自衛隊機のスーダン派遣準備開始、在留邦人の国外退避へ
アフリカ北東部スーダンの治安情勢の悪化を受けて、日本政府は、在留邦人の国外退避に向けて自衛隊機を派遣する準備を開始しました。
NHKなど、日本の報道各社が防衛省関係者の発表として報じたところによりますと、自衛隊はスーダンで情勢が急変し、現地にいる日本人の輸送などが必要になった場合に備えて、外務省からの要請を受けて準備を進めているということです。
具体的には、アフリカ沖で海賊対処などに当たっている自衛隊の活動拠点があるアフリカ東部のジブチに、航空自衛隊の輸送機が派遣される場合の準備などを行っているということです。
松野官房長官は、19日水曜午後の記者会見で「去年の自衛隊法改正を受けて、準備行為として自衛隊機などを移動、待機させることについて、一層、迅速な意思決定に努めることとされ、閣議決定を要しないこととした。在外邦人などの輸送実施に当たっても、閣議決定は必要とされていない」と説明しました。
また、自衛隊機の派遣に当たって、国際法上原則必要とされる派遣先の同意を得ているか問われ「今、準備を進めているところで、当然のことながら国際法などにのっとった対応になる」と述べました。
同日午後1時5分、林外相から浜田防衛相に対し、現地に滞在する邦人輸送の実施に必要となる準備行為が要請されました。
スーダンでは、おととしのクーデターで実権を握った軍が民政移管に向けて軍の再編などの協議を進めてきましたが、軍の傘下にある準軍事組織が反発し、今月15日以降、軍と激しく衝突しています。
スーダン国内には、19日時点で大使館やNGOなどの関係者、およそ60人の在留邦人がいるということで、松野官房長官は、これまでのところ全員と連絡が取れていて、被害情報もないことを明らかにしました。
一方で「水や食料が不足し、頻繁に停電が起こるなど厳しい状況にあり、安全確保のため、全力で必要な支援を行っている」と説明しました。