視点;「ペルシャ湾の日」、恒久的なアイデンティティの追憶
(last modified Wed, 29 Apr 2020 11:19:02 GMT )
4月 29, 2020 20:19 Asia/Tokyo
  • ペルシャ湾
    ペルシャ湾

「ペルシャ湾は、イラン本土同様、長い歴史を有している。この広大な海域につけられたペルシャ湾という名称は、地域の歴史のアイデンディティを強調している」

イランのサーレヒー・イスラム文化指導大臣は、29日水曜に当たるイラン暦オルディベヘシュト月10日の「ペルシャ湾の日」にちなんでのメッセージにおいて、歴史に残るこの日を、数千年に及ぶイラン人の文明や芸術、文化を記念するチャンスだとしました。

イラン国民は、他の民族がこの湾岸地域に定着する以前から、数千年にもわたりこの地域に移り住み、ペルシャ湾岸での太古の文明の基盤を打ち立てるとともに、他の民族をも巧みに惹きつけてきました。

歴史家らが証明するとおり、ペルシャ湾は人類文明の発祥地とされており、世界人類の持つ文明は、ペルシャ湾の文明に大きく負っています。イラン中のすべての民族および言語的グループはこの貴重な遺産を守っており、ペルシャ湾という呼称はイランの人々の世界の中での栄光、偉大さ、黄金の歴史を想起させるものです。

ペルシャ湾岸地域・西アジア研究者で作家でもあるムハンマド・アジャム氏は、ペルシャ湾研究センターを創設し、ここで活動を行っており、様々な領域に対するこの海域の影響や重要性に関して、次のように述べています。「ペルシャ湾の重要性は、世界の経済、政治、通商、交通連絡の面から非常に重要である。現存するアラビア語の資料にも、はっきりとペルシャ湾という言葉が使用されており、国連にある11の信頼のおける資料にも、ペルシャ湾と明記されている」と語りました。

国連事務局も声明において、「様々な地図や資料に基づけば、この海域はペルシャ湾と命名されている。これらの文書には、1984年8月に採択された宣言も含まれている。これらの史料には紀元前6世紀ごろのギリシャの自然哲学者アナクシマンドロスによる世界地図、そして、最も著名なギリシャの地理学者ミレトスのヘカタイオス、さらには、地理学者で天文学者でもあったプトレマイオスの文献も含まれている」と表明しています。

ペルシャ湾は同時に、その地理的・文明的な価値から、歴史を通して数多くの有力な侵略者や植民地主義勢力の争いの舞台にもなりました。ペルシャ湾に地域外の勢力が存在した時代としては、ポルトガルがこの湾およびその湾口にあたるホルモズ海峡を支配した16~17世紀が挙げられます。ポルトガルによるこの長い統治時代は、1621年4月30日に終結しました。

当時のポルトガルのアルブケルケ総督は、世界でマラッカ海峡、アデン湾、そしてホルモズ海峡を掌握した国はいずれも、世界の貿易をも支配する、と考えていました。この思想により、ポルトガルはしばらく後に、ペルシャ湾に浮かぶゲシュム島やホルモズ島、現在のイラン南部の港湾バンダルアッバースであるガンブロン島に手を伸ばしたのです。

ペルシャ湾の日という国民の記念日の制定は事実上、壮観で純粋な地域の歴史のページを再読することだといえます。特に、この日はペルシャ湾からのポルトガルの駆逐の日と重なっています。ポルトガルの植民地支配者らも、ペルシャ湾の歴史の一時期においてはこの地域に貪欲な視線を向けていましたが、その彼らも最終的には地域からの撤退を余儀なくされています。また、イギリスは4回にわたりイラン南部の港湾ブーシェフルを攻撃しましたが、その度イスラム指導者らは防衛命令を出し、レイースアリー・デルヴァーリー、アフマドハーン・タンゲスターニーといった名将らが英雄伝を生み出し、植民地主義者らを撃退しています。地域の歴史は、地域外の勢力が決してペルシャ湾で真っ当な覇権を掌握しないであろうことを裏付けるものであり、この歴史的な法則は今なお、アメリカにも見事に当てはまっています。

ザリーフ・イラン外相はツイッター上において、「アメリカ海軍はイラン海域には進出できない」とし、「ペルシャ湾は、アメリカ建国の2000年も前から、すでにこの名称で存在していた。彼らはおそらく、ペルシャ湾という呼称を知らないか、もしくは自らの居場所から7000マイルも離れたイラン周辺で何をしているのかが分かっていない」と述べました。

過去を見るだけで十分です。これにより、ペルシャ湾は貴重な遺産であり、明確な歴史的アイデンティティを持っていることがわかります。この海域に対し他に数千の名称がつけられていても、ペルシャ湾は今も、そして永遠にペルシャなのです。

 

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