山上容疑者が事件前に手紙;安倍氏は「本来の敵ではない」
安倍晋三元首相に対する銃撃事件で、山上徹也容疑者(41)が事件直前に安倍元首相の殺害を示唆する手紙を岡山市内から山陰地方に住む男性に送っていたとみられることが明らかになりました。
日本の報道各社によりますと、問題の手紙は襲撃する直前に岡山市で投函したとみられ、事件を起こす覚悟を固めていたものと思われます。
この手紙を受け取ったのは宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の活動を批判するブログを実名で運営する男性で、住所も公開していましたが、山上容疑者との面識はないということです。
この男性は事件から5日後の今月13日、自宅ポストに届いたこの手紙に気づきました。
この手紙には同連合への強い恨みと自信の生い立ちが記されています。
山上容疑者の母親は同連合に総額1億円に上る献金を重ね、2002年に破産宣告を受けており、同容疑者は事件後の県警の調べに「家庭がめちゃくちゃになり(同連合を)絶対成敗しないといけないと恨んでいた」と供述しています。
また山上容疑者は2019年に同連合トップの韓鶴子総裁が来日した際、火炎瓶で襲おうとして断念したとされています。
今回の手紙にも同連合の創設者一族を名指しし「皆殺ししたくとも、私にはそれが不可能なことは分かっている」と記されています。
山上容疑者は警察の調べで安倍氏について「(同連合と)つながりがあると思った」と供述しており、手紙では「本来の敵ではない」「最も影響力のある統一教会シンパの一人にすぎない」と記述する一方で「安倍の死がもたらす政治的意味、結果、もはやそれを考える余裕は私にはない」と殺害を示唆していました。
山上容疑者は、母親が旧統一教会に入会し多額の献金をして破産したころから「旧統一教会を恨んでいた」と供述していて、警察は動機の解明を進めています。
今月8日、安倍晋三元首相が奈良県での選挙演説中、山上徹也容疑者に手製の銃で撃たれ死亡しました。
山上容疑者は安倍氏の背後から2発を撃ち、2発目が安倍氏の首と胸を捉え、これが致命傷となり失血死しました。処置に当たった奈良県立医科大学付属病院の医師の説明によりますと、胸の傷は大変深く心臓に到達したということです。