視点
ペルシャ湾とオマーン海の情勢不安の偽装を狙った再三のシナリオーその動機と思惑
最近、いくつかの情報筋が、UAEアラブ首長国連邦の沖合で複数の船舶の事故が発生したと報じました。
AP通信は3日火曜、UAE沖で少なくとも4隻の船の舵が制御不能になったと報じています。
これに先立って、一部の情報筋は、UAEのアルフジャイラ港近くで船舶事故があったと報告しました。
このニュースの発表と同時に、西側とシオニストのメディアは、イラン軍がペルシャ湾とオマーン海を航行する船に侵入したというニュースを拡散しています。
イラン外務省のハティーブザーデ報道官は、このうわさを否定するとともに、西側とシオニストのメディアの虚偽のニュース報道について警告し、ペルシャ湾とオマーン湾で船の安全にかかわる事件が続発していると伝えられている内容は完全に疑わしいものだとしました。
ここで疑問となるのは、オマーン海とペルシャ湾でのタンカーに対する不審な事件と、この海域での航海を危険にすることで、誰が恩恵を受けているのかということです。
これに関しては、2つの可能性が考えられます。
1つ目は、この地域の商船やタンカーに対する安全上の脅威が偶発的なものではなく、人為的に引き起こされた可能性です。
この場合、このシナリオの作者は、ペルシャ湾とオマーン湾での意図的な冒険を追求していると言わなければなりません。このシナリオには、米国、英国、シオニスト政権イスラエル、サウジアラビア、およびこの地域の他のいくつかの国が絡んでいます。
ジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長の発言は、この点で注目に値するものです。彼は最近、記者団に対し、ホルモズ海峡とバブ・アル・マンデブ海峡でのいわゆる航海の自由の確保を目的とした連合結成という米国の計画を明らかにしました。
また、「今後数週間で、どの国がこのイニシアチブへの支持を政治的に決定するかが明らかになる可能性がある」と述べています。
このシナリオの別の可能性は、他の目標を達成するためにイランに対する安全保障上の最大限の圧力を強めることです。この点で、2つの問題が提起されます。第1は、中断されている交渉である核合意復活交渉であり、そして2番目は抵抗と地域におけるイランの戦略的な軍事的存在を弱めることの問題です。
このため、シオニスト政権イスラエルが、ペルシャ湾とオマーン湾の情勢不安を煽動することによって、事前に仕組まれた安全保障上の問題にイランを巻き込むことによりその目標を達成を狙うことは、容易に想像がつきます。
先月30日にオマーン海で発生した、無人機によるイスラエル船舶への攻撃は、この可能性を本格的に高め、クローズアップさせました。
イスラエル当局者は、イランがこの攻撃に関与したと非難し、証拠を提示せずに、直ちにイランに対する決定的な対処・報復を要求しています。
アラブ圏の著名なアナリスト、アブドルバーリー・アトワーン氏は、ライ・アルヨウム紙に掲載された記事において、米・イスラエルによるシナリオの背後の目的を分析し、この攻撃が核合意復活交渉の中断期間やイラン新大統領の就任式と、時期を同じくして起きたと表明しました。
こうした中、このレベルの挑発は、今後数日から数週間で激化するとの推測もなされています。
アトワーン氏は今年3月にも、イスラエル議会とネタニヤフ前イスラエル首相の対立の真っ只中に、オマーン海とペルシャ湾でのタンカー戦争の可能性について同様の記事を著し、イスラエルの海軍部隊が過去2年間で12のイランのタンカーを標的にしたことを指摘しています。
いずれにせよ、複数の証拠はこのシナリオが疑わしいことを示唆しています。この政治ゲームでは、シオニスト政権の当局者がこの戦争を激化させようとすれば、彼らは最大の過ちを犯したことになります。それは、シオニスト、あるいはその同盟国としての米国にとってさえ最善の利益にはならないかもしれない冒険だからです。この冒険では、ペルシャ湾地域の他の国々も確実にその結果に巻き込まれ、地域やペルシャ湾とオマーン海沿岸の安全確保のための高いつけを払わされることになるのです。
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