視点
イランが国連事務総長に書簡、「米政府は核合意内の責務を全く履行せず」
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アメリカとイランの国旗
米国政府は国連決議に反して、これまでのところ核合意に定められた義務を全く履行していません。
サリーフ・イラン外相は核合意成立6周年を機に、国連事務総長に書簡を送り、このことを述べるとともに、西側の相手国の約束不履行全体を、文書にして国連事務局に登録しました。

包括的共同行動計画(核合意)は、13年間の集中的な交渉の後、2015年7月14日に署名され、1週間後には、国連安全保障理事会決議2231によって批准されています。核合意は、同決議2231の枠組みの中で、合意の相手側が果たすべき相互間義務を定めました。
しかし2018年5月8日、トランプ前米大統領は、この多国間協定からの米国の撤退を公式に発表しています。
またバイデン現大統領時代の米国政府の行動も、その義務を果たすにはまだ長い道のりです。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は今月28日、イラン現政府の大統領や閣僚らとの最後の会合において、「アメリカは言葉上では我々に行使した制裁の解除を約束しているが、彼らはこれまでそれを行ってきておらず、また今後もやらないだろう」と語りました。また、「彼らはこの声明を発表することにより、核合意の原則とミサイル・地域の問題に対するその後の介入の言い訳を作ろうとしている」と述べています。

米国は過去数十年にわたって常に、国際協定の遵守という確固たる自らの責務を守っていないことを示してきました。そして米国のこの行動は、核合意においても例外ではありませんでした。
最近、グテーレス国連国連事務総長は11回目の報告で、国連安保理決議 2231の実施に懸念を表明し、イランに対する制裁を解除し、免除を延長するようアメリカに求めています。

ロシアの在ウィーン国際機関代表部のウリヤノフ常駐代表も30日金曜、ツイッター上で「オーストリア・ウィーンでの核合意復活協議の合意された目標は、核合意の原則を復活させることであり、それより多くも少なくもない」と語りました。

安保理決議2231の採択から6年後の核合意の義務違反は、国際的な取り決めへの約束違反を深刻なレベルへと引き上げています。現在の状況では、米国の立場は、米国がトランプ前大統領の任期中に課したすべての制裁の解除というイランの緊急の要求からはほど遠いものです。
実際、アメリカはイランに対する制裁を完全に解除し、前の米国政権の同じ行動が繰り返されないという保証を提供しようとしません。アメリカは、既存の問題が破壊的な一極主義や過剰な要求、論理に外れた行動によるものである、という事実を受け入れる必要があります。
在オーストリア・ウィーン国際機関のガリーブアーバーディー・イラン代表は、これに関するあるインタビューで次のように述べています。
「米国と西側は交渉で独自の目標を追求してきた。これは、核取引を地域問題やミサイルなどの他の無関係な問題への架け橋と見なし続けていることを示している」
安保理決議2231の採択6周年に関するイランの国連事務総長への書簡は実際、秩序を維持するというイランの決意を思い起こさせるものです。しかし、核合意は多国間協定であることから、ある関係方面だけによる一方通行的な実施では、その最大の結果を期待することはできないのです。
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