イランへの敵対政策を続けるアメリカ
アメリカ大使館占拠事件により、イランに対するアメリカのスパイ活動が明らかになった1979年から、アメリカの当時の大統領はイランに対する緊急事態法を制定しました。
アミーンザーデ解説員
1977年の緊急事態法は、アメリカの当時の大統領の署名と議会の承認に至りました。この法により、大統領には、外部からのアメリカ合衆国の安全保障に対する特別な脅威について、国家緊急事態を宣言することで、アメリカとその脅威とされるものとの関係を調整することが許可されています。
この枠内で、協力の停止、資産の凍結、アメリカに軍事攻撃があった場合には相手側の財産の没収といったことが行われます。この緊急事態法は1年で期限がきれ、大統領は期日の90日前にその延長の要請を議会に通達します。オバマ大統領は今年、この延長を11月3日のアメリカ大使館占拠事件の記念日に議会に通達しました。オバマ大統領はこの書簡の中で、この決定を正当化し、このように記しています。「我々とイランの関係はいまだ正常な状態に戻っておらず、この国との合意の実行もいまだに実現していない。このためイランに関する緊急事態を継続することが必要だと判断した」
アメリカは、イランに核兵器製造疑惑をかけることに失敗し、核合意に署名したあとも、イラン国民への敵対行為をやめようとしていないことを示しました。このため、アメリカの行動の本質は変わらず、やり方が変わっただけでした。
アメリカはこうした行動により、2つの目的を追求しています。一つは地域においてイラン恐怖症の政策を続けることです。イランに対する緊急事態法の延長は、アメリカがイランを常に脅威だと見ていることを示しています。過去半世紀のイランに対するアメリカの行動を見てみると、彼らの政策や行動は常にイランに脅威や情勢不安を生じさせるものであったことが分かります。アメリカはアフガニスタンやイラク、その他の地域諸国に侵攻し、占領することで、イランの治安、集団の安全保障を深刻な危険にさらしており、その結果、地域にテロリズムを拡散させました。アメリカは治安確立を口実に、この30年、地域諸国を部族、民族紛争に巻き込み、数十億ドルの兵器をアラブ諸国に売却するために、絶えず、イランと地域諸国の安全保障協力を妨害しようとしてきました。
イランに関する緊急事態法の延長も、アメリカがイランに対する非論理的な敵対政策の正当化に向け利用している流れの一部です。
またアメリカが緊急事態法を延長した二つ目の目的は、地域や世界レベルでのイランの役割に対して穏やかに反対することにあります。現在核合意の実行により、地域関係におけるイランの役割は強まっており、こうした変化は実際、イランに対するアメリカの敵対拡大の別の要因になっています。アメリカはイランのミサイル防衛計画に懸念を示すなどして、イランを地域にとっての脅威であるかのように吹き込もうとしています。イランのテロ支援に関する非難も、アメリカがイランへの圧力行使に向けて考慮している政策です。
アメリカがイランを問題視しているのは、イラン国民が革命を支持しているとともに、覇権主義に反対し、独立した姿勢をとっているためです。明らかにこうした状況が続く限り、アメリカはイランを脅威とみなし、緊急事態を続けるでしょう。