イランの抑止力と攻撃能力
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イラン・米国間の緊張が高まる中、イランは協議継続中ながらもあらゆる選択肢が検討対象であることを強調しました。
(last modified 2026-02-16T10:14:54+00:00 )
2月 16, 2026 19:11 Asia/Tokyo
  • 「協議継続は引き続き追求するが、ミサイルからホルモズ海峡までの選択肢は留保」
    「協議継続は引き続き追求するが、ミサイルからホルモズ海峡までの選択肢は留保」

イラン・米国間の緊張が高まる中、イランは協議継続中ながらもあらゆる選択肢が検討対象であることを強調しました。

イランとアメリカの間で緊張が高まり、アメリカからの軍事的脅迫のレベルが上昇する中、イランは交渉継続中ながらも「ミサイルからペルシャ湾の湾口・ホルムズ海峡の封鎖まで、あらゆる選択肢が検討されている」と強調しています。

イラン軍合同参謀本部議長のセイイェド・アブドルラヒーム・ムーサヴィ少将は今月1日、敵からの脅迫に言及し、「敵がいささかでも過ちを犯せば、我々は行動を起こすことになり、世界は強いイランという別の顔を目にすることになる。そうなれば、アメリカ国民は誰一人として安全ではなくなり、地域の戦火はアメリカとその同盟国を自国内で焼き尽くすことになるだろう」と述べました。

また、イランのセイイェド・アッバース・アラーグチー外相も16日月曜、公正かつバランスのとれた合意成立に向けた現実的な取り組みを携えてスイス・ジュネーブ入りしたことを強調し、「脅しに屈することは絶対に課題題にない」と強調しています。

あらゆる選択肢を机上に残したままでの交渉継続というイランの姿勢は、軍事的抑止力、地政学的影響力、そして外交空間管理を組み合わせたものと捉えることができます。こうした表明は、実際には様々な勢力に対する多層的なメッセージだと言えます。つまり、これらのメッセージは、イラン国民には国内の結束を、米国には意志とコストの尺度を、そして地域的勢力とエネルギー市場にはペルシャ湾の均衡が一触即発のものであることを改めて認識させるものです。

第1の層は、軍事抑止力です。公式文書における「ミサイル」という用語の使用は、ミサイル・無人機分野における自国保有能力を強調することを意味します。これらの能力は近年、防衛方針の主要な柱とされ、並外れた軍事的有効性を持つものの、主な機能は相手側に不確実性を引き起こし、直接的な軍事行動のコストを増加させることにあります。抑止政策の枠組みにおいて、迅速かつ多層的な反撃能力を示すことは、相手の計算を変えさせ、危機管理へと雰囲気を転換させうるものです。シオニスト政権イスラエルとイランによる昨年6月の12日間戦争において、イランは「ファッターフ」および「ハイバルシェキャン」と呼ばれる複数の極超音速ミサイルが、イスラエルの軍事研究センター、製油所、経済インフラを破壊できることを示しました。

しかし最近、ムーサヴィ合同参謀本部議長はイランの軍事方針の変更について「12日間戦争とアメリカ・シオニストの陰険な行動の継続を受け、我々は国の防衛方針を見直し、分散型かつ圧倒的な軍事戦略の採用により、電光石火の速さと広範囲にわたる作戦に基づく攻撃的な軍事方針へと転換した。したがって、我々の行動は迅速かつ断固たるものとなり、米国の思惑からは程遠いものとなるだろう」とコメントしています。

第2の層は地政学的影響力であり、これはホルモズ海峡への言及によって強調されています。この海峡は世界で最も重要なエネルギー面での大動脈の1つであり、この海峡の安全保障に対する脅威はいかなるものであれ、石油市場、海上保険、そして世界のエネルギー供給安全保障に即影響します。神経を要するこの点への言及は、行動の意図提示よりは交渉の手段であり、「間接的な影響力」を想起させるものです。エネルギー安全保障がペルシャ湾の安定に大きく依存する環境では、リスクの認識が高まっただけでも価格が変動し、国際的な政治的圧力が高まる可能性があります。

この点に関して、仮にイランにとって状況が困難になった場合、世界各国にとって貿易・輸送ルートの利用・通行を困難にする選択肢があり、これはホルモズ海峡の封鎖により可能となります。イラン・イスラム共和国武装軍は、沿岸から海洋沖までを網羅するミサイルを保有しており、これは「対艦ミサイル、機雷、哨戒フロート」のトリプル戦術を用いることにより実現されます。

第3の層は、現場と外交の同時管理です。強硬な選択肢を提示しつつも協議継続に重点を置くことは、交渉力を失うことなく折衝チャンネルを維持しようとする試みだと言えます。このアプローチは、イランがさらなる緊迫化を防ぐために対話への扉を開けておく一方、コストのかかる選択肢を強調することで交渉力の強化を狙っていることを示唆しています。このような枠組みにおいて、脅迫的な言葉遣いは必ずしも対立欲求の表れではなく、困難な交渉における「力の言語」の一部と見なされます。

これらの事柄を総括すると、イランの立場は、外交の道を開いた上で「多次元的抑止の傘」の構築を目指す試みと解釈されます。そして、その中心となるメッセージは「交渉が意味を持つのは、失敗した際のコストがすべての当事者にとって具体的に体感される場合である」ということです。同時に、イランの姿勢は、同国として敵対国、特に米国とシオニスト政権イスラエルからのあらゆるシナリオへの対応準備が万端であるというメッセージを伝えているのです。
 

 


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