預言者ムハンマドの芸術的表現(8)
書道とは、字を書くことで美を作り出すことを意味します。
書道芸術の美を理解し、それを楽しむのには、書家が文を書くだけでなく、価値ある美学的な芸術作品を作りだそうとしていることを知る必要があります。
書道は殆ど全ての文化の中に見られますが、東洋、特にイスラム世界やイランにおいては、視覚芸術とされています。イランの書道は驚くべきバランスによって作り出されています。文と単語のバランスは流動的なものである一方で、形と意味のバランスは、芸術家による装飾とともに、様々な意味を表す上で適切な形を作り出しています。
芸術家がイスラムの預言者ムハンマドの名前を記すことは、イスラム書道の歴史の中で、常に、イランの書道家が、意志と愛により、崇高な預言者ムハンマドへの賞賛を表現するのに行われてきました。また、預言者ムハンマドの名前と伝承、その語録は、イスラム初期からこれまでにおける書道の最も重要なテーマのひとつであり、イスラム芸術、とりわけ書道の特徴のひとつだといえます。この芸術は、建築の装飾文字芸術に非常によく似ており、その重要な特徴のひとつに、一部の文字を斜体で記すことが挙げられます。これにより、文字はよりダイナミックに表現することができます。これらの作品の多くは、複雑に入り組んだ草花の模様とともに装飾されていますが、書道による文字で書かれた部分が、その周囲に比べて見劣りするものではありません。
この種の芸術作品のほか、イランの芸術的な書道家は、特定の繰り返しの言葉を並べたり、挿入したりします。これを行うことで、その芸術的な表現は倍増します。たいてい、預言者ムハンマドの導きある含蓄の深い言葉を記すために、この形式が使われるのです。
もっとも、イランの書道家は、預言者ムハンマドの神聖への愛や志向により、コーランの節や預言者ムハンマドとその一族への祈祷文を記しています。この種の数多くのサンプルは博物館だけでなく、多くのイラン人の家においても見られます。