アメリカによるイランの資産凍結継続
(last modified Wed, 08 Mar 2017 08:57:48 GMT )
3月 08, 2017 17:57 Asia/Tokyo
  • アメリカによるイランの資産凍結継続

ニューヨークタイムズが、アメリカの裁判所でイランの凍結資産をめぐって有利な判決を受けたテロ犠牲者らが、現在、前例のない措置のなかで、ヨーロッパの裁判所に判決の実行を求めた、と伝えました。

情報筋によりますと、ルクセンブルクの裁判所の判事はこれに基づき、イラン中央銀行に属する資産のうち、16億ドルを差し押さえました。テロ犠牲者の弁護団は、数日前、ルクセンブルクの首相に書簡を送り、資産押収を解除するためのイランの努力に対抗するため、政府の協力を求めました。

問題をより複雑にしているのは、イランに対する判決につながった抗議書簡を、9.11の犠牲者の遺族側が作成したということです。イラン殻賠償金をとれる可能性がないことから、裁判所の判決の実行は停止されていましたが、制裁によって凍結されていたイラン中央銀行の資産のうち16億ドルがルクセンブルクの企業のもとで保管されると発表されました。昨年、9.11の犠牲者の遺族の弁護団はルクセンブルクで、イラン中央銀行の資産を再度凍結するよう訴えました。彼らは抗議文書を作成し、アメリカの裁判所の判決の実行に向け、この資産を利用する可能性についての判決を出すよう求めました。

アメリカ議会が確認した報告によれば、9.11には19人のハイジャック犯が関わり、そのうち15人はサウジアラビア人でした。アメリカの世論はサウジアラビアにこの攻撃の責任があると見ており、サウジへの抗議に向けた機会を待つべきですが、アメリカへの入国禁止国にはサウジアラビアの名が入っていません。

こうした中、昨年4月、アメリカの最高裁判所は、テロ犠牲者の遺族の訴えを審理し、イランの凍結された資産を賠償金の支払いに当てる許可を出しました。この判決に基づき、1983年にレバノンの基地の爆発で死亡したアメリカ兵241人の遺族は、20億ドルまでイランの資産を賠償金として受け取ることができるようになりました。

イランはアメリカに対し、資産の一部凍結により、正式に国際司法裁判所に訴えましたが、アメリカのイランに対する敵対政策は、様々な方法で続いています。アメリカ国務省はアメリカにあるイランに属する不動産も、賃貸に出しています。

実際、アメリカの敵対は核問題だけに集約されません。一連の資産凍結もまた、こうした流れに含まれるものです。オバマ元大統領は、任期の最後で、制裁の延長とイランに関する緊急事態法の署名により、こうした流れの継続に向け全ての道を開いていることを示しました。アメリカはこれにより、イラン恐怖症を追求していますが、この種の判決の提示により起こっているこのほかの出来事は、アメリカの裁判所の判決のもとでのイランの資産の強奪です。現在こうした流れはヨーロッパの裁判所によって行われており、アメリカはシナリオを作ることで、この判決をイランに対する非論理的な敵対政策を正当化するための手段にしようとしているのです。