視点
建設・論理的な結果が待たれるウィーン協議
先月29日よりオーストリア・ウィーンにて始まった、対イラン制裁の解除をめぐりる協議が、今月3日に一旦終了し、続きはそれぞれの代表団が本国での審議・検討を終えた後に延期されました。
この協議でイラン代表団の団長を務めるバーゲリーキャニー政務担当外務次官は、カタール国営衛星通信アルジャジーラのインタビューで、「アメリカは、過去6回にわたる核合意復活交渉において、保証と検証確認という2つの原則を受諾していた」とし、「核合意に関連するすべての制裁、および米国の『最大限の圧力』政策の下で課された、または再発動されたすべての制裁は、直ちに解除されるべきだ」と語っています。
また、「我々は、相手側に提示した提案に真剣である。我々が提示した案は交渉の相手側のテーブルにあり、彼らがそれに対する回答を示すことになっている。勿論、正当な根拠や論拠を伴う答えでなければならない」と述べました。
イラン代表団はウィーンにて、相手側である5カ国グループに対し、抑圧的な制裁の解除および核問題という2つの問題の形で出された2つの提案文書を提出しました。これに対し相手側は、イランから提出された文書を検討し、これに関してイランとの本格的な協議と交渉に必要な用意を整えなければなりません。
包括的共同行動計画(通称:核合意)への復帰に関する過去6回の集中的かつ慎重な交渉の後、参加国の外交官と当局者らは、2015年の核合意の下での約束に従って相互の復帰に向けた1つの合意成立が射程圏内に近づいている、と述べています。しかし、交渉を成功させるための機会はそれほど長くありません。
在ウィーン国連機関のウリヤノフ・ロシア常駐代表は、「協議には、1つの法則がある。それは、すべての項目について合意に達するまでは、合意は成立しないというものだ」と強調しました。
1つの視点からすれば、核合意の失敗は、国際協力を維持するための相互間の集団的措置の失敗を意味し、これに照らせば、国際社会で積極的な役割を果たしていると主張するすべての勢力が害を受けることになります。
このため、核合意の残留国は、この国際協定が無効になることを望んでいません。しかし、米国はこの合意への復帰を望む一方で、違法な制裁の存続に固執しており、アメリカのこうした過剰な要求やダブルスタンダードぶりは、ウィーンでの合意成立を大きく阻んでいます。
国際問題の専門家で、イランの大学で教鞭をとるレザー・ザビーヒー氏は、「ウィーン交渉の失敗はバイデン米政権に多大な損害を与えるだろう」とし、「ウィーン協議が暗礁に乗り上げることは、ヨーロッパにも失望させる甚大な結果をもたらすだろう」と指摘し、「核合意の崩壊阻止に向けた努力にもかかわらず、ヨーロッパは何もできないことが証明されたが、それでも今日ヨーロッパは再び、少なくともこの国際協定の復活の仲介者および促進者として行動できる立場にある」と語りました。
EUのボレル外務安全保障政策上級代表は4日土曜、イタリア・ローマにて、「EUは、経済的合意でもある核合意の維持に取り組んでいる。トランプ前米大統領は、自らの行動の結果を考えに入れず、それまでイランが遵守していたこの合意から離脱した。イランに合意に復帰させたいのなら、その見返りに我々も何がしかを出さねばならない」と述べています。
論理的かつ理性的な見解が存在すれば、すべての関係国が核合意の復活から利益を得るであろうことは、紛れもない事実なのです。
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