多くは愛や希望をテーマとしているため、占いの結果は明るいものになることが多いです。
・『シャー・ナーメ』の朗読…イランの偉大な詩人フェルドウスィーによる叙事詩『シャー・ナーメ』(王書)を朗読することも、ヤルダーの夜の重要な習慣です。特に語り部による朗読は、イラン文化とアイデンティティの象徴とされています。
・ヤルダーの食卓…ヤルダーの夜の食卓には、ザクロやスイカ、ナッツ、色とりどりのお菓子が並べられます。ザクロとスイカは太陽と豊穣の象徴であり、食卓の中心的な存在です。そのほか、乾燥させた桑の実、イチジク、桃やアンズのドライフルーツが添えられます。ヤルダー用のナッツは、さまざまな木の実や乾燥した種子を組み合わせたもので、豊かさ、健康、喜びを象徴する食べ物とされています。

